防衛力強化
「ただいま~。」
「ただ今、帰りました。」
「キキ~。」
屋敷の玄関をくぐったサスケたちは、
留守宅を守っていた皆に声を掛けた。
「「「「「お帰りなさいませ、ご主人様、ミルク様。」」」」」
「お帰り、チビリンちゃん。」
「サスケ、ミルク、よう戻ったのう。」
「ご主人様、お帰りが、ご予定より遅れましたが、
何か貴族とでもトラブルが御座いましたか?」
「何で、貴族限定なんだ?」
「お主の帰りが遅れていたので、
皆で話して居ったのよ、
お主は、弱き者には甘すぎる程に甘いが、
権力を持つ貴族などには拒否反応が激しいからな、
大方、皇国の貴族とでも揉めたのだろうとな。」
「うぐっ・・・」
サスケは、余りにも自分の行動を的確に言い当てられたので、
グウの音も出なかった。
「でも、あれは皇国の貴族側に問題がありましたのよ。」
ミルクが、サスケのフォローを入れる。
「やっぱり、ワシらの想像通りじゃったか、
貴族の横柄な振る舞いは当たり前の事じゃからな、
一般人は泣き寝入りするもんじゃよ、
だが、大いなる力を持つサスケに、
その我慢が出来る訳が無いからのう。」
「これでも、最初は我慢していたんだぜ、
でも、子爵のヤツが、
ミルクに変な事をしようとしたからさ・・・」
「まあ、子爵様と揉めたんですか?」
「ミルク様に何かしようとしたなら、仕方が無いですね。」
「いや、その貴族が、ミルクに何かをしようとしまいと、
関わりあった時点で、遅かれ早かれ、こうなって居ったじゃろうな、
どうせ、サスケがキレて『わりゃ~何すんじゃ、ぶっ殺すぞ~!』と、
なるんじゃ。」
「ヴィン爺ぃたちの中での、俺のイメージってどうなってるの!?」
「まあ、揉めてしまったもんは仕方が無い、
なる様にしか、ならんもんじゃよ。」
「だよね~、さすがヴィン爺ぃ、良く分かってる!」
「お主は、もう少し我慢する事を憶えんか!」
「申し訳ございません。」
サスケは、旅先で見つけた、
皆へのお土産や漢方薬などを『魔倉』から出して見せていると、
ヴィン爺ぃが、ある物に目を付けた。
「それは、もしや『賢者の石』か!?」
「おお~、さすが大賢者って呼ばれていただけの事はあるね、
見ただけで分かるなんて、やっぱりヴィン爺ぃは凄いな。」
「な~に、前に皇城で見た事があっただけの事じゃ、
それにしても、これほどの大きさと量を見るのは初めてじゃが、
一体、どうしたのじゃ?」
「実は・・・」
サスケは、マッスル王国での出来事を皆に語り聞かせた。
「何と、カマゾネス村は実在して居ったのか・・・!?」
「ヴィン爺ぃは知ってたの?」
「うむ、昔、皇城の古い書物が保管してある部屋で読んだ、
『張井保津太の異世界大紀行ゼェ~ット!』という、
書物に載って居ったんじゃよ。」
「張井保津太って・・・」
「この書物の作者は多才での、
『命の父ゼェ~ット!錠』という薬や、
『勇者イチロー物語ゼェ~ット!』という書物を、
書き残したりしたそうじゃ。」
「ああ、この前、教会のサクラが読んでたアレか。」
(もしかして、この作者って勇者イチロー本人なんじゃ・・・?)
「他にも、
『召喚フジョシに置ける、ケモミミショタ理論ゼェ~ット!』などでも、
名が知られて居るのう。」
(作者は女性だったのか・・・じゃあ、イチローじゃないな。)
「ヴィン爺ぃは、『命の父ゼェ~ット!錠』の作り方って知ってるの?」
「うむ、お主が造った『ソーマ』があれば、簡単に造れるぞい。」
「やった!
さすがヴィン爺ぃ頼りになるぜ!
この『賢者の石』は自由に使って貰っていいから、
造って貰えるかな、
ライさん達にもあげたいから、少し多めに造って貰える?」
「うむ、承知したぞい。」
「あと、ヴィン爺ぃ、ダンミーツたちも、
この魔導具の前に、一人づつ立ってくれるか。」
「それが、さっき言って居った転移魔導具かの?」
「うん、そうだよ、
これに、みんなを登録しておけば、
ケモイヤー村に行くのも楽だからね。」
「ご主人様、この魔導具は、どこにでも行けるのですか。」
「いや、この魔導投影機が設置してないとダメなんだよ。」
サスケは、屋敷の居間に魔導投影機を設置しながら、
皆に説明をした。
「その魔導具が設置してある場所なら、どこにでも行けるんですか?」
「ああ、大陸の反対側でも、一瞬で移動出来るな。」
「それは凄いですね!?
その魔導具が一般に普及すれば、
魔獣に襲われる事無く、他の場所へと移動出来る様になりますね。」
「一般に普及するのにはマダマダ時間が掛かるな、
魔導具を造るのに手間が掛かるし、
軍事利用される危険が考えられるからな。」
「なる程の、
突然、軍隊に現れられては、対処のしようが無いからのう。」
「それは、考え付きませんでした。
確かに、悪用されると大変な事態となりますね。」
「そう言う事だな、
だから初めの内は、信用が置ける人達だけに造る様にして、
行く行くは、冒険者ギルドなんかに設置しようかと考えているんだ。」
「何らかの対応策が出来るまでは、
そうした方が良いじゃろうな。」
「そうですね。」
皆のデータを、転移魔導具に登録し終えたサスケは、
ライ国王との話し合いの結果報告と、
依頼されていた剣の残りを納める為に、
領主の城を訪れると皆に告げた。
「ご主人様、剣は2回に分けて納品されるのでは、
無かったのですか?」
「ああ、最初は、その予定だったんだが、
ギッテル子爵が変な因縁を付けて来た時の為に、
街の防衛力を上げて置いた方が良いと思ってな、
悪いんだけど、一応、
治療薬の在庫も多めにしておいてくれるか。」
「分かったぞい。」
「「畏まりました。ご主人様。」」