埋蔵金
「うん?これも精霊石の様だな・・・」
サスケが石箱の扉を開けると、
中には石造りの台座があって、
その中央に精霊石が、はめ込んであった。
「サスケさん、如何ですか?」
「ああ、大丈夫みたいだから、
近付いても良いぞ。」
「分かりました。」
「キキ~。」
サスケが、安全を確認したので、
ミルクとチビリンも近づいて来た。
「これも、精霊石の様ですね。」
「やっぱりそうか、
そうすると、これが山を覆っている、
結界の大元って事かな?」
「ええ、そうだと思います。」
「じゃあ、取り敢えず結界を解いてみるか。」
サスケは、台座から精霊石を取り外してみた。
「あっ!魔力の流れが途絶えました。
もう、結界は働いていないと思います。」
「あれ!?ミルク、
この山って、もしかして・・・」
「ええ、多分、間違いないと思います。」
「良し!エクリプスさんを呼んで来よう!」
「ええ、そうしましょう。」
急いで魔法学院へと引き返したサスケたちは、
直ちに、
学院長のエクリプスへのアポイントを取って貰った。
「急ぎの用との事でしたが、
どうしたのですか?サスケさん。」
エクリプスが都合を付けて、やって来た。
「エクリプスさん、
学院の資金難を解決する手段が見つかったのですが、
ご足労願えますでしょうか?」
「ほう、そう聞いては一緒に行かない訳には、
行きませんな、分かりました。
ご一緒しましょう。」
『忌山』までの道中に、
サスケが、エクリプスへと質問した。
「エクリプスさん、
『忌山』の結界の話は、ご存じですか?」
「ああ、フローラから聞いているよ、
パサラちゃんが閉じ込められていたそうだね、
あんな、可愛い少女を封じ込めるなんて、
当時の権力者共は馬鹿ばかりだったんだな。」
「でも、そのお蔭で、
資金難の問題が解決するんですよ。」
「それは、どう言う・・・あれは!?」
流石に、魔法学院の長を務めて居るだけあって、
『忌山』が見えて来た時点で、気が付いた様だ。
「まさか、山全体を魔石で覆ってあったのですか!?」
「ええ、強力な『隠蔽』の魔力を、
付与した結界が働いていたので、
魔石に気付きませんでしたが、
当時の権力者たちは、
余程、パサラちゃんを恐れていたんでしょうね、
魔族たちに、パサラちゃんの居所が気付かれない様に、
山全体を結界で覆った様です。」
「これ程の量の魔石となると、
かなりの金額となりますな!」
「ええ、向こう何十年も資金に困る事は無いでしょう。」
「サスケさん達も、大金持ちですね。」
「えっ?俺たちは要りませんよ、
どうぞ、学院の運営費で使って下さい。」
「しかし、発見者であるサスケさんに、
1ギルも受け取って頂かない訳には・・・」
「では、パサラちゃんが封印されていた部屋で、
精霊石を沢山見つけましたから、
アクセサリーを作れる程度の量を頂けますか?」
「えっ!?精霊石も見つけたのですか?」
「ええ、精霊石でパサラちゃんを封じていた様です。」
「では、その精霊石は、
サスケさん達で、全部ご利用頂いて構いませんよ。」
「えっ!?全部ですか?」
「ええ、これ程の量の魔石があれば、
学院の運営は大丈夫なので、
せめて精霊石に関しては、
サスケさん達で、お持ち帰り下さい。」
「分かりました。
そう言う事でしたら、
精霊石に関しては、ありがたく頂いて行くとします。」
エクリプスは、
早速、魔石の盗難防止の手配と、
切り出して輸出する手筈を整えるとの事だったので、
サスケたちは、
先に、学院が手配してくれた宿屋へと帰っている事とした。
「良し、早速、
精霊石を加工して見るかな、
確か『魔倉』に、
ミスリルのインゴットが残って・・・おっ、有ったぞ。」
サスケは『魔倉』から、
精霊石と、ミスリルのインゴットを取り出した。
「え~と、『錬成』『加工』『接続』っと・・・
どれどれ、出来たかな?」
「サスケさん、何を造ったんですか?」
「ほら、これだよ。」
サスケは、造った物をミルクへ手渡した。
「わ~っ!素敵なイヤリングとペンダントですね。」
「おう、良かったらミルクが使ってくれるか。」
「良いんですか!?」
「勿論だよ、その為に造ったんだしな。」
「サスケさん、ありがとう御座います!
大切にします。」
「精霊石を『錬成』して魔力を溜めて置ける様にしといたから、
普段、使わない時に魔力をチャージして置けば、
必要に駆られた時に、取り出して使えるぞ。」
「それは、とても便利ですね、
私の魔力量は、普通の人より少し多い程度なので、
大変助かります。」
「そうか、喜んでくれて何よりだな、
それと、チビリンには額当てを造ってやったぞ。」
「キキッ?」
「これには、『強化』や『疾風』の、
魔法を付与してあるから、
装備すると、パワーやスピードが上がるぞ。」
「キキ~!」
「そうか、嬉しいか、
ジュリーやレッドたちが拗ねると不味いから、
一応、人数分を造って置いた方が良いかな。」
「そうですね、皆さん喜ぶと思いますよ。」