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おもいで迷子  作者: 空乃 千尋
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 本作が、初めての投稿になります。


 至らないところも多いかと思いますが、どうぞ宜しくお願いいたします。

 部屋に積まれた本。一冊、二冊、三冊、四冊……、九十九冊。……、片付かない。


 「あぁっ! もうっ!」


 お皿だったら、九枚で数え終わるはずだ。そしてお決まりの「一枚足りない!」で済むはずである。でも、そうはいかない。何冊数えても、何冊数えても、数え終わらない。どうしてこうなるんだろう。というか、いつからこんなに散らかってしまったのだろう。


 もうぅぅぅっ! そこっ! そんな眼で見るなぁっ! 本棚の上、ベッドの上、机の上とあちこちから、こちらを見つめるつぶらな瞳。ふいに手に取った本を高らかに上げ、振り下ろ……、せない。そんな可愛い眼でこっちを見つめるなぁっ! 「あぁ~っ!」と甲高い叫びをあげながら、ベッドに顔をめり込ませる。


 数学の教科書が見つからないのである。いや、あるにはあった。中2、中1、挙句の果てには算数の教科書まで出てきはしたのだ。でも……。


 「私は高1だぁっ!」


 ヒステリックにまた本を手に取り、今度は壁に投げつけようと手を上げる。


 よく見れば手に持っていた。


 「あああぁっあああぁっあぁっ!」


 そう、私は片付けられない子なのである。いつからか部屋には本やらぬいぐるみやら、何だか訳のわからないものが積み上げられ、気が付けばかろうじて足場を確保できるだけになっていた。


 これじゃあ彼氏も部屋に呼べやしない。まぁ、そんなもんいないけどなっ! と、そんな悲しい事実はいいとして。でも、どんだけ女子力ないんだよ、私は……。


 しかし、どうして必要なものほど見つからないんだろう。国語の教科書を探せば、懐かしいマンガが出てきて読みふけってしまったり、逆にマンガの最新刊を探せば、卒園アルバムを発見し、そこに載っていた自分の恥ずかしい写真を発見してしまったりとか。


 挙句の果てには、その日持ち帰ったはずのお弁当箱がなくなったかと思えば、代わりにこれまた懐かしいキャラクターのイラスト付きお弁当箱が現れたこともあった。その上、中からは何か干からびた緑色の物体が……。思わず、女子にあるまじき濁音混じりの悲鳴をあげてしまった。いつのだよっ! そういえば確かに小さい頃、ブロッコリーが苦手だった記憶はある。


 高校生になって、早一ヶ月。もう何度教科書を忘れたことだろう。その度にいつも貴重な幼馴染に助けてもらう始末である。しかし、本当にいい友達を持ったものだ。こんな私を、それこそまだ私が女の子とは言えなかったような頃から見放さずにいてくれているのだから。全くありがたい限りである。


 でも明日は頼らずに済みそうである。さ、忘れないうちにちゃんと鞄にしまってと……。


 現在、夜12時。ちょっと遅いけど、今日は安心して眠れそうである。




 「……、……、あなたって最低ね」


 「んぅ? うぅ……」


 まどろんだ意識に薄らと聞こえた、ゆったりとして平坦な女の子の声。そんな中、はっきりと耳に残った、《最低》という言葉。重たい瞼に隠された視界にはまだ暗闇しか写っていない。


 どうやら何か変な夢を見ていたらしい。


 頭はまだ半分以上眠っていたが、無理やりに身体を起す。頭が痛い。すっかり寝不足である。


 でも、何が最低なもんか。今日は万事、最高に過ごせるはずなのである。だって、昨日の内にちゃんと今日の支度を終えているのだから。


 自分の夢に突っ込みを入れながら、少しずつ現実に意識を戻していく。そして、無意識に枕もとの充電器から携帯を外し、その液晶を眺めた。


 現在、朝7時半。


 え~と。ダメだ。まだ、頭の整理がつかない。


 とりあえず、電車の出発まであと40分ある。


 そして、駅までは走って10分はかかるから……。うん。


 寝坊したっ!


 とりあえず、髪っ! 髪をっ!


 もちろん、ご飯を食べている暇なんてなかった。身だしなみだけ整えて、鞄一つを手に慌てて家を飛び出す。


 武士は食わねど何とやらならぬ、女子は食わねど何とやらである。


 30分で何とか人前に出られる姿に変身。タイムリミットまでジャスト10分。よしっ! ギリギリ間に合う!


 でも、やっぱり最低だっ!

 一応、今後の話も完成しているのですが、確認・修正などしながらの投稿になりますので、全部が載るのには少しお時間を頂くかと思います。


 またご意見、アドバイスなどありましたら、お言葉を頂けるととても嬉しいです。

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