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転落勇者の人生大逆転物語  作者: シュウさん
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転移魔導具

「このワープゲートという魔導具は、

残念ながら、生き物を送る事が出来ないんですよ。」


「どういう事だ?

俺たちは、このワープゲートであちこちの国に移動したぜ。」


「一見、向こうのゲートに移動している様に見えますが、

実際のライさん達の体は、この魔導具の中に保存されていて、

たましいのみが向こうに移動してから、

精巧せいこうにコピーされた体に収まって出ているんですよ。」


「魂だけ移動してるって事か?」


「そういう事です。

だから、向こうから出た体が死んでも、

魂だけ元の体に帰って来るので、死ぬことが無い様ですね。」


「そりゃ良い事じゃ無いのか?」


「一般人には有用ゆうような魔導具といえますが、

我々、冒険者には良く無いですね。」


「何でだ?」


「コピーが魔獣を倒しても経験値が得られないんですよ、

だから、冒険者ギルドのクエストをこなしてランクが上がっても、

自分のレベルが上がらないって事になってしまうんですよ。」


「そりゃ確かに不味まずいな、

自分のレベルが上がって無いのに、

高ランクのクエストが受けられる様になるから、命の危険があるって事か。」


「そういう事です。」


「これじゃ、せっかくサスケに見てもらった意味が無かったかな。」


「いえ、そうとも言えませんよ、

この魔導具を造った人物は間違いなく天才ですが、

人体の事が分からなかったがために、

体を送る事が出来なかったんだと思われます。

でも、俺たちなら人体の構造を理解しているし、

体が細胞や分子などで構成されている事も知っていますからね。」


「体を一度分解してから、向こうで再構築さいこうちくするって事か?」


「ええ、幸いな事に俺の魔法は理論さえ理解出来ていれば、

あとは言葉にするだけで発動する事が出来ますんで。」


「それは、魔導具にも付与出来るって事か?」


「ええ、多分、大丈夫だと思います。

俺たちが一から転移魔導具を造ったと仮定すると、

一番の問題は魂を如何いかに体から抜いて、

向こう側で入れるかになっていたと思いますが、

今回は、もう出来上がっている見本があるんですからね。」


「なる程、ワープゲートに地球の科学を合成して、

新たな魔導具を造り上げるって事だな。」


「そういう事ですね、

もう、ある程度のアイデアはりあがっていますから、

さっそく作成に取り掛かろうかと思います。」


「まあ、サスケの好きにしても良いが、

余り、根を詰め過ぎて無理するんじゃないぞ。」


「ライさま、

私もサスケさんの、お手伝いしていますから、

たま休憩きゅうけいを取らせる様にいたします。」


「ミルクが付いてるなら、大丈夫だな。」



サスケが転移用の魔導具製作に取り掛かっていた頃、

フェルナリア皇国の皇帝カムリ8世の元に、

一つの報告が届いていた。

「陛下、ギッテル領のギッテル子爵より、

陛下への、お目通りの願いが上がって居りますが、

如何いかが致しますか?」


「ギッテル子爵だと?

それは、珍しい事もある物だな、

ギッテル領は、そのほとんどが、

国防に力を入れていないルクシア共和国に面している為、

他の国に面している領と比べると平和そのものな事から、

私が呼び出しでもしない限りは皇都を訪れる事など無いからな。」


「その通りなのですが、

何でも、陛下に取って重要な要件をご相談にうかがったので、

直接お会いして、お話したいとの事なのです。」


「私に取って重要な要件だと?

まさかとは思うが、ルクシアに不穏な動きでもあったと申すのか?

まあ良い、ギッテル子爵に会って話せば分かる事だな、

良かろう、子爵の申し出を受けるとしよう。」


「はっ、ではギッテル子爵を謁見えっけんの間へ通しておきます。」


「うむ、執務着しつむぎに着替えてから向かうとしよう。」



カムリ皇帝が着替えてから謁見の間に向かうと、

こうべを垂れたギッテル子爵が待ち受けていた。

おもてを上げよ。」

玉座に腰掛けた皇帝は、子爵に声を掛けた。


「はっ、こ、皇帝陛下に置かれましては「前置きは良い、要件を申して見よ。」

は、はい、申し訳ございません、で、では、お話させて頂きますが、

陛下が信用を置ける者以外の、お人払いを願えますでしょうか?」


「今、ここに居る者たちは、

情報を外部に漏らす様な事はせんから大丈夫だ。」


「そうで御座いますか、

では、お話しますが、

本日、私が陛下にご報告に伺いましたのは、

ミルキィ王女様に関する情報で御座います。」


「何!?ミルキィの消息が判明したと申すのか!?」


「はい、実際に私めがお会いして、お話させて頂きました。」


「それで、ミルキィの身柄は、ちゃんと確保したのか?」


「いえ、真に申し訳御座いませんが、

にせ勇者めの妨害にいまして、

姫様のご保護にはいたりませんでした。」


「何!?ミルキィはサブローと共に居ったと申すのか!?」


「はい、ご行動を共にされて居られました。」


「おのれサブローめが、

やはり、しぶとく生きて居ったか!」


「はい、姫様は偽勇者サブローと共に、

ルクシア共和国にて冒険者をされて居られる様でした。」


「ルクシアで冒険者だと?

先程も、サブローの妨害と申して居ったが、

あの者程度の腕なら、

そのほうに仕えている兵士たちでも、

十分に取り押さえられたのでは無いのか?」


「それが、偽勇者めは、

この国に居た頃とは別人となって居りまして、

どうやら、錬金術やシーフの才能があった様で、

みずからが造ったという面妖めんようなゴーレムをあやつり、

私の兵たちを無力化したかと思えば、

一瞬で私の背後に移動して意識を奪われてしまいました。」


「サブローめに、錬金やシーフの才能だと?」

(子爵め、おのれの失敗を誤魔化そうとして、

かなり誇張こちょうして話して居るな・・・)


「はい、冒険者ギルドランクもA級と申して居りましたし、

ギルドカードの確認も致しました。」


「何!?A級だと!?」

(どういう事だ?

ギルドカードをいつわるなど不可能だからな、

本当に力を付けたという事なのか?)


「はい、ピロンという街のギルドクエストにて、

マッスル王国のライ国王への届け物に行くと申して居りました。」


「本当にライ国王への荷物を運んでいたとするなら、

A級というのも納得できるのう。」

カムリ皇帝は、サブローがA級冒険者と仮定した場合、

ミルキィの身柄を確保するには、

どう対処すれば良いのかを深く考え込んだ。


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