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転落勇者の人生大逆転物語  作者: シュウさん
143/238

要求

「それで、ルクシア側は、

まだ、何も言ってこんのか?」

フェルナリア皇国の皇帝であるカムリ8世が、

皇都こうとの城にある執務室しつむしつにおいて、

宰相のバケテナーイに問いかけた。


「はい、あれから一週間もつのに、

一行いっこうに何も言ってまいりません。」


「う~む、向こう側にも、

それなりの被害が出て、その事後処理じごしょりに追われていると、

言ったところか。」


「恐らく、その様な理由からと思われます。」


しかし、2人の予想は外れていて、

ルクシア側の被害は、サスケ達の薬や魔法によって、

大したものでは無かった。

何故なぜ、これ程の時間をようしたかと言えば、

ルクシア共和国とマッスル王国によって、

皇国に要求する賠償ばいしょう内容をさだめるのと、

それにともなった根回ねまわしのためであった。


「それじゃ、皇国に対して提示ていじする、

賠償内容にかんしては、これで良いですね。」


「ええ、その辺はライ国王に一任いちにんして良いと、

元首のカメオークからの連絡が入ってりますので、

お願い致します。」


「サスケに関するあつかいの方も、

許可きょかが出ましたか?」


「ええ、ライ国王との、

話し合い通りに、事を進めて構わないとの事です。」


「ほう、皇国への要求はも角、

サスケの方は難航なんこうすると思ったのですが、

思ったよりアッサリと通りましたね。」


「ええ、今回のいくさと、その結果は、

我が国の防衛に関する意識に、

大きな変化をもたらすものとなりましたからな、

今後の事を考えても、

ライ国王のマッスル王国と友好的な関係を続ける為にも、

サスケが果たす役割は大きいと言えるでしょう。」


「ええ、本人は嫌がるでしょうけど、

ここは、何としても納得させますよ、

大切なものを護る為には、

ある程度の、権力が必要な時がありますからね。」


「それに付いては、私も同感ですな、

サスケ自身が持っている価値を護る為には、

いち冒険者では、いささ心許こころもと無いですからな、

また、本人が自分の価値を、

今一つ認識にんしきしていないのだから始末しまつが悪い。」


「それが、サスケの良いところでも、

ありますよ。」


「まあ、そうですな。」



結局、フェルナリア皇国側へと、

賠償に関する連絡が入ったのは、

先の騒動そうどうから2週間程が経過けいかした頃であった。


「陛下、ルクシアより、

今回の騒動に対する、賠償に関して記された書簡しょかんが届きました。」

執務室の皇帝の元へ、

宰相のバケテナーイが書簡をたずさえておとずれた。


「そうか、読んで見よ。」


「はっ、それでは失礼します。

・・・こっ、これは!?」

書簡に目を通していたバケテナーイが驚きの声を上げた。


「どうしたのだ?」


「はっ、そ、それが、

賠償として、ギッテル領の引き渡しを要求して参りました。」


「何だと!?

ルクシアとマッスル王国に面したギッテル領が、

どれ程、広大な面積をようしていると思ってるのだ!」


「はっ、まことに持って、

その通りでありまするのですが・・・」


「おのれルクシアめ、

偶々(たまたま)の勝利に味をめて、に乗りったか!」


「いえ陛下、どうやら偶々では無かった様であります。」


「どう言うことだ?」


「それが、この書簡は、

ルクシアとマッスル王国との連名れんめいで来てりまして、

ギッテル子爵とゴンザレス千人隊長がルクシアの街を攻めたさいに、

その街にライ国王と、その家族が滞在たいざいしていたとの事です。」


「何だと!?

勇者ライが、あの街に居たと申すのか!?」


「はっ、恐らく、

帰り着いた子爵の部下たちが申して居りました、

凄腕すごうでの冒険者らしき者達と言うのは、

ライ国王と、その家族ではないかとぞんじます。」


「そうか、元S級冒険者たちであったな。」


「はっ、その通りで御座ございます。」


「しかし、ギッテル領のすべてを渡せとは、

大きく出おったな、

いかに、勇者ライが国をおさめるマッスル王国とも言えども、

我が国とは、国力でも軍事力でも比べようがあるまいに、

かりに、ルクシアと手を組んだとしても知れたものであろう。」


「それなのですが、

書簡には、ルクシア・マッスル両国りょうこくとの戦端せんたんが開かれた場合には、

アルビナ王国、ザドス王国も呼応こおうして参戦さんせんするとしるされて居ります。」


「何!?

何故なぜここで、アルビナとザドスが出て来るのだ!?」


「恐らく、ライ国王の奥方おくがたの関係であろうかと思われます。」


「そうか、両国の王女が嫁いで居ったな、

おのれライめ、どこまで我が国の邪魔をすれば気が済むのだ。」


「陛下、此度こたびの要求はまざるを得ないかと思われます。

ルクシアと、マッスル王国のみであれば、

我が国の戦力であれば、対等に戦える事と存じますが、

その際に、アルビナとザドスに攻め込まれれば、

如何いかな我が国と言えども・・・」


「う~む、・・・そうか・・・そうであるな、

確かに、現状で戦を選ぶには無理があろう、

ただでさえ国内に、

わけの分からん、はやりやまいが流行するきざしを見せて、

国民の不安がつのって居るところで、

戦などを起こせば、国の崩壊ほうかいつながりかねんからな。」


「陛下の、おっしゃる通りであるかとぞんじます。」


「うむ、仕方しかたが無い、

ルクシア・マッスル両国には、

要求を了承りょうしょうするむねを、

伝えておけ。」


「要求の了承と引き換えに、

我が国へと戻されるであろう、

ギッテル子爵とゴンザレス殿の扱いは、

如何いかがいたしますか?」


「知れた事よ、

我が国に、これ程の損害をもたらしたのだから、

その責任を誰かが取らなければ、

国民も納得しまいて、

2人には、その役割をになって貰う事となるな。」


「では、此度の騒動は、

二方ふたかたの、暴走にるものとして、

かたを付ければよろしいですか。」


「うむ、2人が戻ってから、

余計な事を、もうさぬ様に注意をするのだぞ。」


「はい、戻り次第、

言葉をはっせなくなる様に、

何らかの処理をほどこす事と致します。」


「うむ、きにはからえ。」

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