表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転落勇者の人生大逆転物語  作者: シュウさん
103/238

幕間10

ある日の午後3時頃、サスケ邸の居間にて、

屋敷の皆が集まってピロン名物のピロピロ焼きを食べながら、

思い思いに紅茶やコヒ茶を飲みながら、

くつろいでいた時にジュリーが言った。

「お頭、チビリンたちって、

元は、みんなピーピングモンキーの割には一人一人違いますよね。」


「ああ、俺たちから見たら全部一緒に見えるピーピングモンキーにも、

一匹一匹に、ちゃんと個性があるんだろうな、

それが、チビリンたちにも反映されてるんだろ。」


「なる程、そういう事なんですか、

それぞれの特徴を見てみると、

レッドは正義感が強くてカッとなり易いですし、

ブルーは反対に冷静沈着ですね、

ピンクは一番女の子らしくて、

イエローは、とっても食いしん坊ですね。」


「キキ~。」


「ジュリー、

チビリンが、自分はどんな特徴があるかって聞いてるぞ。」


「う~ん、そうだな~チビリンの特徴か~、

うん!チビリンは普通かな。」


ジュリーの返答を聞いたチビリンは、

ガックリとして、両手とひざを床に付けて、

項垂うなだれている。


「チビリン、何も普通だからって落ち込む事は無いぞ、

最高でも普通、最低でも普通、

ちょ~普通!

今まで生きて来た中で一番普通です。と言った具合に、

普通は何にでも成れる万能なキャラと言えるからな。」


「キ~。」


「お頭、普通を連呼したから、

チビリンが余計落ち込んでいますよ。」


「キキッ?」


「えっ?

キャラ付けをするには、どうしたら良いかって?

そうだな~、一番簡単なのはセリフに特徴を持たせるんだがな・・・」


「キキッキキキキ~、ウッキ~。」


「いや、キキ~の後ろにウッキ~を付けても分からないから。」

「そうですね、インパクトが無さすぎますよね。」


「そうだ!決めのポーズとか作ったらどうなんだ?」


「キキッ?」


「えっ?

それは、どんなポーズかって?

そうだな、たとえばこうとか・・・」

サスケは戦隊物のヒーローの様な、

シャキーン!と効果音が入りそうなポーズを決めた。


「キキ~!」


「そうか、チビリンも気に入ったか、

じゃあ、ちょっとやってみるんだ。」


「「「「「キキキ~!」」」」」

何故か、レッドたちも一緒になってポーズを決めている、

しかも、レッドが中心になっていて、

チビリンは一番端で目立たないポジションだ。


「キキ~!」

チビリンが、レッドたちに怒って文句を付けていた。


「レッドたちは、何で一緒にポーズを取ったんだ?」


「「「「キキキ~?」」」」


「何だか分からないけど、勝手に体が動いたって?

おかしいな?そんな能力は付いていないはずなんだが・・・」


「キ~!」

チビリンは怒って部屋の隅に行って不貞寝ふてねしてしまったが、

チラチラとレッドたちの様子をうかがっているところを見ると、

すきを見て一人でポーズを決めようとしているのが見え見えだ、

レッドたちも、それに気が付いている様で、

チビリンの動きに細心の注意を払っているのが見てとれる、

そうした訳の分からない緊張感に我慢が出来なくなったのか、

突然、チビリンは跳ね起きて走り出すと、

居間のテーブルの上に飛び乗ってポーズを決めた。


「「「「「キキキ~!」」」」」

やはり、チビリンは一番端でポーズを取っていた。


「キ~。」


「そうだな、どうやら、この方法には無理がある様だな、

ポーズの他に特徴を付ける方法っていうと何があるかな~?」


「お頭、特徴と言えば、

私たちの忍び装束なんですけど、

頭巾を被っちゃうと誰が誰だか分からなくなっちゃうんで、

見分けが付く様に一人一人違うアップリケでも付けてくれませんか?」


「ああ良いぞ、じゃあ皆の獣人としてのタイプに合わせて、

サンは犬、リンはネコ、ロリーは鷹、ジュリーは虎をデフォルメ化して、

アップリケを造ってやるよ。」


「「「「ありがとうございます!お頭。」」」」


「キキキ~!」


「えっ?

チビリンの忍び装束にも刺繍ししゅうを入れて特徴付けてくれって?」


「キキ~!」

チビリンが居間の壁の方を指差して言った。


「ああ言う文字が良いって?」

居間の壁には、サスケが書いた『刃如心持』という、

漢字で書かれた掛軸が掛けられている、

意味は『やいばごとき心を持つべし』であった。


「外国人が漢字のTシャツを着る感覚なのかな?

まあ良いか、じゃあ刺繍してやるから、

この中から、気に入った文字を選べよな。」

サスケは魔法で造った国語辞典をチビリンに渡しながら言った。


「キキ~。」

チビリンは喜びながら辞典を抱えて行った。



「キキキ~!」

サスケが、サンたちの忍び装束に付けるアップリケを造っていると、

チビリンがやって来た。


「おっ、決まったのかチビリン、

で、どの漢字にするんだ?」


「キキ~!」


「えっ!?

ホントに、この漢字にするのか?」


「キ~!」


「そうか、チビリンが、

この字にビビッ!と来たって言うんじゃ仕方無いか、

分かったよ、その字を刺繍してやるよ。」


次の日、サスケの屋敷には、

忍び装束に刺繍を入れてもらったチビリンが、

嬉しそうに、そして誇らしげにしている姿があった。


そして、その背中には大きく『普通』の漢字が刺繍されていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ