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タイプⅢ

 翌朝、フェニックスリボルバータイプⅢをジンゴロさんから受け取った。

 ジンゴロさんが改良って言ってたから弾数が増えるのかと思っていたけど、逆に減ってた。

 十二発入っていた銀炎の槍が十発になっていた。でも、サイズはタイプⅡよりもタイプⅠよりも小さくなってた。

 画期的だったのは、銃の上部、銃口からハンマーまでの部分を前にスライドさせてグリップから外せるようにしてカートリッジ化した事だった。今までは銃全体に銀炎の槍が入っていたのだけど、タイプⅢは銃の上部だけに入っている。そう考えると総弾数は二発減ったけども相当に小型化されていた。

 銃の上部をカートリッジ化する事で、複数持ち運べるようにしたからだったそうなんだ。銃単体だと大きいし重いけど、上部だけだとかさばる事なくそれほど重くもなかった。

 使用済のカートリッジを取り外して新しいカートリッジを装備する事で、銃口を冷やす事なく連射出来るようにもなった。

 タイプⅢはラーシリア(ラーさん)の炎で作った合金だからか、全体は灰色だけど光の当たり方によっては銀色にキラキラと光っていた。

 グリップは青だった。新しい耐熱の素材を使っているそうでそれが青いのだそうだ。

 ホルスターの左側に、銀炎の槍を装填したカートリッジを三本()せるようにしていて、右側にはフェニックスリボルバー本体を収納出来た。

 カートリッジを外すのは簡単でグリップの真ん中くらいにボタンがあってそれを押しながらカートリッジを後ろにずらすと簡単に外れた。

 ホルスターの右側は収納できる場所が三段になっていて、グリップのボタンを押しながらカートリッジを押し付ける事で、撃ち終わって熱くなったカートリッジに触る事なく、カートリッジを外す事が出来た。

 そして満タンのカートリッジは熱くないのでそのまま持ってグリップに装着すればすぐに撃つ事が出来た。

 カートリッジは全部で四本有るから、トータルすると四十発の銀炎の槍の装填が可能だった。

 俺は三本のカートリッジに銀炎の槍のレベル1をラーシリア(ラーさん)に入れてもらい、残りの一本にはレベル2の銀炎の槍を入れてもらった。

 レベル2にすると二発しか装填する事が出来なかったけど、レベル1より威力と速度が四倍だったから、いざという時のためにそうした。

 イヴマリア(師匠)もジンゴロさんに銃を作ってもらっていた。

 葉巻のような円柱状の大きさの合金にトリガーをつけたもので、銃ではなく肩に背負って撃つロケットランチャーのようなデザインだった。イヴマリア(師匠)は最初俺と同じハンドガンタイプにして欲しいと言っていた。でも・・・・

「無茶言うなイヴマリア。おまえさんのサイズに合ったハンドガンなんて小さくて作れんよ。ミカネルの親指くらいの大きさだぞ? 仮に作れたとしても銀炎の槍を一発も装填出来やしない」

「ええ~!? そうなの!? むゥ・・・・・・・・・・じゃあ、かわいくして」

「かわいく?」

「うん」

 ジンゴロさんはかわいいという概念を知らなかった。

 俺とイヴマリア(師匠)はジンゴロさんにかわいいを教えた。でもかわいいを理解したジンゴロさんは再び疑問が浮かんだ。

「それ、いるか?」

 ジンゴロさんはかわいいは理解出来たけど、かわいいの必要性を理解出来なかった。

 まあ、いらないよね。

 でもイヴマリア(師匠)もここは譲らなかった。

「超必要だから」

「でもイヴマリア、かわいくしても威力は上がらないぞ?」

「でも必要」

「命中率が上がるわけでもないぞ?」

「それでも必要」

「でもな、イヴ・・・・」

「超必要」

「・・・・・」

 何を言ってもこの調子だった。

 ジンゴロさんはあれこれとアイデアを出し、かわいくなるように改良した。

 ピンクに塗装して、銃口をハートマークにして、全体を丸みのあるデザインにした。

 この武器はイヴランチャーと名づけられて、俺のホルスターの後ろに普段は収納される事になった。

 理由は背中のポーチに入っていると歩くと背中に当たって俺が痛いからだった。ちなみにイヴランチャーは銀炎の槍のレベル1を三発装填出来た。

 そしてラーシリア(ラーさん)は・・・・

「おお! すごい!」

「ええ! ちょっとラーシリア(ラーさん)、人みたいだよ!」

 ラーシリア(ラーさん)は人型に体の形を変えていた。

 といっても身体が人間のような皮膚ではなく灰色の炎はそのままで、人の形をした炎という感じだった。でもちゃんと腕や足、頭も人間の形になっていた。

「いつから出来るようになったの?」

「きっかけはタキビと最初に出会った時だ。彼が星の形の一部を人間の指の形にしたのを見て、私にも出来そうだったのでやってみた。身体全体も出来るだろうと思って試してみたんだ」

「その状態で動けるの?」

「ああ」

「動いてみて!」

 ラーシリア(ラーさん)は腕を上げたり、下げたり、首を回したりしてみせた。

「人型にはすぐに出来たんだが、こういう風に動けるようになるには結構時間がかかった。特に歩くのが難しい。私は歩いた事がないからな」

「歩いてみて」

「ああ」

 確かにおかしかった。

 まず地面に足がついていない。あと歩く時、左手と左足が同時に出ている。ラーシリア(ラーさん)が言っていた通りラーシリア(ラーさん)は歩いた事がないし、体の構造も違うからしょうがないけどね。

「それなら浮いたまま、進んだ方が良いんじゃない?」

 俺の左肩に乗っていたイヴマリア(師匠)が言った。

「それなら簡単だ」

 ラーシリア(ラーさん)は腕を組んだ状態でスーっと移動した。

「こっちの方が良いね!」

「そうか? でも歩いた方が人間っぽくないか?」

「そうだけど、でも今の方が格好が良いよ」

「そうか」

「ジンゴロさん、この鎧はいつ作ったの?」

 ラーシリア(ラーさん)は鎧を身に付けていた。

「鴉人の古城の鐘をみんなで外そうって時あっただろう? あの時ラーシリアが人型になれるのを見せられてな。最初は服が欲しいと言ってきたんだが、それは無理だろう? だから鎧にしたんだ」

 ラーシリア(ラーさん)は頭、胸、腰、肩、腕、脛に鎧を身につけている。

 もちろん防具としてではなく、人間らしく見せるためだ。だからこれらの鎧は念力で浮かしているのだそうだ。外炎の銀色と内炎の灰色に黒い鎧、炎で髪が逆立っているようにも見えて炎の戦士のようでもあった。

「更に努力する事で炎の熱を下げる事に私は成功した」

「え? 本当に?」

 俺はラーシリア(ラーさん)に近づいてみた。

「おお! 本当だ!」

 いつもは五メートルくらい離れていても熱く感じるのに、今は一メートルくらい近づけた。

 フェニックスにとって炎の温度を下げる事は相当に難しい事なのだそうだ。

 炎は高める事は出来るけど低くするように体が出来ていないのだそうだ。

 人間の肘の間接で例えると、肘の関節は掌側には曲がるけど、手の甲側には曲がらない。そういう風に出来てるから。でも人によっては曲がるというか反る人もいるし、訓練次第では肘の関節を逆に曲げる事も出来る。

「これで私も君達と一緒に町を歩けるかな?」

 そうか、ラーシリア(ラーさん)は俺達と一緒に町とか歩きたかったのか。

 いつも一人だけ上空で待機してもらってたもんね。

「うん、いけると思うよ」

「そうよ、全然平気よ」

 俺の意見にイヴマリア(師匠)も賛成してくれた。

「最初はちょっと目を引くかもしれないけど、堂々としてればいけると思う」

「そうそう。私は炎の戦士だ、知らないのか? くらい当然みたいな雰囲気を出せば良いよ」

「そうだね。そしたら俺達も合わせるから・・・・え? 炎の戦士知らないの? みたいにね!」

「今度ロゼスザリアに行く時これでいこうよ!」

「そうだね」

「わかった」

 ラーシリア(ラーさん)は楽しそうだった。

「あ! これから行く塔とかもこれで行けるんじゃない?」

「窓が開いていたりして空気が通っていればいけると思うが」

「ジンゴロさん、勇気の塔は窓とかあるの?」

「ああ、窓はいっぱい開いてる。だから魔物が入って来て棲みついたんだろう」

「そっか。でもラーシリア(ラーさん)が一緒なら楽勝だよね」

「そうね」

「それがそうでもないかもしれない」

「え? 何で?」

「この姿だと銀炎の槍も銀炎の爆破弾も撃てないのだ」

「え? そうなの?」

「ああ。どうも羽を広げた状態でないと撃てないようだ。私も知らなかった」

「じゃあ、全然攻撃は出来ない感じ?」

「いや、こういうのはできる」

 ラーシリア(ラーさん)はそういって右手の形を剣に変えた。

「おお! 斬れるの?」

「無論だ」

ラーシリア(ラーさん)は近くの岩を斬って見せた。

「おお! 超炎の戦士じゃん!」

「銀炎の剣だね!」

「そっか、近距離なら戦えるんだね。遠くの魔物はフェニックスリボルバ(タイプⅢ)ーで倒せるから全然平気だね」

「そうね」

「じゃあ塔の魔物は頼んだぞ」

「うん、わかった」

 俺達は勇気の塔に棲み付いた魔物退治へと向かった。

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