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転落勇者の人生大逆転物語  作者: シュウさん
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ビシバーシの街

「それじゃあ、色々とお世話になりました。」


「うむ、今回は英雄殿との手合せが出来なくて残念であったが、

次に会った時には、是非ぜひヤロうではないか」


「ま、まあ、機会きかいがありましたら・・・」

ザドス王国での日程を終えたサスケ一行が、

次の目的地であるアルビナ王国へと向かう日の朝、

見送りに来たザドス王とサスケが挨拶あいさつかわわしていた。


「アルビナ王国へと向かう街道沿いにある、

ビシバーシの街を治めているドベシ伯爵は、

私の妻の兄上だから、顔を出してみるが良いぞ」


「そうなんですか、分かりました。

寄らせていただこうと思います。」


「うむ、そうするが良いぞ」


「では、ザドス王様、

これで失礼します。」

「お世話になりました。」

「「「「失礼します!」」」」

「キキッ。」


「うむ、サスケ殿達なら心配いらないと思うが、

気を付けて行くのだぞ」


こうして、サスケ一行は次の目的地アルビナ王国へと向けて、

ザドス王国の王都を後にしたのであった。


「今回の旅のお蔭で、

サイゾウ様に起こった事を知る事が出来てスッキリしました。

サスケ様、私達をザドス王国へお連れ下さって、

ありがとう御座いました。」

サスケ特製の馬車なので、

ガタゴトならぬ、カタコトと進む馬車の御者台にて、

馬車を操車するサスケに、

その隣に腰掛けたヒナギクが話し掛けた。


「そうか?

ヒナギク達が、知らない方が良かった内容も、

含まれていたんじゃないか?」


「いえ、良い事も、悪い事もふくめて、

私達の村を作って下さったサイゾウ様の過去を知れたのは、

あの村で、生まれ育った私達に取って重要な事だと思うんです。」


「うん、まあ・・・そうだな、

俺も、分からない状態でモヤモヤするよりは、

良いに付け、悪いに付けハッキリした方が良いな」


「はい。」


そして、途中とちゅういくつかの街に宿泊しながら、

街の兵士や傭兵の「ヤラないか?」というセリフをかわしつつ、

旅程りょてい消化しょうかしたサスケ一行は、

ザドス王国の王都を出発してから5日後に、

ザドス王より聞いていたビシバーシの街へと到着とうちゃくした。


「身分を証明出来るものの提示ていじをお願いします。」

街の入り口で、いつものやり取りを覚悟かくごしつつ、

サスケは、警備の兵士に冒険者カードを提示する。


「ああ、英雄のサスケ様ですね、

ザドス王様より、早馬はやうまにて連絡が入ってります。

我があるじドベシ様の元へと、ご案内致しますので、

こちらへ、どうぞ」


「あれ?」


「どうか、されましたか?」


「この街の兵士の人は『ヤラないか?』って言わないんですね」


「ああ、それですか、

実は、ザドス王様からの早馬にて、

英雄様のご来訪らいほうを知らせる他に、

『俺が手合せしていないのだから、他の者にも禁止』との、

通達がされたんですよ」


「なる程、そういう事ですか」

(出来れば、他の街へも通達して欲しかったな・・・)


サスケ達は、馬車をあずけてから、

兵士の案内で、領主のドベシ伯爵が待つ城へと向かった。


「初めましてドベシ伯爵殿、

フェルナリア皇国にて公爵位を、

そして、マッスル王国とルクシア共和国にて、

子爵位をたまわっている、

サスケ・モンキーフライ・コウガです。」

「お初に、お目に掛かります伯爵様、

サスケの妻のミルクと申します。」

今回は、相手のドベシ伯爵の事を良く分からないので、

ヒナギク達とチビリンは、

一応いちおう控室ひかえしつにて待機たいきしていた。


「おお、英雄殿、奥方殿、

ビシバーシの街へと、良くまいられた。

ワシが、この街の領主ドベシ・ビシバーシ伯爵だ

堅苦かたくるしい事はきらいなので、

楽にしてくれたまえ」


「私も苦手なので、それは助かります。」

「分かりましたわ」


「うむ、

そう言えばサスケ殿は、ライ殿と同郷との事であったな」


「ご存じなんですか?」

元勇者候補として名前が知られるサスケとは違って、

ライが異世界からおとずれた事を知る者は少ないので、

サスケは、少しおどろいた。


「ああ、ライ殿が勇者と成られる前に、

ルクレツェア王女らと共に、

我が街に滞在たいざいしてった

めいのエルザをたずねて来た事があってな、

その後も、時々(ときどき)お会いする機会がありうかがったのだ。」


「そうだったんですか、

はい、確かに私はライさんと同郷ですね」

(ああ、ザドス王の奥方の兄って事は、

エルザさんの伯父君おじぎみって事か・・・)


「あの壁にかざってあるアダマンタイト製の剣も、

ライ殿からもらった物なんだよ」


「ほう・・・

材質も大した事ながら、素晴らしい作りの剣ですね」

サスケは、同じ鍛冶かじを行う者として、

その剣の製作者に何かを感じた様だ。


「うむ、贈答ぞうとう用に製作された剣なので、

装飾そうしょくには華美かびきらいがあるが、

この剣の神髄しんずいは、その実用性にあると言えるな、

実際じっさいに手に取って、剣を振って見ると分かるんだが、

重心じゅうしんのバランスなどが絶妙ぜつみょうなのだ。」


「名のある方の作品なのですか?」


「エルザと同じ、

ライ殿の奥方であるピッカリーナ殿の御父上が、

打たれた剣と言って居ったぞ」


「リーナさんの、お父さんが・・・」


「サスケ殿らは、

これからアルビナ王国へと向かわれるのであったな?

この剣の製作者にご興味きょうみがおありなら、

ピッカリーナ殿の御父上の店が、

アルビナ王国の、タナーカの街にあるから、

たずねられては如何いかがかな?」


「ホントですか!?

それは、にでも行ってみたいですね、

ドベシ伯爵殿、教えて頂いてありがとうございます!」

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