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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

変わらなかった笑顔

作者: 海帆

http://ncode.syosetu.com/n5486z/の続きです。

これだけでも読めますがよかったら「曇った笑顔」もよろしくお願いします^^

 『今日、会えない……か?』


 元恋人で、今は人の旦那からの急な連絡。

 俺の連絡先を教えてから、わずか1週間の出来事。



「久しぶり、渉」

「あぁ」

 1週間前会ったけど、と心の中でだけ言う。

「急に悪かったな」

「別に。どうせ暇だし。俺こそ汚い家で悪い」

 5年前、こいつと別れてからも引っ越せなかったマンション。

「……」

「……」

 お互い、何を話すわけでもなく無言になる。

「……急に連絡してくるってことは用事があるわけ?」

 先に言葉をきりだしたのは俺だった。

「いや、ただ話したかったんだ。……先週はあまり話せなかったし」

 そりゃ、結婚式の会場、しかも新婦の目の前で俺なんかと話せるわけないよな。

 新婦も驚きだろうよ。まさか夫に男の元恋人がいるなんて知ったら。

「結婚おめでとうございます」

「あ、ありがとう」

「……」

「……」

 やはり、すぐに会話が止まる。

「……5年前はごめん」

「別にもういい」

 5年前、急に付き合い始めた、と言いだしたことだろう。

「それにしても、渉……誰とも付き合ってないのか」

「悪い? それもおまえにはもう関係ないだろ」

「いや、俺が結婚するぐらいだから。おまえ、昔からもてるから、さ」

 それなら……。それなら俺のこと手放すなよ。

 思わず、ガキみたいな考えをする。

「……好きな奴に振られたんだぞ。そんなに簡単に気持ち切り替えられるかよ」

「……」

「それで、連絡がきたと思ったら結婚することになりました、だぞ?」

「……」

「悩みに悩んで出欠も連絡せずに行って」

 俺の口から、言葉は止まらない。

「ステージにいる元恋人を見つけて、変わらない姿に思わず涙が出そうになって」

 言わなくていいのに。そんなこと、言いたくないのに。

「話しかけられて、名前を呼ばれて、笑った顔見せられて」

「……」

「嬉しかったんだよ! だけど悲しかったんだよ。俺に気を使ったみたいな曇った笑顔見せやがって」

「……」

「改めて好きだったんだな、って実感させられるし。それよりも、あぁ、好きなんだな、とかバカなこと思わせられるし」

 黙れ、黙れ、黙れ。

「帰り際に見た笑顔は曇ってなかったよ。久々に見たよ。あの笑顔を曇らせたのは俺なのかよ」

「……渉」

「わかってるよ。おまえは5年で変わったよ。大切なところは変わらずに、いらない所だけは変わったよ」

 それなのに、俺はガキのままなのか。

 昔と同じで我がままで。

 おまえといると疲れるよ、とため息を疲れた時のままなのか。

「渉、少し黙れよ」

「悪かったな、うるさくて。ガキで」

 5年間で、付き合っていた元恋人はだいぶ大人になっていた。

 それなのに、本当に俺はなんなんだろうな。

「渉、好きだった」

「……」

「好きだった」

 この前、結婚式の会場を後にする時、小さく小さくつぶやいたその言葉。

 今度は、俺じゃなくてあいつが言っている。

「俺だって……、好きだったよ」

 今度は、俺が小さく言う。

「ごめん、渉。俺がわるかった。だから」

 おまえも笑え。

 あいつがそう言った。

 そう言った時のあいつは笑っていた。

 俺が初めてあいつを見たときと変わらない笑顔だった。

「好きだった!」

「俺も好きだった」

「好きだったんだよ!」

 あいつの笑顔を見たとき、止まらなくなった。

 好きだったんじゃない。好きなんだ。

 だけど、言わない。言えない。

 

「俺も……変わりたいよ」

「変われるさ、渉なら」

 おまえにもう1度会えたから、俺も変われるだろうか。

 1週間前も思ったこと。だけど、変われなかった。

 おまえに“好きだった”と言われた今ならきっと変われるだろう。

 

 あいつの笑っている顔を見ながら、俺もあいつと一緒に笑う。

 5年前のあの時も、笑っていればよかった。

まとまっていなくてすみません。

「こいつ」とか「あいつ」とか……。

あわせろよ、というかその前に名前決めろよ、という感じですが。

あえて名前も年齢も書きませんでした。


長くなってすみません。

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