表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転落勇者の人生大逆転物語  作者: シュウさん
12/238

冒険者ギルド

「おっ!見えて来たぞ、

あれが俺の店があるピロンの街だ、

フェルナリア皇国の入り口の街が、

ケンさんが住んでいるシャルムの街なら、

ルクシア共和国側の玄関口が、ここピロンの街だな。」


「へ~、なかなか大きな街ですね、

街の外側にも高い防壁がグルッと周っていて、

守りも堅そうですね。」


「ああ、この街は国境から近いからな、

もし戦争でも起きたら、

真っ先に攻められるのが、この街になるんだ、

その分、防御力はピカいちだぜ。」


「戦争とか、あるんですか?」


「いや、国境付近の小競り合いが偶にあるぐらいで、

俺が、この街に来てからは戦争が起きた事は無いな。」


「それは良いですね、平和が一番ですよ。」


「そうだな、戦争は奪うばかりで、

俺たち商売人からすれば、商品の流通が途絶えるわ、

他国への出入りが出来なくなるわで、

良い事なんか一つも無いからな。」


「武器の売買で儲かるんじゃ無いんですか?」


「俺が売る武器は、魔獣や盗賊と戦う為のものだ、

戦争の為の武器なんて扱う気はないぜ。」


「それは良いですね、

俺もレトリバーさんの考えには共感が持てます。」


「おう、ギロッポンなら、

そう言ってくれると思ったぜ。」


「はい。」


「おっ、そろそろ街の入り口だな、

街の入り口の警備兵は、みんな知り合いだから、

俺と一緒ならスムーズに街に入れるぜ。」


「それは、とても助かります。

俺は、まだ冒険者じゃないんで、

簡単な身分証明書しか無いから、

街の入り口の審査で、いつも時間を取られていたんですよね。」


「まあ、そうだな、

初めての街に冒険者以外の者が入るのに、

時間が掛かるのは常識だからな。」


「どうして、冒険者は優遇されるんですか?」


「それは、冒険者ギルドが国に属さない世界的な組織で、

そこに登録された者は、冒険者ギルドが厳しく管理しているから、

もし無法を働いた場合は、ギルドから必ず重い罰を与えられるんだ、

世界中の冒険者ギルドは、通信用の魔導具で結ばれているから、

犯罪を犯した冒険者には逃げ場が無いって訳さ、

だから冒険者ギルドに登録している者は信用されて、

街の入り口でも、すんなり入れるって訳さ。」


「成る程、冒険者ギルドの管理下に置かれている者なら、

犯罪を犯す心配が無いって事ですね。」


「まあ、実際の冒険者たちは、

魔獣や盗賊と戦う荒っぽい連中が多いから、

多少の問題は起きたりするんだが、

魔獣や盗賊を退治して貰えば街の連中も助かるから、

少々の事には目をつぶってるってのもあるな。」


「成る程、冒険者たちも、

その辺はわきまえているでしょうからね。」


「そう言う事だ。」



「よう!レトリバー帰って来たのか。」

「今回の行商は儲かったか?」

街の入り口にある門を警備していた兵士たちが、

レトリバーに声を掛けて来た。


「まあボチボチだな、

今日の警備はジャイケルとマクソンか、

俺が街を離れている間に、何か変わった事とか有ったか?」


「いや、いつも通り平和そのものだな、

変わった事と言えば、錬金術士ギルドのシンディー婆さんが、

引退して娘夫婦が暮らす街に行っちまったから、

街に中級治療薬を造れる錬金術師が居なくなったぐらいかな。」


「えっ!?それって結構な問題なんじゃ・・・」


「うん?レトリバー、一緒に馬車に乗っているヤツは誰だ?」


「ああ、シャルムの街から護衛をして貰ったんだよ、

この街で冒険者登録をする予定なんだが、

腕前の方は俺が保証するから間違いないぜ。」


「そうか、レトリバーが、そこまで言うなら腕利きなんだな、

優秀な冒険者が増えるのは大歓迎だぜ、よろしくな!」


「はい、こちらこそ、よろしくお願いします。」


「それと、さっきの質問の答えなんだが、

この辺は、余り強い魔獣が現われる事が無いから、

低級治療薬で十分なんだよ、

中級治療薬なんて造っても殆ど売れないしな。」


「成る程、そう言う事ですか。」


レトリバーの言っていた通りに、

特別、調べられる事無く街へと入る事が出来た。


「それで、ギロッポンは、これからどうするんだ?

この足で、冒険者ギルドに行って登録するのか?」


「いえ、最初に寝泊りする宿を決めて、

少しお腹が空いたので食事をしてから、

冒険者ギルドに行こうかと思います。」


「おう、分かったぜ、

知ってる宿屋を紹介してやるよ、

そこは昼間は食堂もやってるから飯も美味くて、お薦めだぜ。」


「ありがとうございます。

それは楽しみですね、ぜひ紹介して下さい。」


レトリバーの案内で訪れた宿は、

外観も清潔感溢れる雰囲気で、

サブローは一目で気に入った。


「ふ~ん、『鳥の骨亭』か、鳥料理が得意なのかな?」


「おう!この宿の看板メニューになっている、

サイゴノオオ鳥の丸焼きは絶品だぜ、

俺は、「もし世界が滅びるとして最後に何が食べたい。」って聞かれたら、

間違いなく、ここのサイゴノオオ鳥の丸焼きを選ぶね。」


「それは、楽しみですね、

宿を取ったら必ず注文します。」


「おう、約束通りご馳走するぜ。」


「ありがとうございます。」



サブローが宿の入り口を入ると、

カウンターに居た30代中頃ぐらいに見える、

女将さんらしい女の人が声を掛けて来た。

「いらっしゃいませ~、

お泊りですか?お食事ですか?」


「両方とも、お願いします。」

「俺の知り合いなんで、サービスしてやってくれよ。」


「あら、レトリバーさん、行商からお帰りになったんですね、

レトリバーさんの、お知り合いなら商人の方ですか?」


「いえ、冒険者になる為に、

この街に来たんですよ、取り敢えず10日間、朝晩食事付きで、

お願いします。」


「はい、10日間食事付きですと10万ギルになりますが、

レトリバーさんの、ご紹介なので9万5千ギルになります。」


「ありがとうございます。

でも、余りオマケをして頂いても悪いので、

10日間、昼飯用の、お弁当を作って貰って、

10万ギルでは如何いかがでしょうか?」


「ええ、うちは食堂もやってるので、

その位の事でしたら何でもないですよ。」


「では、それで、お願いします。」


「はい、ちょうど10万ギル頂きました。

では、先にお部屋のご案内をさせて頂きますね、

チロリ~、お客さんをお部屋にご案内して。」


「は~い!」

女将さんが声を掛けると、厨房らしい場所から、

10歳ぐらいに見える女の子が出て来た。


「娘のチロリにご案内させますので、

お部屋まで付いて行って下さいね、

チロリ、お客さまを10号室にご案内してね。」


「は~い、分かりました。

お客さん、こちらにお願いします。」


「うん、よろしくねチロリちゃん。」


「はい!」


サブローはチロリの案内で部屋に荷物を置いてくると、

レトリバーが待つ食堂を訪れた。


「おう、ギロッポン、こっちの席だ、

サイゴノオオ鳥の丸焼きを注文しておいたから、

すぐに出てくると思うぜ。」


レトリバーの言葉通りに、

直ぐに、大きな鳥の丸焼きを皿に乗せた女将さんがやって来た。


「ご注文のお品です。

アツアツですから、お気を付けてお召し上がり下さい。」


「おう!女将、ありがとよ。

ギロッポン、俺がこの街で一番お薦めの料理だ食べてくれ。」


「はい、いただきます。」

サブローは、肉を口に一口頬張った瞬間、

その美味しさに目を見張った。

「こっ、これは!?

まったりとしていて、それでいて少しもしつこく無い!

絶妙なバランスの上に成り立つ、味のシンフォニーだ!!」


「おう、お前が何言ってるか全然分からないけど、

気に入って貰えたみたいで良かったぜ。」


「はい、この味と出会えただけでも、

この街に来た価値が十分にありますよ、

レトリバーさん、ありがとうございました。」


「おう!」


サイゴノオオ鳥の丸焼きを十分に堪能したサブローは、

『鳥の骨亭』でレトリバーとの再開を約束してから別れて、

冒険者登録をする為にギルドを訪れた。


サブローがギルドの入り口を入ると、

受付嬢が声を掛けて来る。

「冒険者ギルド、ピロン支部へようこそ!

わたくし、当ギルドの受付をご担当いたします、

モモヨ・ホルスタインと申します。

本日は、どのようなご用件でいらしたのでしょうか?」

牛タイプの獣人で、超巨乳で色っぽい受付嬢だ。


「冒険者の登録を、お願いしたいのですが。」


「冒険者登録ですね、承りました。

では、わたくしが書類を作成いたしますので、

いくつかの質問に、お答えくださいませ。」


「はい、分かりました。」


「まず、お名前をお願いします。」


「サブ・・・(まてよ、さすがにサブローは不味いな。)

サ、サスケでござる。」

(しまった!?つい忍者言葉になってしまった。)


「サスケ・デ・ゴザールさまですね、

名字持ちと言う事は貴族さまですか?」


「い、いや、『でござる』は名前じゃなくて、

ただのサスケだ。」


「サスケ・タダノさま?」


「いや、そうじゃなくて・・・」


「オホホホホホホッ!分かっております。

サスケさまですね、

今のは、ちょっとしたホルスタイン・ジョークですわ。」


(ううっ、ぶん殴りてぇ・・・)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ