表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転落勇者の人生大逆転物語  作者: シュウさん
11/238

ホイホイ

「この洞窟の中に、盗賊のお宝が隠してあるのか。」


「ええ、あの場所から南の洞窟と言うと、

ここになりますね。」


「洞窟には、俺も一緒に入った方が良いか?」


「いえ、俺はアイテムボックスがあるので、

一人でも大丈夫ですよ。」


「でも、俺一人で、ここで待っているのも不安だしな・・・」


「俺が馬車ごと結界を張っておけば、

オーガが来ても大丈夫ですよ。」


「そうか、ギロッポンがそう言うなら大丈夫だな、

じゃあ、俺はここで待っているよ。」


「分かりました。

じゃあ、結界を張りますよ、『結界』よし、張りました。

結界から外に出たい時は『アウト』、

また中に戻りたい時は『イン』と言えば戻れますので。」


「結界から出る事なんて、あるのか?」


「ええ、急な便意を甘く見ると、トンデモナイ目に遭いますよ。」


「何か、凄く実感がこもった忠告だな。」


「ええ、俺は便意のせいで、

若い女の子たちの前で尻を出す羽目になりました。」


「何か良く分からんが、凄い経験だな。」


「ええ、人として何かを失った気がします。」


「それ程か?」


サブローは、レトリバーを残して洞窟へと入って行った。

「俺だけなら夜目が効くから明かりは要らないな、

え~と、地図にると、こっちの方だな。」


何回かの岐路を地図の通りに進んで行くと、

やがて突当りとなった。

「ここで、合ってる筈だよな、

よし、『感知』・・・おっ!隠し口発見。」

大きな岩で巧みに入り口が隠してあった。


「よっしゃ!『怪力』」

サブローは、大きな岩をヒョイと横にずらして、

中に入って見た。


「おお~っ!なかなかの品揃えだな。」

洞窟の中には金銀宝石などの財宝の他に、

ピカピカの装飾が施された悪趣味な武器や防具もあった。


「さすがは海洋貿易が盛んなルクシア共和国と、

フェルナリア皇国を結ぶ街道に出没する盗賊団だけあって、

価値が高そうな物が沢山だぜ。」

サブローは片っ端に『魔倉まそう』へと放り込んで行った。


洞窟にサブローが入ってから、

1時間程経過した位で戻ってくると、

レトリバーが入っている結界は30匹ほどの、

オーガに囲まれていた。


「レトリバーさんが、招きよせるのは盗賊だけじゃないのか・・・

まあ良いや、さっさと片付けて助けるとするか。」

サブローは気配を消しながら、

次々とオーガの首を背後から忍者刀で切り裂いて行く、

口を押えながらなので他のオーガは気付く事無く、

死んだオーガは『魔倉』に収納して行くので、

血溜りが残るのみである。


残りが10匹程になった時点で、

さすがにオーガたちも、

仲間が居なくなった事に気付いて騒ぎ出した。


「よっしゃ、この位なら一撃で行けるかな。ハッ!」

サブローの手からミスリル製の手裏剣が放たれると、

オーガたちは首から血を流して倒れ伏した。


サブローは、オーガに止めを刺しながら、

結界の中のレトリバーに声を掛けた。

「レトリバーさん、オーガは仕留めましたよ、

大丈夫ですか?」


「おお!ギロッポン助かったよ、

取り敢えず話は後だ!『アウト』」

レトリバーは結界から飛び出すと、

岩場の陰へと猛スピードで走って行った。


暫くしてから、至福の表情で戻ってくると、

「いや~、ギロッポンが言っていた事は本当だったな、

便意を甘く見るとトンデモナイ目に遭うって事が実感できたよ、

何度、人としての尊厳を失いそうになった事か・・・」


「分かってくれましたか、

レトリバーさんだけでも、大事な物を失わずに済んで良かったですよ。」


「ギロッポン、お前って良いヤツだな。」


「ええ、地獄を見たヤツは、人に優しくなれるんですよ。」


「成る程な、分かるような気がするよ。」


「そうだ、レトリバーさん、

盗賊のやつらが沢山の武器や防具を隠していたんで、

レトリバーさんの魔導カバンに移して貰えますか?」


「おお、悪いな。」


サブローが『魔倉』から次々と取り出す、

高そうな武器や防具に、

レトリバーは目を白黒させている。


「これ程の貴重な武器や防具じゃ、

いったい、どれ程の金額になることやら・・・」


「俺の『鑑定』によると500万ギル位みたいですよ。」


「500!?今回の1か月間の行商で売り上げた金額の5倍って・・・」


「運良く臨時収入を手に入れたと思えば良いんじゃないですか。」


「そうだな、そう割り切る様にするよ、

その変わり街に戻ったらタップリご馳走させてくれよな。」


「ええ、美味しいお店を教えて下さい。」


「おう!任せて置け。」


結局、ルクシア共和国にある、

レトリバーさんの店がある街までの7日間の旅路にて、

レトリバーさんの馬車は3度盗賊に襲われて、

レトリバーさんの臨時収入は1000万ギルを超えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ