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転落勇者の人生大逆転物語  作者: シュウさん
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技術革新

「それで、その英雄殿が、

何で、この街へきたのじゃ?

観光か?」

ピッカリーが聞いて来た。


「ええ、それもあるのですが、

実は、俺も鍛冶をやっていまして、

ピッカリーさんの、お店を一度いちど拝見はいけんして見たかったんですよ」


「おお、そう言えば、

リーナからの手紙に、ライや、アルビナ国王に、

剣をおくったと書いてあったのう。」


「ええ、本職の鍛冶師では無いので、

商売ではなく、

お世話になった方達や、

自分や部下が使う剣を造ってるんですよ」

(まあ、ピロンの街では、

スライバー様に頼まれて魔法剣を造ったけど、

店を構えている訳では無いので、良いだろう。)


「どんな物を造っとるんじゃ?」


「これです。」

サスケは『魔倉まそう』から、

ピロンで造った魔法剣の予備を取り出すと、

ピッカリーに手渡した。


「ほう・・・黒魔鋼こくまこう製の魔法剣か、

付与してあるのは、治癒ちゆと疲労回復か?」


「ええ、流石さすがですね、

その通りです。」


「剣としてのバランスもなかなか々だし、

切れ味も良さそうじゃのう」


「ありがとう御座います。」


「しかし、黒魔鋼を材料としてったら、

材料費だけでも、馬鹿にならんじゃろう。」


「ええ、普通なら、そうなのでしょうが、

俺の場合は、魔法で地中から『抽出ちゅうしゅつ』したり、

スキルで魔力を消費して造れるんで、

基本的に、材料費はタダなんですよ」


「それは、鍛冶師としてはうらやましいかぎりじゃのう

すぐれた材料で、思う存分ぞんぶんに剣を打つのは、

鍛冶師の夢じゃからのう」


「何でしたら、

黒魔鋼を格安かくやす融通ゆうずうしましょうか?」


「それは、うれしいが、

お主だって使うじゃろうが」


「ええ、実は前から考えていた剣の造り方があるのですが、

それが、上手うまく行けば、

黒魔鋼の使用量を大幅に減らせるんですよ」


「それは、興味深きょうみぶかい話じゃな」


「ピッカリーさんのアドバイスもいただきたいので、

こちらの作業場をお借りしてもよろしいでしょうか?」


「うむ、ワシも見てみたいから、

構わんぞい」


「ありがとう御座います。」


サスケとピッカリーは、

ミルクとチビリンを店に残して、

奥の作業場へと移動した。


「まずは、材料なんですけど、

黒魔鋼と、普通の魔鋼を使います。」

サスケは『魔倉』から、

黒魔鋼と魔鋼のインゴットを取り出す。


「まさか、ぜるんじゃなかろうな?

ワシもこころみた事があるが、

黒魔鋼の能力が落ちてしまうぞい」


「やはり、ピッカリーさんも試してましたか、

俺も、やってみた事があるんで、

混ぜるのがダメな事は知っています。」


「ふむ、そうか」


「ええ、これらを混ぜるのでは無くて、

黒魔鋼を魔鋼で挟む様にするんですよ、

切断せつだん』『変形』『接続』っと」

サスケは、それぞれのインゴットから必要量を切り取ると、

細長く伸ばしてから、

2枚の魔鋼の板で、黒魔鋼の板をサンドイッチにして接続した。


「ほう、面白い考えじゃな」


「お分かり頂けましたか?」


「うむ、これが上手く行けば、

黒魔鋼の使用量を3分の1に出来るのう」


「ええ、それじゃ熱を加えて打ってみますね」

サスケは、金属合板きんぞくごうはんにくべると、

『魔倉』から、アダマンタイト製のマイつちを取り出した。


「うむ、相槌あいづちを打つぞい」

ピッカリーも、リーナからプレゼントされた

アダマンタイト製の槌を手に持った。


炉から取り出された

あかあか々と輝く金属合板に、

キン!カン!キン!カン!と小気味こきみよく、

2人の槌が振り下ろされる、

実力者同士が打っているので、

金属合板は、その姿をみるみると剣の形へと変えて行く


「ふむ、こんなもんで良いじゃろう」


「はい!

では、焼きを入れます!」

サスケは、打ちあがった物を炉にくべて熱すると、

ドワーフ油が加えられている水の中へと、

一気に突っ込んだ。


ジュワ~~~ッ!と水蒸気が立ち込めて、

それが、おさまった頃合ころあいで、

サスケは水から引き抜いた。


みがきを掛けます。

清掃せいそう』『研磨けんま』」

サスケがとなえると、すすが落ちて、

いぶし銀と漆黒しっこくが、美しい波紋はもんを作り出す剣が現われた。


「ほう、美しくもあり、

面白みもある剣が打ちあがったのう」


「ええ、この刃に浮き出た模様もようを、

波紋って言うんですけど、

材料や作業状況によって、その姿を変えるんですよ」


「なる程のう

一つとして、同じ物は無いという事じゃな」


「ええ、そういう事です。

では、魔力を通してみますね」

サスケが魔力を通してみると、

黒い部分が問題無く、魔力を流すのが確認出来た。


「問題無い様じゃな」


「ええ、大丈夫みたいです。」


「しかし、これは画期的かっきてきな事じゃぞ、

今までよりも、安価あんかな魔法剣が製造出来るという事じゃ」


「ええ、俺は貴族になりましたが、

現役の冒険者でもありますので、

この剣で、一人でも多くの冒険者達が生き残れれば、

嬉しいです。」


「そうじゃな、

幸いにして、今の世界には平穏へいおんおとずれてるから、

この剣が戦に使われる心配も無さそうじゃしな」


「ええ、それなんですけど、

いずれは、この製造方法に気付く者も出て来ると思いますけど、

一応いちおうそれまでは、ピッカリーさんが信用しんよう出来ると思う人にだけ、

教える様にしてくれますか?」


「うむ、構わんぞい、

この剣の造り方は、ワシが信用出来る身内の者だけに、

伝える事とするぞい」


「ありがとう御座います。」

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