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とある某生徒の日記?

作者: ELIKA

このドゥール・スメル学院男子中等部には、逆らってはいけない生徒が存在する。それも、入学したばかりの一年生だ。人数にして三人。


一人は、エーデル・ジーン・オースティン。ミカジア王国四大公爵家に挙げられる、あの「オースティン公爵家」の次男坊だ。公爵の地位だけでも凄いのに、オースティンは長者番付の安定の上位十番内に加盟を連ねる資産家で、各地に鉱山や土地を多く持っている。確か学院にも多額の寄付金を納めていた。

エーデル様は頭も良くて剣術にも長けた優等生で、また上記のような門地の為か先生方にも大切にされている。……最も人柄に優れているのかは知らないが。家柄の良いお坊っちゃま達を子分に従え、我が物顔で学院内を歩き、身分の低い生徒を見下し、気に食わない生徒がいれば目を付け、苛める。自分は直接手を下さず、子分達に命令するところも、エーデル様の性格が見えてくる。



でも、そんなエーデル様でも媚を売る、もっとヤバい方々が学院にいる。



アルフォンス・ルーサ・ミカジアとその子分、ジェフリー・タイン・ラインベルガーだ。


現ミカジア国王夫妻嫡男にして、王太子殿下にして、次期国王陛下。

今、この学院には、アルフォンス王太子殿下が在籍されている。学院最大の権力者で、敵に回して反感でも買われてしまったら、その人は学院に通うのは難しい…いや、無理だ。下手したら、家ごと潰されるかもしれない。殿下からすれば、そんなの容易いことでしか無いのだから。

殿下は、成績優秀でスポーツ万能だ。噂では、一度聞かれただけで語学を操れるほど頭が切れるらしい。またある噂では、弱冠十歳にして他国で山賊を剣一本でぶっ倒したらしい。上流階級の子弟が剣術を嗜み始めるのは普通、六歳位だ。それは単純に体力も、剣を持てる腕力も、剣を扱える筋力も足りないからだ。だとすると、殿下はたった四年で大人達とまともに遣り合えるようになった、ということになる。こんな物語のチート主人公みたいな話あるわけないだろ、どうせ誰かが面白可笑しく誇張しただけだーーとも思えないのは、殿下は六歳にして‘稀代の魔術師’の異名で世界に名を知らしめたからだろう。

史上最年少(当時六歳)で中級魔術を全て成功させ、更に風術第八魔法陣簡略化を達成してしまった。才能のある子女でも中級魔術を駆使出来るのは早くて八歳、全部操れるようになるには最低十歳と言われているのに、殿下は驚異のスピードで新記録更新。魔法陣簡略化となれば、魔術大学や魔術協会の研究員が頭を悩ませる難問の一つだぞ!何でそんなに何でも持ってんだ!神様のエコ贔屓!と、ひとつくらい叫びたくなる。

殿下一人いらっしゃれば、百人力だろう。

あの何処か冷ややかな青い双眸とオーラと、殿下が何かされた訳でもないのに、何故か人を恐れさせて戦けてしまう。そんなアルフォンス王太子殿下に対し、友達のように気軽に付き合えられるのは、多分ジェフリー様だけだろう。


殿下の従弟で、つまり王族の血を引く一人で、四大公爵家のラインベルガー家の三男坊。それがジェフリー様だ。

ラインベルガー家といえば、代々政治家や大臣を輩出してきた、所謂エリート一族だ。今の公爵も若くして宰相補佐を務めておられる。ジェフリー様の兄上二人も、学年で一、二番を争い、かつては中等部の生徒会長を任されていた。

だが、ジェフリー様は失礼ながら、ラインベルガーの中では異端といえる。成績は悪くないのだが、中の上。社交的でムードメーカー。身分に関係無く分け隔てなく接して下さる人気者なのだが、リーダー的存在…ではないように思う。ラインベルガーの対極に立っている感じだ。

これだと家の中では冷遇されてしまっているのではないだろうかと、他人事ながら思った。が、殿下の親友ということで、無下にされていることはないようだ。むしろ、成績を上げるよりも殿下と仲良くすることの方が難しいだろう。


そしてこの時は考えていなかったが、


偶然にも僕、グリエルモ・ディーンは、


ひょんなことからこの三人の権力者と、


関わることになる。

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