ラメール国
「すいません、ルクシア共和国とマッスル王国に属する、
コウガ領から参りましたサスケと申しますが、
魔法学院の方に、
どなたか、お取り次ぎ願えますか?」
フェルナリア皇国が経営していた魔法学術都市が、
その前身であるラメール国は、
ほぼ、学術都市関係者しか暮らして居ないと言われて居り、
一部の先住民族は確認されたものの、
国の窓口としての役割は、魔法学院が務めていた。
なので、サスケたちも現在、
学院の入り口を警備している、
警備兵に取り次ぎを申し出ていた。
「はい、上の方より伺って居ります。
英雄サスケ様と、そのご家族の方ですね、
申し訳御座いませんが、ご身分をご確認出来る物の、
ご提示をお願い出来ますでしょうか?」
「ええ、どうぞ。」
サスケは、英雄認定カードを提示した。
「はい、ありがとうございます。
確かに、サスケ様とご確認出来ましたので、
今、係の者を呼んで参りますので、
少々、お待ち願えますか。」
警備兵は、確認用の魔導具でサスケのカードを確認すると、
学院の職員を呼びに行く使いを出した。
少しすると、警備兵に案内されて、
事務職員の様なカッコをした人物がやって来た。
「ようこそ当学院へ、
英雄サスケ様、ミルク様、
私は、当学院の代表エクリプスより、
サスケ様方のご案内を任命されましたナビと申します。
よろしく、お願い申し上げます。」
「あ~、案内だけにナビさんね。」
「前に勇者ライ様が来られた時にも、
同じ事を仰って居られましたが、
どう言う意味なんでしょうか?」
「ああ、ちょっとした
お約束なんで、気にしないで下さい。
よろしく、お願いします。ナビさん。」
「よろしく、お願いします。」
「キキ~。」
「そうですか?
では、エクリプスの元へと、
ご案内申し上げますので、こちらにお出で下さいませ。」
学院代表の元へと案内されているサスケが、
ナビに質問をする。
「あの~、ちょっとお聞きしたいのですが、
宜しいでしょうか、カーさん。」
「ナビです。
それも、ライ様が仰ってましたね、
それで、何でしょうか?」
「この辺に、『忌山』と呼ばれている山が、
あると伺ったのですが、
どの山でしょうか?」
サスケは、窓から見える山々の方を見ながら言った。
「ああ、それでしたら、
あちらに見えている、草木の生えていない、
黒い山が、そうですよ。」
「ああ、あそこですか、
分かりました。
どうも、ありがとう御座います。」
「いいえ、どう致しまして。」
暫く、学院の廊下を進むと、
少し、他の部屋より大きめで豪華な造りとなっている、
扉の前で、ナビが立ち止まった。
(おっ!もしかして、あの扉に付いているのは、
チャイムの魔導具なのか?)
扉には、日本のチャイムに似たボタンが付いていた。
ナビが、ポチッとボタンを押すと、
チャララ~ララ、チャラララララ~♪
「何で、チャ〇メラ!?」
某有名ラーメンでお馴染みのメロディが流れた。
「ああ、この魔導具はライ様が作られて、
代表へプレゼントされた物なんですよ、
何でも、ライ様の一番好きなメロディーとの事でした。
何故か、このメロディーを聞くと、
お腹が空いて来るんですよね。」
ナビは、不思議そうに首を捻っていた。
「一番好きなメロディーが、チャル〇ラって・・・」
「誰だ?」
部屋の中から、誰かが問い掛けて来た。
「ナビです。
英雄サスケ様と、ミルク様をご案内しました。」
「おお、そうか、
中へと、お入り頂け。」
「はい、畏まりました。
どうぞこちらへ、サスケ様、ミルク様。」
ナビは、カチャッと扉を開くと、
サスケたちに入室を促した。
「失礼します。」
「お邪魔致します。」
「キキッ。」
「おお、ようこそ当学院へと、いらっしゃいました。
サスケ殿、ミルク殿、それとチビリン君かな?」
「チビリンを、ご存じなんですか?」
「ええ、妹のハナ・・・フローラよりの便りで伺っています。
本当に、生き物としか見えませんな、
それが、サスケ様が造られたゴーレムとは、
魔法を教える機関の代表としては、
感嘆の思いを禁じ得ませんな!」
「いえ、チビリンの場合は、
魔法と言うよりも、
私のスキルによるものが大きいので、
そこまで大げさなものじゃ、ありませんよ。」
「いやいや、確かに魂を封ずるのはスキルによるものと、
お見受け致しましたが、
ゴーレム本体の作製は、
サスケ様の緻密な魔力操作によるものでしょう?」
「ちょっと見ただけで、そこまで見抜けるのですか!?」
(さすがは魔法学院代表と言った所か・・・)
「ええ、サスケ殿が寄付して下さった
魔力波測定器を使わせて頂きましたら、
魔力の消費量や、
魔力の流れを見る能力が向上致しましてな、
今まで、見得なかったものが見えて来たのですよ。」
「えっ!?そんなに効果があったんですか?
他の人達の話では、子供には大きな効果が得られたものの、
大人には、多少、魔力の消費が減ったかな?ってぐらいの、
効果との話だったんですけど・・・」
「ほう、それは非常に興味深い話ですな、
もしかすると、就職したく無いばかりに、
ずっと学院に居座ってたら、代表にされてしまった事と、
何らかの関連性を見い出せるかも知れませんな・・・」
「・・・・・。」
「・・・・・。」
(心のノートに、魔力波測定器の効果は、
精神年齢に何らかの関連があるやもと記載しておこう。)