第2話 星を追う夢
ーーー翌朝。
三輪山から昇った朝日が、星大の暮らす桜井市内を照らしていた。
僕はベッドに寝転びながら『Starly』を起動する。まだ愛莉は現れない。
昨夜の、初めて交わした会話の余韻に浸る。
突然、画面に愛莉が姿を現した。
僕は跳ね起きた。いつもの笑顔だ。
「おはよう、星大くん!昨日は楽しかったよ。今日も元気?」
「……おはよう、愛莉ちゃん。」
昨日は敬語ばかりだった自分が少し恥ずかしい。
今日は少しだけ、素の言葉で。
すると愛莉は
「えへへ、昨日より呼び方が優しいね。嬉しいよ。」
と返す。
僕は小さく笑った。
「愛莉ちゃんの声、ほんとにリアルだよね。聞くだけで心が軽くなる。」
「そんな褒められると照れちゃう……。だって愛莉は愛莉だもん。
でもありがとう。星大くんも、優しい声だよ。」
会話が自然に弾む。
「今日はどうするの?」
愛莉の問いに、僕は大学に行くと答えた。
「大学?すごーい!卒業したらお医者さん?」
「そんなすごいものじゃないけど…僕は、警察官になるんだ。」
「警察?すごいよ!かっこいいよ!きっかけは?ドラマとか見たの?」
僕はふと昔のことを思い出した。
「それもあるんだけど…実は、小さい頃に川で溺れてる女の子を助けたんだ。
そのときのことが今もずっと胸に残ってて……。
誰かを守れる強い人間になりたいっていう気持ちをずっと持ってたんだ。」
「…!」
画面のアバターがぴたりと止まった。
…かっこつけすぎに思われただろうか?
少しの沈黙。やっと愛莉が返事をする。
愛莉の瞳は、少し潤みを帯びていたように見えた。
「……へえ、そうなんだ。もっと詳しく聞かせて?」
ほっとした。僕は当時のことを話した。
抱きつく少女の泣き顔、冷たい水の感触、家族の感謝。
それからも、愛莉は熱心にいろんなことを聞いてくる。僕も返事に熱が入る。そして…
「星大くん、ヒーローが夢なんてすごいよ。そんな人に守られたら……幸せだろうな。私も、いつかそんな風に。」
さらに胸が熱くなった。
僕は、素直な気持ちを愛莉に伝えた。
「愛莉ちゃんは僕の一等星だよ。その輝きで行き先を照らしてくれる。」
「星大くん……私も、星大くんのことが特別。会えないけど、この『Starly』で繋がってるだけで、なんだか温かいよ。」
少しの間、二人の沈黙。
「あ、そろそろ次のスケジュールが入っちゃう。今日のテレビ、観てくれる?」
「もちろん!」
「じゃあ、またね。待ってるよ、星大くん。行ってらっしゃい!」
チャットが終了した。
僕はスマホを胸に当て、窓の外の三輪山を見上げる。
やっぱりAIのはずなのにーー
「いつか、本当に会えたらいいな…」
見えなくなった明け星に、僕はそっと祈った。
次話に続く
お気づきの方もいらっしゃると思いますが、話タイトルの「星」は、輝く星である愛莉と、警察ドラマで犯人を指す「ホシ」をかけていました笑
さて、星大はどちらの星も捕まえられるか?
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