いい日ダメ出し
領主のオークスとの会談を終えた日の夕食の席で、
サスケは、ミルクとの結婚式を街の教会にて挙げられるのが、
決まった事を皆に報告した。
「みんな、食事の前に、ちょっと聞いてくれるか、
実は今日、ミルクと剣の納品に領主様の城を訪れたんだが、
その際に、ミルクとの結婚式の話を領主様にしたところ、
街の教会で式を挙げる許可が頂けたんだ。」
「「「「「ワ~~~ッ!パチパチパチパチ!」」」」」
「ご主人様、ミルク様、おめでとうございます。」
「サスケよ、ついに決断しおったか。」
「ミルク様、いよいよですね。」
「お頭、ミルクさん、お幸せになって下さい。」
「お頭、披露宴には、もちろんご馳走が出るんですよね。」
「これで、妾にしか・・・」
「いえ、お頭が英雄になれば側室に・・・」
「「「「「キキキ~!」」」」」
「お頭、結婚式の日程は決まったんですか?」
「いや、まだ未定だな、
ケモイヤー村の宿泊施設の建築を、大工のゲインさんに依頼したから、
準備が整ったら村までサンたちに護衛して貰う様になるんだよ、
だから、結婚式はサンたちが帰って来てからになるな。」
「宿泊施設の建築って、どの位の期間掛かるんですか?」
「ゲインさんに聞いたところでは、
基礎工事や、建て方工事は魔法でやるらしいんで、
工事着工から1か月で出来ちゃうらしいぞ。」
「そんなに早く出来るんですか!?」
「ああ、魔法様々だな、普通に建てれば半年は掛かると思うぞ。」
「そうですよね、
でも、それなら結婚式は余り先にはならなそうですね。」
「おう、ゲインさん達の準備が、
いつ頃終わるかは、まだ分からないけど、
再来月には式が挙げられるんじゃないかな。」
「そうですか、今から楽しみです。」
サンたちに結婚式の発表をしてから三日後に、
ゲインが建築材の準備が整った旨の報告をする為に、
サスケの屋敷を訪れた。
「サスケ、居るか?」
「は~い、少々お待ち下さい。」
ガチャッ!と玄関のドアを開けて、スクルが応対に出て来た。
「どちら様でしょうか?」
「ワシは、大工のゲインと言う者だ。」
「ああ、あなたがゲイン様ですか、
今、ご主人様をお呼びして来ますので、
こちらの応接室でお待ち下さい。」
ゲインは、スクルの案内で応接室に通されて、
ソファに座ってコヒ茶を飲みながらサスケを待った。
暫くすると、カチャッ!と応接間のドアを開けて、
サスケが入って来た。
「お待たせして済みませんゲインさん、
今回、ケモイヤー村まで材木を運ぶ為の秘密兵器を、
作業場で造っていたものですから。」
「運搬の秘密兵器じゃと?」
「ええ、幌付きの荷馬車に空間魔法を付与しましたので、
今回、ゲインさんにお願いした建物に使う量の建築材を、
2件分は収容できると思います。」
「2件分じゃと!?
優秀な錬金術士で魔法使いと聞いて居ったが、
どうやら、サスケはワシの想像以上の腕前らしいの。」
「使い終わった荷馬車は、
今回の工事が終わったら、ゲインさん達にプレゼントしますから、
どうぞ、お使い下さい。」
「それは、とてもありがたいが、
サスケよ、分かって居るのか?
本来、それ程の魔導具を買うとなれば、
今回の報酬を、全部つぎ込んでも足りんかも知れんのだぞ。」
「ええ、空間魔法が付与された魔導具が高価なのは理解していますが、
俺が、工事を急いで貰いたいから造ったものですから、
どうぞ、遠慮なくお使い下さい。」
「うん?何か工事を急ぐ理由があるのか?」
「はい、今回の工事が終わったら、
婚約者と結婚式を挙げる予定なんですよ。」
「ほう、それは目出度いな、
おめでとうと言わせて貰うぞサスケよ、
そういう事なら、ワシら一同が頑張って工事を早めるから、
その報酬として荷馬車を貰うとするかの。」
「はい!お願いします。」
サスケが造った荷馬車に建築材を積み込んだゲイン達が、
ケモイヤー村へ向けて出発する日が来たので、
サスケたちは街の門まで見送りに訪れた。
「サン、ロリー、リン、ジュリー道中の護衛を頼んだぞ。」
「「「「はい!お頭。」」」」
「レッド、ブルー、ピンク、イエロー達も、
サンの言う事を聞くんだぞ。」
「「「「キキ~!」」」」
今回は、前回行けなかったレッド達を、
サン達のオブザーバーとして随行させる事にした。
「皆さん、お気を付けて行ってらっしゃいませ。」
「今度は、ワシらも温泉に入りに行くからのう。」
「レッドちゃん達、余り危ない事しちゃダメだよ。」
サン達も行くので、屋敷の皆も見送りに来ていた。
「サスケよ、今日出発すれば、来月中頃には完成となるから、
教会の方は来月の下旬に予約を入れれば良いと思うぞ。」
「分かりました。
ミルクと一緒に予約に行ってきます。」
「うむ、そうするが良い。
それでは皆の衆、出発するぞ!」
「「「「「「おう!チョンピ~チョンピ~、仕事キライ~、
ブ~ブブブブブブブ~、チョンピ~チョンピ~」」」」」」
「サスケさん、今、ジュリーさんも一緒に歌ってませんでしたか?」
「何か、波長が通ずるもんが有ったんだろ。」
ゲイン達を見送ったサスケは、
他の者は屋敷へと帰らせて、
さっそく、ミルクと一緒に教会に行って、
結婚式の予約を入れておく事にした。
「こんにちは~、どなたか見得ますか~?」
教会の大きな扉を開けて中に入ったサスケは、
人気が無いのを見てとり、大きな声で呼んでみる。
すると、姿は見えないものの、
どこからか声が聞こえてきた。
「お前が落としたのは金の斧か?銀の斧か?
それとも普通の小野さんか?」
「小野さんて誰だよ!」