来てます来てます。
「サスケ様、タナーカの街の観光ですが、
どこから周りますか?」
翌日となり、
朝食を終えてから、一休みしたサスケ一行は、
タナーカの街の観光へと、繰り出す事とした。
昨日、街中を見て周ったヒナギク達が、
何か所かをピックアップしているので、
そこを中心として周る予定だ。
「そうだな~、タンポポが言ってた
掘り出し物がありそうな、
魔導具屋っていうのが気になるから、
まずは、そこからかな・・・」
「分かりました。
では、そちらからご案内を致します。」
「おう、頼むぞ」
一行は、街の風景を楽しみながら、
タンポポの先導で魔導具屋を目指す
時折、興味を引く店などを覘きながら、
進んで行くと、『マジカルショップ マユツバ』という、
看板が掲げられた店へと着いた。
「う~む、何で店の名前をコレにしたのか、
店長さんに聞いてみたいものだな・・・」
「サスケ様、どうかしたのですか?」
「ああ、この店の名前なんだが・・・」
「これですか?
ああ、かの有名な魔導具発明家として知られる、
『マユツバ・テヅーマ』様に肖ったんでしょうね」
「その人って、そんなに有名なのか?
ミルクは、聞いた事があるのか?」
「ええ、勿論存じ上げて居りますわ、
魔法学校の授業でも、度々名前が出て来ますし、
あの、世紀の大発明と言われている、
『全自動ネコジャラシ機』を造られた方ですもの」
「それ、世紀の大発明か!?」
「ええ、ネコ系の獣人の方々には、
神の産物と呼ばれてますわ」
「随分とピンポイントなニーズだよな、
イヌ系の獣人とか、
人族は興味を示さないんじゃ無いのか?」
「ええ、そこで後から、
消費拡大の為に発売されて大ヒットしたのが、
イヌ系の獣人の方々用の『全自動 棒投げ機』と、
人族用の『全自動 相槌打ち機』ですわ」
「『全自動棒投げ機』は、どんなもんか何となく分かるけど、
『全自動相槌打ち機』ってのは、どんなもんなんだ?」
「私も実物は見た事が無いのですが、
なんでも、魔導具に向かって話しかけると、
時々『へ~』とか『そうなんだ』とか、
相槌を打つそうですわ」
「そんなもん、買う人が居たのか?」
「ええ、家庭内で空気みたいな扱いを受けてる、
お父さんとか、
単身赴任をしている、
お父さんに大人気だそうです。」
「お父さん限定かよ!?
もっと、お父さんを大事にしろよ!」
さっそくサスケ一行は、
店を覘いて見る事とした。
「いらっしゃいませ」
サスケ達が、店のドアを開けて入って行くと、
カウンターで、魔導具の修理をしている男性が声を上げた。
「ちょっと、商品を見せて貰っても良いですか?」
「ええ、どうぞどうぞ」
店の人の許可を貰えたので、
一行は店内を見て周る事とした。
「ふ~ん、割と一般的な品物が多いみたいだな」
「そうですわね、他の店と同じ様な、
売れ筋商品が多い様ですわね」
「サスケ様、ミルク様、
面白い魔導具は、そっちの棚のじゃなくて、
奥の方にある、投げ売りコーナーのやつですよ」
「そうなのか、どれどれ」
タンポポの案内で、店の奥に進むと、
大きなテーブルの上に、数点の魔導具が置いてあって、
その上の壁には『でれでも1000ギル』と書いてあった。
「商品の一つ一つに簡単な説明が付いてるんですけど、
どれもこれも、変な魔導具ばかりなんですよ、
ほら、この『食品用 冷却・加熱機』っていうのも、
食品を凍りつかせるか、焦げ付かせるかしか出来ないんですよ」
「・・・・・。」
「あら、本当ね、
こっちにある『半自動 水汲み機』っていうのも、
人が井戸の釣瓶を引かなくては動かない上に、
そんなに早くは汲めないそうよ」
「ハハハ、それなら普通に汲んだ方が早いですよね」
「これを、買うには店の人に言えば良いのかな?」
「サスケ様、ホントに買うんですか!?」
「サスケさん、どれを買われるんですの?」
「ここにある、全部だ。」
「「「「「これを、全部!?」」」」」
サスケは、ヒナギクに頼んで、
店の人を呼んで貰った。
「当店の店主でマリックと申します。
お客様の方で、
ご入用の品物があると伺いましたが、
どちらの商品でしょうか?」
「この、投げ売りコーナーに置いてある品物を、
全部頂けるかな」
「これを全部ですか!?
これらは、私の娘が造った魔導具なのですが、
父親の私が言うのもなんですが、
実用性には乏しい物ばかりだと思いますけど、
宜しいのでしょうか?」
「ええ、俺は変わった魔導具を集める趣味があるんで、
全部、買わせて頂きます。」
「サスケ様に、そんな趣味があったっけ?」
「さあ?」
後ろで、ツバキとユリがヒソヒソと話している
「そういう事でしたか、
分かりました。
お買い上げ頂けるという事でしたら、
こちらとしても助かりますので、
喜んでお譲りいたしましょう。」
サスケは、その場で店長に代金を払うと、
購入した魔導具を『魔倉』へと収納してから、
皆と共に店を出た。
「サスケ様、あんなガラクタを大量に買われて、
宜しかったんですか?」
「何を言ってるんだタンポポ、
あれらの魔導具はガラクタじゃ無くて、
宝の山だぞ」