キンターロの大冒険
「「「「「ご来店、ありがとう御座いました~!」」」」」
ウェイトレス達に、悔しそうな視線や、
尊敬する様な視線と共に、
来店のお礼の声で、店を送り出されたサスケ一行は、
次の目的地である、ヒナギクが見つけた
観光スポットへと向かう事とした。
「ヒナギクが選んだ所は、
どんな人気スポットなんだ?」
「はい、私が選んだのは、
タナーカの街で、
今、大人気の演劇を上演している劇場です。」
「お~演劇か、俺は初めてだから楽しみだな」
(日本に居た頃も、映画館に行ったぐらいしか無かったからな)
「初めてなのですか?」
ミルクが、意外そうな顔で尋ねて来た。
「ああ、俺が前に居た所でも、
演劇は、ある事はあったんだが、
それ程、大人気って訳でも無かったからな」
「そうなんですか、
他にも娯楽が多かったという事でしょうか?」
「ああ、その通りだよ、
みんなが、それぞれ好きな事をしているっていう感じかな、
勿論、演劇が好きって人だって大勢居たがな」
「選択肢が、沢山あったという事ですね」
「ああ、そういう事だ。」
暫く、街の中を歩いて行くと、
見るからに、劇場らしい立派な建物の前で、
ヒナギクが、立ち止まって告げた。
「サスケ様、こちらの劇場です。」
「おう着いたか、
おっ、演目のデカい看板が壁に付いてるな、
なになに、『キンターロの大冒険』って・・・」
「どうか、なさったんですか?サスケ様」
「い、いや、『ロ』が付いてて良かったなと」
「どういう事でしょうか?」
「いや、何でもない気にしないでくれ」
「はあ・・・」
その後、みんなで演劇鑑賞をしたのだが、
内容としては、こちらの世界で大人気の英雄物で、
ドワーフで大戦斧使いの『キンターロ』が、
幼少時をマウント・アシガーラで、
クレージーベアなどと戦いながら力を付けて行き、
成長してからの、その力を、
勇猛果敢な王として名高い『ライコウ王』に、
認められ、
人族で名刀『シェイバー』の使い手『ツーナ』
エルフで大弓の使い手『スーエ』
狼獣人で大鎌の使い手『サーダ』と共に、
『ライコウ四天王』と呼び称される様になり、
『酔いどれオーガ』や『アース・スパイダー』などを、
討伐するというものであった。
「う~ん・・・」
「サスケ様、面白く無かったですか?」
「いや、演劇自体はスゲェ面白かったぞ、
ただ、初めて見た劇の筈なんだけど、
何だか知ってる話の様な気がしてな・・・」
「この話は、有名な物語を劇にしたものですから、
物語の方を、ご存じだったのではないですか」
「いや、俺は、
一般的な物語とかでも、全然知らないから、
それは無いな」
「そうなんですか、
それは不思議な話ですね」
「ああ、全くだぜ」
「サスケ様、もう一つ、
『キンターロの大冒険』と人気を二分している、
演劇もあるのですが、
そちらも、ご覧になりますか?」
「何て、演目なんだ?」
「はい、『モモコとタロウのオーガ討伐』です。」
「あ~、何となくストーリーが分かる様な気がするから、
そっちは、いいや」
「分かりました。
では、最後に予定して居ります
入浴施設に参るとしましょう。」
「へ~、入浴施設なんてあるんだ。」
「ええ、勇者ライ様が、
大量の、水魔法と火魔法が付与された
魔石を寄付なさって、
造られた施設だそうです。」
「あ~、ライさんも、
大の風呂好きだからな~」
「ええ、そうらしいですね、
色々な種類や温度の、お風呂が楽しめるそうです。」
「温泉もあるのかな?」
「オンセンですか?」
「ああ、そう言えば、
ヒナギク達は知らないか、
地面を、とても深くまで掘ると、
偶に、地下水じゃ無くて、
熱いお湯が出る事があるんだよ」
「へ~、その様な事があるのですか、
それは不思議ですね」
「ああ、お前達の先輩で、
俺の部下達の故郷の村に、
大きな温泉入浴施設があるから、
次の目的地のマッスル王国から、
コウガ領への帰り道にでも、連れてってやるよ」
「私達の為に、態々連れて行って頂くのでは、
申し訳がありません」
「いや、俺も、
久し振りに行きたいし、
どうせ、通り道なんだから気にする事無いぞ、
なあ、ミルク、チビリン」
「はい、私も久し振りに行きたいですわ」
「キキキ~!」
「そういう事なら、お供させて頂きます。」
「おう、楽しみにしておけよな」