原発の心
この話は、東北大震災と関連があります。抵抗のある方はご注意ください。
あなたは、物に心は無いといいますか?
少なくとも原子力発電所の私はありますよ。
心のある物の無い物の見分け方ですって?
簡単ですよ。
人が誰かを救いたい、幸せにしたいって願って作った物はみんな心を持っているんですよ。
私は悲しいです。
だって、多くの人に恐怖や困惑を与えてしまたんです。
生活が不便になった人もいるんです。
実際死んだ人もいるんです。
昔の人たちは、私を救世主として扱ってくださいました。
エネルギー問題を解決し、地球温暖化の原因となるCO2をあまり出さない発電方法として。
私はその方々の期待に応えられるよう、一生懸命働きました。
寿命を超えても、体に鞭打って頑張りました。
でも、迷惑だったんですね。
老いぼれの私は、とうとう自分も制御できなくなったんです。
自分の作った放射線を止められずに、皆さんの家へばらまいてしまったんです。
私にできることは、これ以上事態を悪化させないようにするだけ。
迷惑をかけた私が言っていいのかわかりませんが、皆さんにお願いがあります。
本当の救世主を見つけてください。
みんなを幸せにできる物を作ってください。
そして、私のように物には無理をさせないでください。
私は昔の人たちの心を受け継いで、今もあなたたちの幸せを願っていますから。
御一読、ありがとうございました。
麟龍凰先生の企画で書かせて頂いているのですが、なかなか難しいものです。読んで下さった方に笑顔を与える、というのが条件なのですが、あなたはどうでしたか?
笑顔にまではならなかったかもしれませんが、少しでもプラスな気持ちを持って頂けたら幸いです。