表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/3

001 / 目を覚ますと

初の異世界モノです。下手くそだと思います。

会話文多めです。

「じゃあ、行ってきます」

「行ってらっしゃい! 今日は当たるといいね!」

「頑張ってみるよ」

「うん! 頑張れ!」

 双子の姉は今日も元気だ。語尾が跳ねていることからもわかる。

 対して僕はあまり気分が良くない。このところ、当たっていないからだ。


 海に行くと、朝だというのに既に先客がいた。

「おはよう、おっちゃん、竜紀さん」

「おお、朔坊か。今日は当たるといいなぁ!」

 そう言って豪快に笑うのは安田のおっちゃん。海釣り仲間だ。

「おはよう。朔坊の今日の狙いは何だい?」

 そう言うのは竜紀さん。最近来るようになった比較的新米の海釣り仲間だ。

 安田のおっちゃんは豪快で大雑把だが、釣りの腕は確かだ。

 昔は、船に乗って1m超えの大きな魚を釣っていたらしい。

 竜紀さんは、最近就職してその空き時間にここへ来ている。

 僕の方が歴は長いが、釣り人としての腕は竜紀さんの方が上だ。

 そんな2人に対して、僕――砂原朔矢は、ここ5回ほど当たってすらいなかった。

 1番直近で釣れたのも小さなフグで、リバースするしかなかったから、家に持って帰って食べたのはだいぶ前だ。

「今日こそ大物を釣って見せるから、見ててよおっちゃん」

「ガハハ!威勢だけはいいな! 見せてみろ朔坊!」

 その言葉に、少しムッとした。威勢“だけ”とは言わせないためにも、今日こそ釣らなければ。


 そうしておっちゃんに啖呵を切ってから3時間。何も当たらず、昼食を取ることにした。

「朔坊、そう気を落とすな。こればかりはその時の魚の気まぐれだから。な!」

「うん……」

 僕の心は折れかかってしまっていた。3時間、糸を垂らしていただけ。

 時折竿を上げれば、そこには餌だけ食われた跡しか残っておらず、それも僕のメンタルにきた。

 黙々とコンビニで買ったサンドイッチとおにぎりを食べ、針に餌をつけて海に垂らす。


 クッ、クッと糸が引っ張られる感覚に気がつき、じっくりとタイミングを見計らう。

 このタイミングを逃したり、逆に早かったりすると魚は逃げてしまう。

 じっと、なるべく動かさないように気をつけながら待つこと数十秒。

 それまでよりも強く糸が引っ張られ、竿がしなる。

 急いで糸を巻き、針を引き上げる。

 すると見えてきたのは、針に食いついたフグだった。


「ハッハッ、またフグか! 戻すしかないな」

「クソッ、なんで僕にはフグなんだ!」

 はあ、もうやめよっかな、海釣り。生簀にでも行って乱獲してやろうか。

 そんなことを考えながら、フグを針から取って海に返す。

 餌をつけながら、安田のおっちゃんと話す。


「おっちゃんはどうやって釣ってんの?」

「ぁん? まあ、なんだ、その、……経験だな」

 おっちゃんにアドバイスを求めた僕がバカだった。

 

「頼むよ、人生で一回は大物を釣りたいんだよ……」

 本当に大物、1m超えは船で釣るしかないが、僕は船に乗れない。船酔いするからだ。

 だから、こうして海岸の釣り場に来ては糸を垂らしているんだ。

 50cmくらいの大物を釣りたいんだよ……。


「おい、朔坊! 当たってるぞ!」

「ほらほら、手伝うから! 大きいよ、こいつは!」

「うわ! やばいこれ、持っていかれる……!」

「耐えろよ朔坊! 網持ってくるからな!」

「くっ……! 僕ら2人でも重いなんてね。これは楽しみだ!」

「糸が、回らなっ……」

 グイッと、僕と竜紀さんが息を合わせて引き上げ、おっちゃんが網を差し出す。

 そうして釣られたのは――

 2mオーバーの超・大物だった。


「うわぁ!? やば、誰か、助け……!」

「「朔坊!!!!」」

 僕の上で、網に入った巨大魚が暴れる。

 それに耐えきれず、僕は海へと落下した。


 ◇◇◇


「産まれましたよ! 奥様、よく頑張りました!」

「旦那様、奥様がついに! ついにお子様をお産みに!」

「シャル! よくやった! 赤ん坊の性別は!?」

「双子ですよ! 本当に、シャル様はよく頑張られました!」

「双子!? それで、性別は!?」

「女の子と男の子です!」

「なるほど、姉弟なのか……。 まあいい、それより、シャルは!?」

「私ならここにいますよ。焦りすぎですよ、あなた。 ……それで、名前はどうするのですか?」

「ああ、すまん、つい興奮してしまった。 名前は、エシリア。それと、アレンだ」

 ――それが、僕と双子の姉の名前が決まった瞬間だった。


 何もせずに3年が過ぎた。何もせずに、というよりは何もできなかったのだが。

 自分1人だけで動き回れるようになり(メイドの見張りという制約はつくが)、アレンとしての自我もはっきりした。

 どこか朧げな記憶で、アレンではない自分がいたような気もするが、ほとんど何も思い出せない。

 でも、今年1年で様々な収穫はあった。

 まず、アレン・ホルト・ノクスという自分の名前がわかった。

 父はヴァルディス・レイ・ノクスで、母はシャルロッテ・セナ・ノクス。双子の姉はエシリア・ツヴァ・ノクスだ。

 そして、ノクス家は結構偉い貴族であることもわかった。

 この国の爵位のうち、ノクス家はなんと王族分家のため大公家だった。

 ちなみにこの国の名前は王国ノクスティア。

 つまり、この国で2番目の貴族ということだ。

 あとまあ、魔法を使うためには魔力が必要で、魔法属性がないと魔法が使えない、とか。

 文字がやっと読めるようになり、最近は専ら書室に入って本を読み耽っていた。


 ◇◇◇


 今、ノクス家はバタバタと忙しない。

 理由は簡単。僕にとっては叔父である、ヴィルアス・レイ・ノクスが来るからだ。

 ヴィルおじさんは、お父さんの弟であり、この王国ノクスティアの国王様だ。

 少し前に他の貴族(伯爵家だが)が来たときはそこまで準備などをしている様には見えなかったが、今回は朝から、というか一昨日くらいからメイド、執事、果てはコックまで駆り出されて室内準備や掃除にあたっていた。


「アレン様、どこへ行かれるのですか!?」

「書室! 本を読んでくる!」

「それなら誰かを……。 でも手が足りてないからなぁ……」

 1人でだって大丈夫なんだけどなぁ。まぁ、子供だから仕方ないけどさ。

「なら私が行くー!」

「エシル様……いえ、あなた様ではいけないのです!誰か大人を……」

「なら私が見ておくわ」

 あ、お母様。お母様なら安心だ。よし、これならロンゾも納得……

「あ、シャル様、いえ、貴女様のお手を煩わせるわけには……」

 しろよ。してくれよぉ。早く本を読みたいんだよぉ。

「いいじゃない。私だって我が子と触れ合いたいのよ。それに、今はメイドも執事も抜けられる状況ではないでしょうに」

「……そうですね。お願いしてよろしいですか?」

「もちろんよ。もし何かあったらすぐに呼ぶわ」

 全く、ロンゾは心配性だからな。まあ、この性格だからこの家で執事長まで上り詰めれたんだろうけど。

「承知いたしました。書室から移動する際にもお声がけお願いしますね」

「わかったわ」


「ねぇ、アレン」

「? 何ですか、お母様」

「本を読むの、楽しい?」

「はい。特に最近は魔法に関する本を読んでいますね。とても興味深いです」

「そう。なら、私が王城から何冊か持って来てあげるわ」

「王城から?そんなこと……」

「できるわ。だって私、特別宮廷魔法師だもの」

 そうだった。お母様はノクスティア最高の魔法師の1人だった。

「お願いします」

「ええ、わかったわ。それと、お母様はやめてくれないかしら」

「え?はい。なんて呼べば……」

「ママー!!」

「そうね、エシルみたいにママでもいいし、お母さんでもいいわよ。 それで、エシルはどうしたの?」

「えっとね、あのね、本読んでー!」

「ええ、いいわよ。……どれかにしましょう?」

 3冊も持ってきていた我が姉、エシルをゆるく窘めてから僕の方に向き直る。

「それで、アレンは私のこと、なんて呼ぶ?」

「じゃあ……お母さんで」

「これにするー!!」

「わかったわ。こっちへいらっしゃい、エシル」

「うん!!」

 そのあとは、ずっと読み聞かせをお母さんがエシルにしていた。

 その間、僕はずっと魔法書を読んでいた。

 まだ自分の属性がわからないから、できるだけいろんな魔法属性の魔法書を読んでいる。

 早く属性を知りたい。魔法を極めて、いつかお母さんに魔法で勝つのが今の僕の夢だ。

朔矢としての記憶はアレンはほとんど持ちません。ぼんやり、前世があって姉がいたということを覚えているくらいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ