皮はパリッと・・・
サスケが、リンやレッドたちと食堂で果実水を飲んでいると、
温泉で仕事の汗を流しに行っていたゲインたちや、
ジュリーが戻って来た。
「お頭、来てたんですね。」
「さっきも、会ってんだけどな、
どんだけ、大工仕事にハマってんだよ。」
「いや~、我ながら見事にハマってしまいました。
ほら、よく言うじゃないですか、
犬も歩けば・・・ネコも歩く?」
「どんだけ、歩いてるんだよ!
それを言うなら、『犬も歩けば棒に当たる』だろ、
でも、夢中になれるものを見つけるのは別に悪い事じゃないだろ?」
「お頭、あの諺には、
『何か行動を起こせば、悪い事もあれば、良い事もある。』
って意味だから、良い意味で使っても良いんですよ。」
「へ~、そうなのか、
てっきり、『人生には悪い事だってあるよ。』的な意味かと思ってたぜ。」
「サスケ、喉をカラカラにして来たから、
早いとこエールを出してくれんかの。」
「そうでしたねゲインさん、
早速、皆さんお待ちかねのエールを出しますね。」
サスケは、『魔倉』から、
冷やしてあった陶器製のビールジョッキの様な形をした、
カップを取り出してゲインたちに配ると、
キンキンに冷やしてあったエールを注いで回った。
「皆さん、エールは行き渡りましたね、
では、ケモイヤー村宿泊施設完成を祝ってカンパ~イ!」
「「「「「「カンパ~イ!」」」」」」
「ゴクゴクゴク・・・プハ~美味ぇ!
この瞬間の為に働いてるって感じだな。」
「今まで、エールを冷やして飲んだ事なんて無かったけど、
温かい時期は、この方が美味いな。」
「ああ、仕事で疲れた体に、沁み渡る様な美味さだぜ。」
「正式な完成披露パーティーは、後日開かれると思いますので、
今日は、内輪のプチ・パーティーと洒落込みましょう。」
「「賛成~!」」
「あんた達、飲み過ぎない様にしなさいよ。」
何かの料理を持ったサンもやって来た。
「おう、サンも何か飲むか?」
「じゃあ、ミルクさん達と同じ果実水をお願いします。
あと、これお父さんが『皆さんに召し上がって頂け。』って・・・」
「何、持って来てくれたんだ?」
「お肉や卵の燻製です。」
「お~、酒の肴にピッタリだな、
みんな!サンの親父さんから差し入れだぞ!」
「「「「「「お~!ご馳走様!」」」」」」
「お~、絶妙の燻加減だな、
さすが獣人族だけあって、肉の旨味を引き出すのが上手いな。」
「お頭、卵も香ばしくて美味しいですよ。」
「サスケさん、これケンタウロス村で頂いた、
チーズで作っても美味しいんじゃありませんか?」
「おお、チーズの燻製も人気があるぜ、
一杯貰って来たから、サンの親父さんに燻製の作り方を、
教わって行くかな?
燻製は凄ぇ美味いけど、この人数じゃ足りなそうだから、
俺はソーセージと野菜でも炒めて振る舞うかな。」
「お頭、そーせーじって何ですか?」
「ソーセージっていうのは、
本格派は動物の腸の中に血を詰めて燻製にするらしいが、
好き嫌いが分かれるんで、
俺は、肉や野菜を磨り潰した物を詰めてから、
茹でてるんだよ。」
「へ~、何か美味しそうですね。」
「おう、辛いのが好きな人は、こっちの黄色い調味料を、
辛いのが苦手な人は、こっちの赤い調味料を付けて食べてくれ。」
「うわっ!皮がパリッと弾けて美味しいですね!」
「黄色い方も、辛いって言っても控えめな辛さなんだな。」
「両方付けた方が美味しいですよ。」
「エールとの相性もバッチリですね。」
「ところで、お頭、
先程、仰ってましたけど、
ケンタウロス村に行って来たんですか?」
「リンは知ってるのか?」
「ええ、アタイたちの村から近いですからね、
偶に、みんなと一緒に乳製品とか買いに行ってました。」
「あの村、下ネタが酷かっただろ?
サンとかロリーは大丈夫だったのか?」
「そこに、アタイやジュリーが入ってないのが気になりますけど、
サンとロリーは、さらにボケ倒して、ボケ殺ししていましたから、
大丈夫でしたよ、
返って村の人たちが可哀想なぐらいでしたよ。」
「あ~、ミルクと同じパターンか、
ミルクなんて、下ネタをネギの種類かと思ってたもんな・・・」
「村の人、泣いてたんじゃありませんか?
サンも、マイ・マツタケとか言ってた人に、
『まあ、マツタケ山を持たれてるなんて、羨ましいですわ。』とか、
言ってましたもん。」
「タカムーラ・・・」
「ただ今、戻りました。」
そこへ、ピロンの街まで足りない材料を仕入れに行っていた、
ロリーが帰ってきた。
「お帰りロリー、ご苦労だったな。」
「あら、お頭、見得てたんですか?」
「ああ、ちょっとした予定変更があってな、
それで、一緒に行ったガインさんと、ギインさんはどうしたんだ?」
「それが、お二人とも乗り物酔いでもしたらしくって、
『今は、生ある事に、神に感謝を捧げに行くから、ソッとして置いてくれ。』
って仰って、教会に向かわれました。」
「然もありなん・・・」
「ご愁傷さまです。」