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転落勇者の人生大逆転物語  作者: シュウさん
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乗っかって行こう!

「ようこそタナーカの街へ!

身分証明書の提示ていじを、お願いします。」

街の入り口で、いつものごとく求められる。


アルビナ王国の王都を出発したサスケ一行は、

次の目的地である、タナーカの街をおとずれていた。

「はい。」

「どうぞ。」

「「「「お願いします。」」」」

サスケ達は、今回この街へと来たのが、

公務こうむでは無い為、冒険者カードを提示した。


「はい、確認させていただきました。

皆さん、冒険者の方達ですね、

どうぞ、お通り下さい。」


「兵士さん、

この街の観光名所って何かありますか?」


「ああ、自分は最近この街へと赴任ふにんして来たので、

その辺の事は分からないのですよ」


「そうなんですか」


「ええ、長い事、

この街の入り口で警備を担当していたベテラン兵士が、

悪徳あくとく業者と癒着ゆちゃくをしていまして、

ワイロをもらっていた事が判明はんめいしたので、

更迭こうてつされたんですよ」


「へ~、どこにでも悪い人は居るもんですね」


「ええ、今回の事件が明るみに出るまでは、

あの勇者ライが、この街に初めて現れた時も、

ここで、応対おうたいをしたって、

尊敬そんけいされてた人なんですけどね」


「ほお、勇者ライの・・・」

(ライさんに聞いたら、憶えてるかな?)


「ええ、勇者ライが、

この街に来たさいに、

身分を証明できる物を所持しょじしていなかったので、

魔導具で罪歴ざいれきを確認したらしいですよ」


「勇者ライにも、そんな頃があったんですね」

(そうすると、こちらの世界に来たばかりの頃だな)


「本当ですね」


「あっ、長々(ながなが)とお時間を取らせてしまい、

申し訳ありませんでした。

面白い、お話を聞かせて頂きました。」


「いえいえ、大したことはありませんよ、

タナーカの街を、存分ぞんぶんにお楽しみ下さい。」


「ありがとう御座います。」

サスケ一行は、兵士に礼を言うと、

馬車を街の中へと進めた。


「サスケさん、このまま、

直接、リーナさんのご実家に行かれるのですか?」


「いや、ヒナギク達も長旅で疲れているだろうから、

先に、泊まる所を決めちまおう。」


「そうですか、分かりました。」


「さ~て、どこの宿が良いかな・・・」


「キキッ!」


「おっ、チビリン、

どこか良さそうな宿が、あったか?」


「キキ~。」

チビリンが指差す方を見てみると、

看板に、海賊旗のシャレコーベの部分が、

馬の頭蓋骨ずがいこつになっているという

斬新ざんしんなデザインの宿屋があった。


「『馬の骨亭』か・・・

何が、チビリンの心の琴線きんせんれたのかは分からないけど、

野生のカンに間違いは無いだろう。」


「サスケさん、こちらの宿にするのですか?」


「ああ、そうしよう

ヒナギク達は、手分けして、

宿泊の手続きや、馬車を置き場に運んでくれるか」


「「「「はい、サスケ様!」」」」


「それがんだら、

宿で休むも良いし、街へ遊びに出ても良いぞ、

おお、そうだ、小遣こずかいをやっておくか」


「わ~、やった~!」

「こら!タンポポ、駄目でしょう。

サスケ様、お小遣いなど、

恐れ多くて頂けません」


「ハハハ、相変あいかわらずヒナギクはかたいなぁ、

皆が頑張がんばってるのを、いつも見ているから、

今日は、特別にご褒美ほうびあたえる事にしたんだよ」

「サスケさんも、こうおっしゃってる事だし、

遠慮えんりょせずに頂いた方が良いわよ」


「分かりました。

サスケ様と、ミルク様が、そう仰って下さるなら、

ありがたく頂戴ちょうだいいたします。」

「やった~!」

「タンポポは、もう少し遠慮ってもんを、

憶えた方が良いわよ」

「言えてる言えてる」


サスケは、ヒナギク達に小遣いを渡すと、

ミルクとチビリンをともなって、

ピッカリーの店へと行く事にした。


娘のリーナが、勇者ライの嫁におさまってる事もあって、

ピッカリーの店は、街の人に聞いたら、

ぐに分かった。


「ここが、ピッカリーさんの店か・・・」

店の看板を見上げるサスケの視線の先には、

『勇者ライご用達ようたつの店

マッスル王室ご用達の店

アルビナ王室ご用達の店

ザドス王女ご推薦すいせんの店

パサラちゃんも大好き

伝説の指ぬきグローブ(黒)もあるよ!』と書かれていた。


「どんだけ、乗っかってるねん!!」


「ねん?」


「い、いや、

そこは、気にしないでくれるかミルク、

余りにも乗っかってたんで、

思わずツッコミが関西弁になってしまっただけだから」


「はあ・・・?」


「ワシの店先で、騒いでいるのは誰じゃ!」

店の中から、一目でドワーフと分かる、

身長が低くガッチリとした体格の、

壮年ぐらいに見える男性が出て来た。


「お騒がせして申し訳御座いません

こちらの店の、

ご店主でられるピッカリーさんですか?」


「いかにもワシは、ピッカリーじゃが、

そういう、おぬしは何者じゃ?」


「申し遅れました。

私は、ライさんの友人でサスケと申します。」

「妻のミルクで、御座います。」


「おお!

お主らが、サスケ殿とミルク殿か、

リーナから話を聞いてるぞい、

このたび、英雄に認定された御仁ごじんよな」


「はい、わたくしごときには過分かぶん称号しょうごうなのですが、

ライさん達の、御働おはたらきも御座いまして、

認定して頂きました。」


「フォフォフォ、そう謙遜けんそんする事も無かろうて、

世界に死病しびょう蔓延まんえんする事を、

未然みぜんふせいだのじゃから、

十分に、その資格はあるぞい」


「はい、ありがとう御座います。」

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