英雄認定
「私の考えでは、恐らく、
お父様方が、サスケさんに受けて貰いたいのは、
爵位だけでは無いと思うのです。」
ミルクの考えでは、
皇帝カムリ8世が、サスケに与えようとしているものが、
他にもあると考えている様であった。
「そりゃ、何か面倒な事を押し付けられるって事か?」
「いえ、面倒というよりは、
凄く名誉と言えますね。」
「へ~、何か良く分からないけど、
面倒事じゃ無いなら、別に良いか。」
サスケは、ミルクと一緒に、
皇帝の元へ、皇国の公爵位を受ける事を伝えに行った。
「おお!サスケ殿、
そうか、受けてくれるか!」
「はい、ミルクも『受けた方が良いだろう。』との事でしたので、
お受けする事にしました。」
「それは、私としても、
大変、ありがたい事だな、
あれ程の働きをしてくれたサスケ殿に、
何のお礼もしないとなれば、
民の不信を買って、皇帝を下ろされるかも知れんからな。」
実際には、そう簡単に皇帝を変えるなどという事は出来ないが、
国民の不信を買わないに越した事は無いであろう。
「それで、やっぱり授爵式とかやるんですか?」
「勿論だとも、
この城の皇帝の間にて、大々的に執り行って、
国の内外へと知らしめねば、ならんからな。」
「はあ、そうなんですか・・・
あっ、そう言えば、
ミルクが、陛下は爵位の他にも、
私に、何かを与えたいのでは無いだろうかって、
言ってるんですけど、本当ですか?」
「ほう、気付いたかミルクよ。」
「はい、お父様、
恐らく、私の想像は間違っていないと思います。」
「そうか、
では、サスケ殿にも伝えておくとするかな、
サスケ殿、
我がフェルナリア皇国は、貴殿に公爵位を与えた後に、
各国の王へと、貴殿の『英雄認定』を提案するつもりなのだ。」
「『英雄認定』ですか?
ミルク、『英雄認定』って何なんだ?」
「サスケさん、魔王を討伐した者が、
『勇者認定』されるのは、ご存じですよね。」
「ああ、ライさんが受けたアレだろ。」
「その通りです。
『勇者』という称号は、
魔王を倒した者のみに与えられるものですから、
それ以外の形で、
世界を救う様な働きをした者に、与えられる称号が、
『英雄』なのです。
そして、その認定は『勇者認定』と同じく、
各国の王の承認にて決まるのです。」
「世界を救う様な働きなんて、
俺は、していないだろ。」
「いいえ、サスケさん、
それは違います。
ここフェルナリア皇国は、
この世界、シエラザードの中央に位置していますから、
あのまま、『魔王熱』の感染が広まって行ったら、
やがては、世界中へと蔓延していましたわ。」
「でも、教会のサクラさん達が、
国境線で守っていたんじゃないのか?」
「いつまでも守り続けられるものでは、ありませんわ、
サクラ様たちが拡大を防いでいるうちに、
魔王熱そのものを根絶したのが、
今回の解決に繋がったと言えます。」
「それなら、やっぱり俺より、
サクラさん達や、
特効薬を作ったヴィン爺ィ達の働きが、
大きかったんじゃないのか?」
「サスケさんは、気付いて無いかもしれませんが、
今回の騒動が解決へと至った中心には、
間違いなく、サスケさんが居たと思います。」
「そうか?」
「サスケ殿、確かに一人一人の働きが集まって、
問題の解決へと至るものであるが、
その一つ一つが、バラバラに動いていたのでは、
とてもでは無いが、解決へは辿り着けんのだ。
中心となり、全体を纏め上げる者が居てこそ、
始めて、個々の力が発揮されるのだよ。」
「それが、私だったと、
陛下は申されるのですか?」
「ああ、聖教会のサクラ殿にも聞いたのだが、
サスケ殿の、行動力と情報力が無かったら、
今回の解決は無かったとの事であったぞ。」
「そうですか・・・分かりました。
サクラさん達が、そう言ってくれるなら、
その『英雄認定』ってヤツを受ける事にします。」
「おお!そうであるか、
サスケ殿が、そう言ってくれて良かった。
恐らく、マッスル王国のライ国王よりの、
推薦もある事と思われるので、
認定はスンナリと通るであろう。」
「そうなんですか?」
「ああ、ライ国王は、
ザドス王国、アルビナ王国、ラメール国への顔が利くからな、
ルクシア共和国が反対する事は無いであろうし、
満場一致で決まるであろう。」
「なる程、そう言えば、
ライ国王の奥方様がたは、各国の王女様方でしたね。」
「そう言う事だ。」
明日から、新作との1日おきの更新となります。<(_ _)>