キリガクレ
「さて、お腹も膨れた事だし、
お茶でも飲みながら、
改めて自己紹介でもするか、
まずは俺から行くぞ、
俺の名前は、サスケ・モンキーフライ・コウガで、
一応、つい最近に英雄認定されたんだよ、
ルクシア共和国とマッスル王国の子爵で領地を持っていて、
フェルナリア皇国では公爵だな。」
「英雄様ですか!?
あと、3か国で爵位を持つなんて可能なんですか?」
ヒナギクが、当然の疑問を投げて来た。
「いや、普通は無いだろうな、
俺の場合は、特殊な状況が重なった結果なんだが、
その辺は、イガ村でも聞かれるだろうから、
その時に、村の皆さんも含めて話す様にするよ。」
「分かりました。」
「次は私ですね、
サスケさんの妻でミルクと申します。
先日、父と和解を果たしたので、
フェルナリア皇国の王女に戻りました。」
「「「「「「「「王女様!?」」」」」」」」
「キキキ~!」
「今のを通訳すると、
俺が造ったゴーレムのチビリンだヨロシク!との事だ。」
「チビリンちゃんてゴーレムなんですか!?」
「生きてる様にしか見えませんよ!?」
「ああ、俺の特殊なスキルで造ったから、
そう見えるんだよ、
普通の錬金術じゃ、ここまで生き物らしくは造れないな。」
「サスケ様って、
規格外にハイスペックですね・・・」
「ホント、出来ない事なんて無いみたい。」
「そうでも無かったんだが、
まあ、その辺はイガ村で話してやるよ。」
「じゃあ、次は私たちですね、
私の名前はヒナギクで、
イガ村くノ一クラブのリーダーをしています。」
ヒナギクは、黒髪を肩口で切り揃えた髪型をしていて、
意志が強そうで真面目な委員長タイプだ。
「次に、私は副リーダーのツバキです。」
ツバキは、長い黒髪を頭の上に結い上げていて、
クールな美人タイプだ。
「私はユリと申します。」
ユリは、少し茶色掛かった長めの髪を、
後ろで括ってポニーテールにしていて、
おっとりした感じの巨乳だ。
「タンポポ、よろしく!」
タンポポは、金髪の短髪を立ててツンツン・ヘアーにしており、
元気一杯だが貧乳だ。
「何か、サスケ様が私を見る目が、
凄く同情している様に感じるんだけど・・・」
「いや、気の所為だ。」
「私はコギクです。
ヒナギクお姉ちゃんの妹です。」
「私はコウメです。
コギクちゃんと仲良しです。」
「ノバラ。」
「おいらはコケモモ!
やがて勇者になる者だ!」
(いや、今後、数百年は魔王が現われないだろうから、
勇者は無理だと思うぞ・・・)
「良し!お互いに自己紹介も済んだ事だし、
イガ村に向かうとするか。」
「「「「「「「「はい!」」」」」」」」
サスケたちは、再び馬車に乗り込んで、
イガ村へ向かって出発した。
街道を暫く進んでから、
ヒナギクの指示に従って、
森の中を進む小道に乗り入れたのだが、
教えて貰わなければ分からない様な、
目立たない小道だった。
「この道って、
やけに、入り口が目立たなかったけど、
何らかの結界が施されているのかな?」
「ええ、僅かな魔力の流れを感じましたから、
サスケさんの予想通りだと思います。」
「あそこの入り口は、
サイゾウ様が結界を施したと言われています。」
「へ~、300年にも渡って働き続けている結界なんて、
サイゾウさんは優秀な術者だったんだな。」
「はい、特に幻術が得意であられたと、
村には伝わって居ります。」
「サイゾウさんが造った魔導具とかって、
村に残っているのか?」
「はい、未だに使われている物も多数ありますが、
長い月日の為に、壊れてしまった物や、
使い方が分からなくなってしまった物も、
いくつか、御座いますね。」
「おおっ!そりゃ楽しみが増えたな。」
「サスケ様なら、使い方が分かるかも知れませんね。」
「ああ、それに、
直せる物があったら、修理もするとしよう。」
「ありがとう、御座います。」
暫く、森の中の小道を進むと、
漸く、木の柵に囲まれた村らしきものが見えて来た。
「停まれ!停まれ!」
「おい!そこの、お前!
どうやって、この道に入って来たんだ?」
村人が数人、門から出て来て、
御者をしているサスケに詰問して来た。
「私たちが案内したのよ。」
馬車から、ヒナギクが顔を出して告げた。
「ヒナギク!
無事だったのか・・・」
「ええ、皆も元気よ、
それから、この方たちは、コギクたちを救って下さった
サスケ様とミルク様とチビリンちゃんと仰って、
サスケ様は、英雄でフェルナリア皇国の公爵様で、
ミルク様は、フェルナリア皇国の王女様、
チビリンちゃんは、サスケ様が造られたゴーレムだそうです。」
「英雄!?」
「公爵様!?」
「王女様!?」
「ゴーレム!?」
「「「「はは~っ。」」」」
村人たちは、地面に平伏してしまった。
「み、皆さん、立ち上がって下さい。
確かに、俺たちは、
ヒナギクちゃんが紹介してくれた通りの者たちですが、
貴族扱いされるのに慣れていないので、
普通に接して下さって構いませんよ。」
「「「「・・・・・。」」」」
村人たちは、『ホントかな~?』といった感じの視線で、
頭だけを上げて様子を窺っている。
「サスケ様が、言ってる事はホントだよ、
他の貴族みたいに偉そうにしていないし、優しいし、
今日の、お昼ご飯だって、
自ら調理して、ご馳走してくれたんだぜ。」
「公爵様が、自ら調理だって?
ホントか?タンポポ。」
「ホントだよ、凄く美味しかったよ。」
「コギクが、そう言うんじゃホントだな。」
「ああ、間違いない。」
「タンポポとは、説得力が違うな。」
「言えてる、言えてる。」
「お前ら全員、ぶっ飛ばす!」