幕間13
「それでは、ただ今より恒例の、
『ケモイヤー村、お客人大歓迎会』を開催したいと思います。
司会進行は、皆さんお馴染みの私パピーが務めさせて頂きます。」
ロリーの父親はパピーと言う様だ。
「「「「「ワ~!パチパチパチパチ!」」」」」
「まず初めに、ケモイヤー村の村長であるソン・チョーより、
ご挨拶があります。
では村長、お願いします。」
「え~、私がただ今、ご紹介に預かりました村長のソン・チョーです。
今夜の歓迎会は、明日より、
ここ、村の広場に建築工事が始められます予定の、
宿泊施設の建築に携わられます大工の皆さま方に、
多数のご参加を頂きました。
え~と、それで・・・以下同文。」
「「「「「オ~ッ!パチパチパチパチ!」」」」」
「村長、少し上達したぞ!」
「前より長く喋れてたぞ!」
「村長、ありがとうございました。
え~、続きまして大工の棟梁様より、
お言葉を頂きたいと思います。
ピロンの街で大工の棟梁を務めて居られるゲイン様お願いします。」
「うむ、ワシが棟梁のゲインじゃ!
ワシらが来たからには、
船橋で電車を降りるつもりで任せるが良いぞ!以上!」
「「「「「ワ~!パチパチパチパチ!」」」」」
「何言ってるか分かりにくいぞ!」
「大船に乗ったつもりと掛けてるんじゃねぇか!?」
「ゲイン様、ありがとうございました。
続きまして、大工の皆さんにお名前と一言をご頂戴頂きたいと思います。
皆さん、お願いします。」
「ワシが長男のガインじゃ!趣味はベスボル観戦じゃ!」
「ワシは次男のギインじゃ!趣味はベスボル観戦をする、
ガインの観戦じゃ!」
「ワシが三男のグインじゃ!趣味はベスボル観戦をする、
ガインの観戦をする、ギインの観戦じゃ!」
「そして、ワシが四男で棟梁のゲインじゃ!
趣味はベスボ「申し訳ございませんが、他のご趣味をお教え下さい。」
うん?そうか、
では、女性の水浴びを除くピーピングモンキーの後ろから、
ソ~ッと近づき、両手で目を塞いで『だ~れだ?』をする事じゃ!」
「ワシは五男のゴインじゃ!趣味は盆栽いぢりじゃ!」
「俺は六男のシュバイツァーだ!
俺の趣味は、この世に蔓延る悪を駆逐する事だ!シュピ~ン!」
「「「「「オ~!パチパチパチパチ!」」」」」
「五男だけ地味だな!」
「六男、自分で効果音をシュピ~ン!とか言ってたぞ!」
「皆さん、ありがとうございました。
では、ここでカンパイに入りたいと思います。
カンパイの音頭は、皆さんお馴染みの、
ケモイヤー村最高の狩人にして、
今回、大工の皆さんの護衛でリーダーを務めたサンの父親でもある、
パパサンにお願いしようかと思いますので、皆さんご唱和願います。
では、パパサンお願いします。」
「は、は、は、はい、ただ、ただ、ただ今、
ご、ごしょ、ご紹介に、あず、与かりました。
パ、パパ、パパサンです!
え、え~と、そ、その~、・・・カンパイ!」
「「「「「カンパ~イ!ワ~!パチパチパチパチ!」」」」」
「相変わらずだな!オイ!」
「何で、またやらせた!?」
「ありがとうございました。
では、カンパイの方も終わりましたので、
皆さん、ご自由に、ご歓談の程をお願い申し上げます。
今夜のご馳走は、サンたちがピロンの街から持って来てくれた、
マッドパイソンを使いまして、
ケモイヤー村の新しい名物になる予定の塩釜焼きを作りましたので、
お召し上がりください。」
「「「「「オ~!パチパチパチパチ!」」」」」
「サン、リン、ロリー、ジュリー、ご馳走さんだぜ!」
「いつも、ありがとうな!」
「ジュリー、自分で持って来て、一番食べてんじゃねぇのか!?」
「ほう、この塩釜焼きという料理は、酒に合うのう。
それに、この酒は初めて飲んだが、
仄かな甘さの中にもガツンと来る力強さがあって良い酒だな。」
ゲインが、ケモイヤー村で作った濁酒を呑みながら言った。
「お口に合った様で良かったです。
そのお酒は、ピロンの街でサスケさんが作っている、
米と言う穀物を発酵させたものなのですが、
苗を分けて頂いたので、この村でも栽培し始める予定なんですよ、
そして、こちらが濁酒を濾過したものなんですが、
こちらも、味わってみて下さい。」
村長は、ゲインに清酒も奨めてみる。
「うむ、では頂いて見るとするかのう。・・・これは!?
何と言う洗練された味わいなんじゃ!
同じ酒が、これ程変わるものなのか!?」
「はい、私どもも初めて口にした時は驚いたのですが、
芳醇な香りが鼻に抜ける味わいに驚いたものです。
この酒の凄いところは、
冷やしても温めても美味しいところなんですよ。」
「なに!?酒を温めて飲むじゃと!」
「ええ、ひと肌ぐらいに温めると香りが強まって美味いですよ、
これから寒くなってくるから、体も温まって一石二鳥ですな。」
「ほう、それは美味そうじゃの、
これは、寒くなってから、また飲みに来なくてはならんのう。」
「ええ、ぜひ、いらして下さい。」
酒を飲んで騒いでいる男衆から離れた場所で、
レッドたちと一緒になって、
料理を、ひたすらにパクついていたジュリーに、
サンが話し掛けた。
「ジュリー、あなた、まだ村に帰って来るのが辛いんじゃないの?」
祖父母が亡くなり、この村で天涯孤独の身となったジュリーには、
辛い思い出が詰まった場所ではないのかと心配したのだ。
「ううん、そりゃ爺ちゃんや婆ちゃんが死んだ時は悲しかったけど、
サンたちや、村のみんなが優しくしてくれたから大丈夫だったよ、
人の温もりの、ありがたみを教えてくれた爺ちゃんたちに感謝しなきゃね、
こう言うの、何て言うんだっけ?
そう!『人間バンジー、さあ行こう!イヤ!』ってやつだよ。」
「それって、もしかして、
『人間万事塞翁が馬』って言いたかったの?」
「そう!それそれ!」
「大体、人間バンジーって何なのよ?」
「人間バンジーは、
ゴムの代わりに、前へ習えで縦に並んだ人達が、
しゃがみ込んで前の人の足首を掴んだら、
せ~のでバンジー!って・・・」
「怖っ!人間バンジー怖っ!」