稲作
サスケ一行と、
イガ村の村民による宴会が開けた翌日、
サスケは、村の人達に稲作の指導を行っていた。
「稲作用の田んぼは、
畑と違って連作障害を考えなくても良いので、
毎年、収穫する事が出来ます。」
「ほう、それは良いですな」
「肥料などは必要無いのですかな?」
「俺の田んぼの場合、
アイガモを放し飼いにしてあるんですけど、
雑草や虫を食べてくれて、糞が肥料になっているので、
特別、与えてはいませんね」
「稲の病気とかは、あるのですか?」
「いえ、この苗に関しては、
俺が品種改良して、病気に強い品種にしてありますから、
心配無いと思います。」
「そりゃ助かりますな」
稲の育て方のレクチャーが終わったら、
田んぼの予定地に移動して、
土造りを始めた。
「村長さん、田んぼにするのは、
この辺りの土地になりますか?」
「ええ、この場所なら近くの泉から、
水を引いて来るのに適して居りますし、
ワシの家からも近いので、
ちょくちょく見に来れますからのう」
「そうですか、
じゃあ、邪魔にならない辺りに土を用意しますから、
田んぼ作りに役立てて下さい」
「土ですか?」
「ええ、田んぼを作るには、
下に粘土質の土を敷き詰めて、
水が滲み込まない様にしてから、
上に栄養豊富な土を使うのが良いので、
俺がスキルで造った土を使う様にして下さい」
サスケは女神から貰ったスキル
『恒久必出』を使って、
粘土質の土と、栄養豊富な土を造って積み上げた。
「地面を掘ったら、底と周りに粘土質の土を敷き詰めて、
水が吸い込まれない様にして下さいね」
「なる程、分かりました。」
「あと、田んぼの水は溜めっぱなしではなく、
泉から水を引き込んだら、
反対の方から排水する様にして下さい」
「それは、なんの為ですかの?」
「泉などの湧水には、
ミネラルと呼ばれる栄養素が含まれているので、
循環させた方が稲に栄養が行き渡るんですよ」
「ほう、そうなのですか、
分かりました。
その様に造りましょう。」
こうして、イガ村での稲作指導を終えたサスケたちは、
次の目的地であるザドス王国へと向かう事となった。
「では、サスケ様、
ヒナギクたちの事を、お願いしますぞ」
「ええ、彼女らがニンジャマスターと成れる様に、
育て上げる事を、お約束しましょう」
「サスケ様、私たちはニンジャマスターと成れるでしょうか?」
「ああ、ヒナギクさん達は、
幼い頃から忍術の修行をしていたんで、
基礎の部分がしっかりしているからな、
それに、俺には女神様から貰った
部下を育てるスキルがあるから大丈夫だよ」
「女神様というと、
女神フェルナ様の事ですか?」
「ああ、色々と便利なスキルを頂いたんだよ、
ちなみにチビリンを造ったのも、
そのスキルの内の一つだ。」
「さすが、英雄に成られたサスケ様ですね、
女神様から、いくつもスキルを授かるなんて、
凄過ぎます。」
「まあ、かなり便利なスキルではあるな。」
「サスケさんが、フェルナ様より頂いたスキルは、
便利過ぎますよ」
サスケの能力を良く知るミルクには、
そのチートさが良く理解出来る様だ。
「キキキ~」
チビリンも、ミルクと同感の様だ。
「良し、じゃあ出発するかな、
みんな、馬車に乗り込んでくれるか」
「「「「は~い!」」」」
「分かりました。サスケさん」
「キキッ!」
御者台のサスケの横には、
ザドス王国への道案内を務めるタンポポが座り、
他の者らは馬車の中へと乗り込んだ。
「そうだ、村長さん、
イガ村の森から出る時に、
入り口の結界を解除しても宜しいでしょうか?」
「そうですな、
この村はサスケ様の庇護下に入れて頂いた事ですし、
あれが働いていては、行商の方が来られませんからな」
「ええ、ケンさんが困ると思うんで、
解除して置きたいんですよ」
「分かりました。
サスケ様に解除を、お願いします。」
「ありがとう御座います。」
「それじゃあ、お前たち、
サスケ様たちの言う事を良く聞いて、
達者で暮らすんだぞ」
「はい、村長さんたちも、お元気で、
必ずやニンジャマスターとなり戻ってまいります。
父さん、母さん、コギク、行って来るわね」
「みんな、行って来るよ!」
「頑張ってまいります。」
「美味しい物を送るからね!」
「あ~、感動のお別れみたいになってる所を申し訳ないんだけど、
イガ村には簡単に来られますよ」
「しかし、サスケ様のコウガ領は遠いのではないのですか?」
「ええ、位置的には遠いんですが、
俺が造った魔導具で、
離れた地に一瞬で移動する物がありまして、
その出口を、森の入り口近くに置いたんで、
いつでも来られるんですよ」
「その様な魔導具があるのですか!?
それは凄いですな」
「ええ、まだ各国の王族ぐらいしか利用できないのですが、
行く行くは、大きな街の冒険者ギルドなどに、
設置出来たらと思います。」
「もし、そうなれば、
非常に便利になりますな」
「ええ、戦に使われる心配がされていたのですが、
『魔王熱』の騒動があってから、
各国の垣根が下がってる印象があるんで、
実現不可能では無いと、俺は思ってるんですよ」
「サスケ様の働き掛けがあれば、
実現出来るかも知れませんな」
「ええ、各国の王様や、
勇者ライさんに、
その様に相談してみようかと思います。」