表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最高の死霊魔術師-Psycho Necromancer-  作者: かっつん
第4話:死霊魔術師の資料
11/16

1.記者、対話を試みる

古鉄君の家は学校からまっすぐ歩いて5分の位置にある。

故に、そこまで遠くなく歩いていける距離なのである。

だからなんだと聞かれたら、それでおしまいなのである。


「さっきから何を言ってるんですか愛華さん」

「ん、え、記事を書くときのオチとかどうしようかな、って思ってですねぇ……」


私は古鉄君と並んで歩いている。

古鉄君の背がとても高いので、私は彼を見上げて離さなくてはならない。


「古鉄君が新しく新聞部に入部するんですもの、はりきって書かないと!」

「……そんなに大事なのですか?」

「そうですとも!私達新聞部にとっては部員の1人が大事なのですとも!」


私の言葉を聞いてか、古鉄君がふと立ち止まった。


「どうしたのですか?」

「愛華さん……キラキラしてます。眩しいです」

「え?」


古鉄君が髪をかき上げ、まっすぐな瞳で私を見つめる。

その瞳にはどこか悲しげな色が映し出されていた。


「僕は愛華さんのような人が羨ましい……です。今まで生きてきて、こんなことは無かった」

「そ、そんな照れますって~!」


私が大げさに手を振ると、古鉄君はまた小さく笑った。


「……ちょっと、クサすぎましたかね?さて、行きましょう。本子が待っています」


再度歩き出す古鉄君。私はそれについて歩く。


「なんか古鉄君キャラ変わりましたね」

「え、そうですか?」

「ええ。昨日初めて会った時はもっと暗いイメージでしたから」

「僕は変われたのかもしれない……」


ぼそっとつぶやいた古鉄君はそのまま左へ曲がった。

私もそれについていくが、家の存在に気づくのには時間を要した。


「あ、もう着いたんですね」

「ええ、黒魔術で意識させないようにしてあるので、愛華さんが気づきにくかったのも仕方ありません」




ドアを開けると、相変わらず薄暗い部屋が広がっていた。

が、そこにはいつもとはまた一風というか270度変わった世界の人間(?)が鎮座していた。

昨日私が取材したテーブルの上に胡坐をかく金髪の女性。

私達には背を向けているので背中が見える。


……文字通り、背中が見えるのだ。素肌の。

古鉄君はその女性を見るなり顔を真っ赤にして叫んだ。


「あっ!こら!裸エプロンはするなって言ってるだろう!」


古鉄君の声に反応して、金髪女性は振り返った。


「オー!テツ!やっとキたんですネ!」


振り返った姿を見て、私は持っていた鞄を地面に落とした。

裸でエプロンを身に付ける、それは百歩譲ってよしとしよう。

……彼女の上半身、胸部が、異様に飛び出ていた。前に、右に、左に。


「およ?テツ、そのヒト、ダレですか?」

「後で説明するから!まずは着替えてきなさい!」

「オッケー!じゃ、あとでね!」


そういうと胡坐の姿勢のままテーブルを通過し、ゆっくりと下へ降りて行った。

私はあんぐりと開いたままの口を閉じずそのまま聞いた。


「こ、こてつくん、いまの……なに?」

「5人目のゾン子です。ちょっと性格が不安定なまま完成しちゃったのです……」

「ヘーイ!お・ま・た・せ!」


ドアを突き破るかのような爆音を立ててその2つの爆弾を揺らしつつ、金髪は近づいてきた。

……2歩以上間があるはずなのになぜかすごく近く感じる。青い二つの瞳が私を見据える。


「で、テツ。そのヒト、ダレですか?」

「この人は僕の先輩の伊吹颪愛華さん」

「い、伊吹颪です、よろしく……」


私は外人特有の威圧感とまた別の威圧感に苛まれ、縮こまりながら挨拶を交わした。


「テツのシニアのマナカね!ミーはトレアといいますデース、よろしく!」

「と、とれあ?」

「イエス!トレアデース!」


そういうとトレアは私に勢いよく抱き着いてきた。

むにっとした感触が上半身を包む。やわらかい。本物だ。たぶん。




トレア、5人目のゾン子。彼女は海外から来ている精霊を宿した存在。

日本語が不自由なので独学で学んだらしい。まだ片言だが上手だ。

あとは日本の文化についても知りたがっていて、先ほどの裸エプロンもその一環だったようだ。


「だからといって実践するもんじゃあないよトレア……」

「テツもそういうのスキってコトですかー?」

「ばっ、そういうのじゃなくてだね……」


さっきの光景を思い出したのか、顔を真っ赤にする古鉄君。

そりゃあそうだ、あれは女の私でも刺激が強すぎる。


「ところでトレアさん、他のみなさんは……?」

「チューボーでおリョーリをツクってるデス」

「お料理?古鉄君、私をここに呼んだ理由って?」

「はい、僕の入部記念と称して愛華さんとの食事会、ですかね」

「ほ、ほほぉ……」

「あれ、嫌でしたか?」

「いえ、嫌とかじゃないんですが……意外でしたね」


まさか古鉄君から誘われるとは。実はこのキャラは仮面……?

そんな不安も少しよぎったが、これに乗らずして新聞は完成しない。

私の取材魂が震えていた。燃え尽きるほどに。香る、感じる。


「……ネタの匂い」


ドアが開くと奥からメイド、和服、鮫、その他もろもろゾン子(約一柱違うが)が各々食べ物を持ってやってきた。

宴が、始まった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ