ザドス王との謁見
ザドス王国の王都入りをしたサスケ一行は、
その足で王城を訪ねる事にする、
王城の入り口にある門に警備の兵士達が立っているので、
サスケは英雄証明書を提示しながら声を掛けた。
「済みません
サスケ・モンキーフライ・コウガと申しますが、
ザドス王への、お取次ぎをお願いします。」
「「「「おおっ!英雄様ですか、
どうです俺達と一つ「やりません。」
そうですか・・・残念です。」」」」
この国に入ってから、何度となく繰り返した
やり取りを終えてから、
兵士が城の中に聞きに走った。
暫く城門で待って居ると、
先程の兵士が戻って来て、
城の中へと案内される、
馬と馬車を兵士達に任せたサスケ一行は、
全員で城の中へと入って行った。
「サスケ様、私達まで、
ご一緒しても良かったのでしょうか?」
物珍しさからキョロキョロと周りを見回している、
タンポポらを余所に、ヒナギクが聞いて来た。
「ああ、ヒナギク達は護衛扱いだから大丈夫だぞ、
それに、サイゾウ様の話も聞きたいだろうからな」
「ありがとう御座います。
サスケ様。」
王城にある、応客の間へと案内されたサスケは、
部屋の入り口で案内の兵士に聞いてみる、
「王との、ご謁見には、
護衛の者達も入って大丈夫でしょうか?」
「ええ、うちの王様は細かい事は気にしない方なので、
問題無いと思いますよ」
「そうですか、ありがとうございます。」
案内の兵士が、
ドアに付いているノッカーをカンカンと鳴らしてから、
部屋の中へと声を掛けた。
「英雄サスケ様と奥方様、
並びに、お付の方々をお連れしました。」
「うむ、案内ご苦労、
どうぞ、お入り頂け。」
「はっ、畏まりました。
皆さま、どうぞこちらへ・・・」
兵士がドアを開けてくれたので、
サスケを先頭に、応客の間へと入って行った。
「おう!良く来てくれたなサスケ殿、
ミルク殿も、お元気そうで何よりだ。」
「お久し振りですザドス王、
英雄認定の儀では、お世話になりました。」
「ザドス王様も、ご健勝な、
ご様子で何よりですわ。」
「ハハハ、俺は力と健康だけが取り柄だからな」
「また御冗談を、
それだけで、これ程の国を治められる訳が、
無いではありませんか」
「いや、ウチの国の場合は、
力こそ正義っていう風潮があるから、
結構、それだけでも治められるもんだぞ、
と言う訳で、どうだ俺とヤラないか?」
「ザドス王、あなたもですか・・・」
サスケは、頭痛がする様な仕草をしながら、
ため息を吐いた。
「当り前であろう
折角、英雄殿を国に招いて、
手合せをしなかったとあれば、国民に笑われるわ!」
「はあ、それはまた
凄い国民性ですね、
でも、俺の戦い方は、この国と合わないと思いますよ」
「そうか、そう言えば、
英雄殿は、ニンジャマスターの職であったな・・・」
サスケは、ザドス王の言葉に、
何か苦い響きを感じたので尋ねてみた。
「ザドス王は、ニンジャマスターを、
ご存じなのですか?」
「うむ、俺が直接ニンジャマスターの職を持った者に、
会った訳では無いのだが、
ある理由があり、知って居るのだ。」
サスケは、ザドス王の表情を見て、
ある予感を感じたので、直接質問をぶつけてみる事とした。
「そうなのですか・・・
ザドス王は、サイゾウという名に、
聞き覚えが御座いませんか?」
「サスケ殿、その名をどこで!?」
「やはり、ご存じでしたか、
実は・・・」
サスケは、フェルナリア皇国で訪れたイガ村の事を、
ザドス王へと語り聞かせた。
「何と、サイゾウ殿が皇国へと落ち延びて、
村を起こされていたとはな・・・」
ザドス王は、悠久の時に思いを馳せる様な、
表情をしながら呟いた。
「そして、彼女達は、
その村の住人です。」
サスケは、ザドス王にヒナギク達を紹介した。
「おおっ!その方らが、
サイゾウ殿が起こされた村の住人か!」
ヒナギクらは、
ザドス王の勢いに気押された様子で、
声を出さずに、ペコリと頭を下げた。
「彼女達は、当時のサイゾウ様に何があったのかを知りたくて、
俺に付いて来たのですが、
ザドス王が何かご存じでしたら、教えて頂けませんでしょうか?」
「う~む、これはザドスを治める王にのみ、
代々(だいだい)、口伝で伝えられて来た事なのだが、
サイゾウ殿の関係者である彼女らになら、
話しても構わんだろう。」
「俺やミルクは、部屋から出ていましょうか?」
「いや、それには及ばんぞ、
聞けば、サスケ殿はイガ村の領主となったとの事だからな、
この話を聞く権利は十分にあるであろう。」
「分かりました。
では、一緒に聞かせて頂く事とします。」
「うむ、では話すとするか、
時は、勇者イチローが、
この世界シエラザードへと召喚された300年程前から、
数年の後の事だそうだ・・・」