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隣の妖様  作者:
1/2

はじまりはいつも突然に



ここは日本

いつものように仕事を終え、車に乗ろうとしていた諏訪優華(すわゆうか)は自身の愛車に違和感を覚えた。

違和感の元を辿っていくとリアシートに腰掛ける髪の長い女。

優華は溜息を吐いて、ゆっくりと深呼吸をしてから口を開いた。


「また、あなたですか。

いい加減、私に付きまとうのやめてもらえませんか?」


呆れたように言う優華に女はケタケタと笑うだけで何もしない。

優華は再び深い溜息を吐いた。


「いい加減、成仏でもしてくださいよ。

そろそろこの車にも飽きてきたでしょう?」


女はケタケタと笑うのを止め、静かに言った



「ずっと、いっしょ」


今まで一言も話すことはなかった女に驚いた瞬間、優華の体は硬直した。

“金縛り”

確信したときにはすでに遅く、走り出していた車はハンドルを回すことも、ブレーキをかけることもできずに、大きな音を立てて壊れていった。



ああ、この車、なんだかんだ気に入っていたのに。

それよりも、家に帰ってから飲もうと思っていたビールはもう飲めないのか。

しかも明日は待ちに待った給料日じゃないか。

最近好きになった漫画の新刊だって出るし、まだやってないゲームもあるのに。

まだ、死にたくないなあ。

でも体は動かないし、首に女の手が絡まってるし、視界には赤が見えるのに痛くないなんて、これヤバイよなあ。

ああ、耳元で笑うな。地味に髪の毛があたって痒いんだよ。

それにしても、私は天国にいけるだろうか。

よく考えれば親孝行もできてないし、いいことした覚えもないし。

地獄行きか、痛いのは嫌だなあ。

どうか天国で待つひいひいじいちゃんと仲良くなれますように。


優華の視界は霞み、やがて暗闇となって消えた

力の抜けた優華を女は強く抱きしめ、再びつぶやく



「ずっと、いっしょ、地獄まで」






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