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転落勇者の人生大逆転物語  作者: シュウさん
179/238

幕間18

「とっ、停まれ!?」

当然の様に、

ジュリーとコテコテが乗ったエアカーは、

コウガの街の入り口で、警備の兵士に停められた。


「おつとめ、ご苦労様くろうさま。」

エアカーの座席から、

ジュリーが顔を出して、声を掛けると、

警備の兵士は、ホッとした顔を見せて言った。


「何だ、ジュリーさんだったんですか、

こりゃ、一体全体いったいぜんたい何ですか?

また、ご領主様が造られた魔導具か何かでしょうか?」


「いや、今回は違うんだよ、

ダンディさんに、会ってもらおうと思ってる、

お客人の、魔導具みたいな物なんだ。」


「へ~、そうなんですか、

分かりました。

どうぞ、お通り下さい。」

他の街では、こうは行かなかったであろうが、

日頃ひごろから、サスケが造る魔導具を見慣みなれている、

コウガの街の兵士には、

エアカーも、すごい魔導具程度の認識にんしきしか、

持たなかったのであった。


「あんがと。」

ジュリーは、警備兵に礼を言うと、

コテコテに指示を出して、ダンディが居ると思われる、

領主の城を目指してエアカーを発進させた。



コウガ領の代官だいかんとして、

城の執務室しつむしつで書類に目を通していたダンディは、

部下より、ジュリーが面会を希望していると聞いて、

珍しい事もあるもんだと思いつつ、

会ってみる事にした。


「おはよ御座ございます。ダンディさん」


「お早う。ジュリーちゃん

ここに来るなんて珍しいわね、グワッツ!」


「うん、難しい書類を見ると、

頭が痛くなるから近づかない様にしてたんだけど、

今日は、ダンディさんに会いたいって言う、

お客さんを連れて来たんだ。」


「私に、お客様?」


「あれ?」


「どうかしたの、ジュリーちゃん?」


「ダンディさん、

言葉の終わりに『グワッツ!』って、

付けないんですか?」


「ああ、それだったら、

神様っぽい方から、

面倒くさいから、たまに付ける様にしろとの、

神託しんたくっぽいもんがあったのよ、グワッツ!」


「そうなんだ。」


「それで、私に会いたいって人は誰なの?」


「何か、コウガ領と貿易ぼうえきをしたいって言ってたから、

ダンディさんに話を聞いてもらおうと思って連れて来たんだ。

今、控室ひかえしつで待ってて貰ってるから、

連れて来ても良いかな?」


「特別な特産品が無い、このコウガ領と貿易?

お館様の魔導具が欲しいのかしらね?

まあ良いわ、

お会いして話せば、その辺も分かるわよね、

ジュリーちゃん、その人をお通ししてくれるかしら」


「ありがとう。ダンディさん」


ジュリーは、控室にコテコテを呼びに行くと、

一緒に執務室へと戻って来た。


「ダンディさん、この人だよ」

「初メマシテ、私ハ、コテコテト申シマス。」


「このお方は!?

・・・・・・・・・・・タコ獣人の方ですか?グワッツ!」


「・・・ハイ、ソウデス・・・グワッツ?」


「いえいえ、グワッツは私の口癖くちぐせの様なものですので、

どうぞ、お気になさらずに、

私は、ここコウガ領で代官を務めてります

ダンディ・イタイノと申します。

宜しくお願いします。コテコテ殿」


「コチラコソ、宜シク、オ願イシマス」


「それで、コテコテ殿は、

我が領との貿易をのぞまれて、

いらっしゃると、お聞きしたのですが、

品物としては何を望まれて、

いらっしゃるのでしょうか?グワッツ!」


「ハイ、私ガ望ンデイルノハ、

純度ガ高イ鉄デゴザイマス、

我ガ船ノ探知機ニテ、

コノ地ニ大量アルトノ反応ガアリマシテ・・・」


「ああ、お館様が、

地中からの『抽出ちゅうしゅつ』と『錬成れんせい』の訓練で造られて、

城の倉庫の中に、山積やまづみされている鉄インゴットの事ですね」


多分たぶん、ソレダト思イマス。」


「それで、コテコテ殿は、

何を持って対価たいかとして考えられて、

いらっしゃるのでしょうか?グワッツ!」


「コレラノ物デス。」

コテコテは、指輪の様な『空間庫くうかんこ』から、

いくつかの物を取り出すと、

執務室のテーブルの上に並べた。


「これは!?

コテコテ殿、申し訳ないが、

一応、鑑定かんていしてみてもよろしいですか?」


「ドウゾ」


「では失礼して、

『鑑定』・・・ふ~む、金・プラチナ・銀などで、

間違い無い様ですね、グワッツ!」


「コンナ物モ、アリマスヨ」


「これは、金剛石こんごうせきですか?

それも、こんなに大きいなんて・・・」


「ダンディさん、金剛石って、

前に、お頭が言ってた

ダイヤモンドとか言う宝石の事?」


「その通りよジュリーちゃん、グワッツ!」


「コノ星デハ、コレラノ品物ガ貴重きちょうナ様デスガ、

私ノ星デハ、レタ物ナノデスヨ、

ソノ代ワリニ、鉄ガほとんド産出サレマセンノデ、

トテモ貴重ナノデス。」


「ホシ?」


「ダンディさん、

コテコテさんの所では、

大陸の事をホシって言ってるんだって」


「なる程、他の大陸からいらした方でしたか、

しかし、金剛石などという貴重な品も、

そちらでは、有り触れた物なんですか?グワッツ!」


「ハイ、山ヲ少シ掘レバ、

タクサン出テ来マスネ、良ク燃エルノデ、

昔ハ燃料トシテ使ッテイタノデスガ、

最近ハ、クリーン燃料ガ主体トナッテイマスノデ、

態々(わざわざ)、掘ル者ハ見掛みかケラレ無クナリマシタ。」


「こ、金剛石が燃料・・・

それで、貿易の条件じょうけんいたしましては、

如何いかが致しましょうか?」


「分カリやすク、同重量どうじゅうりょうノ交換デハ、

如何デショウカ?」


「えっ!?同じ重さで良いんですか?グワッツ!」


「先程モ、申シ上ゲマシタガ、

我ガ方デハ、鉄ノ方ガ貴重ナノデス。」

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