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転落勇者の人生大逆転物語  作者: シュウさん
170/238

観光地名物

「なあ、タンポポたちって冒険者登録はしているのか?」

ザドス王国へと向かう馬車の御者ぎょしゃ台に座っているサスケは、

隣に座っているタンポポにたずねた。


「いいえ、してませんが必要ですか?」


「ああ、冒険者ギルドに登録するともらえる、

冒険者カードは、他の街や国に移動する際に、

身分証明書代わりになるから便利なんだぞ」


「へ~、そうなんですか、

サスケ様が必要だと思うんなら、

ウチらも作った方が良いですよね」


「この辺に、冒険者ギルドの出張所がある街とか、

あるのか?」


「ええ、ウチらがお使いにたまに行ってる、

ヤホーの街にありますよ」


「その街は、結構遠いのか?」


「いえ、近いですし、

ザドス王国へと向かう街道沿かいどうぞいにありますから、

このまま進めば通りますよ」


「そりゃ、ちょうど良いな、

寄り道して、みんなの登録をして行こう。」


「分かりました。

じゃあ、街に近づいたらサスケ様に知らせます。」


「おう、頼んだぞ」


「しかし、ウチらは、

これから、サスケ様たちと一緒に、

サイゾウ様を追い出したザドス王国へと向かうんですよね」


「ああ、そうだな、

しかし、300年も昔の出来事だし、

国が隠蔽いんぺいした出来事だからな、

たして何人の人が知っているやら見当けんとうも付かんな」


「そっか~、

もしかしたら、知ってる人が居ないかも知れないですね」


「ああ、その可能性が無きにしもあらずだが、

もしかしたら、何らかの形で聞きおよんでいるかも知れない、

ザドス王と、お会いする機会があるから、

何か聞いてないかたずねておくよ」


「お願いします。サスケ様」


タンポポと話をしながら馬車を進めているうちに、

寄り道をする予定の、ヤホーの街が近付いた様だ。


「あっ、サスケ様、

この先に見えて来た街が、ヤホーの街ですよ」


「おお、分かった。

そんじゃ、ちょっと寄って見るとするか」


街の入り口が近付いて来たので、

サスケは馬車の速度を落として、

馬たちを街の方向へと誘導ゆうどうした。


「そこの馬車よ停まれ、

何用で、この街へとおとずれたのか説明いたせ」

街の入り口で警備をしていた兵士が問い掛けて来た。


サスケは、無用むような騒ぎを起こさないために、

英雄認定書では無くて、

冒険者カードを見せながら兵士に告げた。

「はい、冒険者のサスケと申しますが、

連れの少女たちの冒険者登録をする為に、

この街を訪れました。」


「ほう、その若さでA級冒険者とは優秀なんだな、

分かった。通って良いぞ」


「はっ、ありがとう御座います。」

馬車は、無事に街の中へと通してもらえた。


「サスケ様、なんで英雄とか公爵って名乗らないんですか?」

ただの冒険者と名乗ったサスケを不思議に思った

タンポポが尋ねて来た。


「イガ村を訪れるまでの旅で経験したんだが、

英雄とか公爵って名乗ると、

領主様とか、街の有力者とかが出て来て、

大騒ぎになるんだよ、

たまには、ご馳走を食べるのも良いけど、

毎日毎日じゃ体に悪そうだろ」


「はぁ、人気者のつらさってヤツですね」


「まあ、そんなもんだな」


サスケたちは、

馬車をうまやあずけると、

ヤホーの街にある冒険者ギルドの出張所を訪ねた。


「こんにちは~!」

タンポポが元気よく挨拶あいさつしながら、

建物に入って行くと、

クエスト掲示けいじ板や、

打ち合わせ所をねた酒場にいる冒険者たちが、

一瞬目を向けるが、ぐに興味を失った様に視線が離れていった。


「いらっしゃいませ、

本日は、当冒険者ギルド、ヤホー出張所へと、

どの様なご用件でお出ででしょうか?」

受付に座っているエルフの受付嬢が、タンポポに声を掛ける。


(おお~、フローラさん兄妹以外のエルフを見たのは、

始めてだな)


「私たち、冒険者登録に来たんだ!」


受付嬢は、タンポポやヒナギク達を見ながら、

こう告げた。

「見た所、お嬢さん達は個人登録が出来る、

15歳にたっしていらっしゃらない様ですけど、

そうなると、B級以上の冒険者の方の保証が必要となりますが、

大丈夫でしょうか?」

受付嬢は、タンポポ達の連れの、

サスケとミルクが若く見えたので、

心配した様だ。


「ああ、大丈夫だ。

俺が保証しよう。」

サスケは、自分の冒険者カードを見せながら告げた。


「A級!?それと、お名前がサスケ様・・・

もしかして英雄サスケ様ですか!?」

受付嬢が、大きな声を上げたので、

ギルド内に居た冒険者達が、一斉いっせいに注目した。


「おい!英雄サスケだとよ!」

「意外と若いんだな・・・」

「あの人の特効薬のお蔭で、俺の家族は助かったんだよ」

「俺は、この建物に入って来た時から、

只者ただものじゃ無いって思ってたんだよ」

嘘吐うそつけ、

お前は連れの、女の子の尻ばかり見てたじゃねえか!」

「お、おいせよ、あれが本物の英雄サスケだとすれば、

連れは王女様かも知れないぞ」

「そ、そうか・・・」


「サスケ様が言ってた事が、良く分かりました。」

一気に騒がしくなったギルド内を見ながら、

タンポポが言った。


「も、もうわけございませんでした。」

みずからの失敗をさとった受付嬢が、

サスケ達に謝罪した。


「いえ、いつもの事なんで、気にしないで下さい。

それで、この子達の登録をお願い出来ますか」


「ありがとう御座います。

は、はい、ただちに手続きを行わせて頂きます。」


サスケの英雄の、ご威光いこうもあって、

ヒナギク達の冒険者登録はスムーズに進んで、

用事が済んだので、ギルドを後にしようとしたサスケ達に、

受付嬢が話し掛けて来た。

「あ、あの~、英雄サスケ様、

ギルドにかざりたいので、色紙にサインを頂けないでしょうか?」

この世界には、過去の召喚者が広めたと見られる、

サイン色紙が存在していて、サスケも度々頼まれていた。


「ええ、良いですよ」

サスケは、慣れた手付きでサラサラと書き込んだ。


「これは、何と書いてあるのですか?」

サスケから、色紙を受け取った受付嬢が尋ねた。


「ああ、俺が生まれ育った国の言葉で、

『俺が、ここを訪れた。』って書いてあるんですよ」


「そうなんですか、ありがとう御座いました。」


今後、ヤホーの街にある冒険者ギルドの出張所を、

サスケ以外の召喚者が訪れる機会があれば、

目にする事があるであろう

その色紙には『サスケ参上さんじょう』としたためられていた。

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