表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

27/38

二人(霊)組のフェニックス

 俺とイヴマリア(師匠)と長老様とラーシリア(ラーさん)妖精の森(ミュアルの森)の入り口で世間話をしていた。

 夕日が沈みかけて夜になりかけていた時だった。

「ん?・・・・・来る」

 ラーシリア(ラーさん)が東の空を向いてつぶやいた。

「来るって、ひょっとしてこの前みたくラーシリア(ラーさん)の兄弟?」

「ああ、そうだ。どうやら今回は二霊らしい」

「二霊って・・・・二人で来てるって事?」

 俺の左肩に乗っているイヴマリア(師匠)が驚いて言った。

「ああ、そうだ。では行ってくる」

 ラーシリア(ラーさん)はそう言うと北の方向に飛び立って行った。

 この前みたくフェニックス同士が戦い合っても妖精の森(ミュアルの森)とかに被害が出ない土と岩がある所に行ったんだと思った。

ミカネル(ミカ)、私達も行ってみようよ」

「うん」

 俺とイヴマリア(師匠)ラーシリア(ラーさん)の後を追って行った。

 やっぱりラーシリア(ラーさん)はこの前と同じ所にいて、二人(二霊)のフェニックスと空中で対峙していた。


 日はもう完全に沈んでいて、三人(三霊)のフェニックスの炎が煌々と輝いていた。

 フェニックスは色んなタイプの色があるみたいだった。

 この前のフェニックスは内炎は赤色、外炎は金色で、フェニックスと聞いて多くの人が思い浮かべる姿と色だったと思う。

 でもラーシリア(ラーさん)が内炎は灰色、外炎が銀色であるように、この二人(二霊)のフェニックスも多くの人がイメージするフェニックス像とは違っていた。

 一人(一霊)は内炎が薄茶色、外炎が橙色の組み合わせのフェニックスで、もう一人(一霊)は内炎が焦げ茶色、外炎が黄色のフェニックスだった。

 この二人(二霊)は尾が長く、しかも何本もあった。

 内炎が薄茶色、外炎が橙色の組み合わせのフェニックスは細い尾が三本、内炎が焦げ茶色、外炎が黄色のフェニックスは中太の尾が五本あった。ラーシリア(ラーさん)とこの前来た赤いフェニックスは鷹のような尾だった。

 ラーシリア(ラーさん)から聞いたんだけどフェニックスの決闘は夜に行われるんだそうだ。

 太陽の光を浴びるとフェニックスは魔力や精気が回復する。銀炎の槍は無限に撃てるし、ダメージを受けても即座に回復する。フェニックス同士が昼間に決闘をしても勝負がつかないんだそうだ。

 そういえばこの前来た赤いフェニックスも辺りが暗くなってからだった。

「おい、おまえ! オレたちは二人(二霊)だぜ!」

「だぜ!」

 薄茶色のフェニックスが言い、焦げ茶色のフェニックスが続いて言った。

 二人(二霊)は自信たっぷりの顔をしていた。

「ああ、そうだな」

「・・・・二人(二霊)って事は、二人(二霊)同時に攻撃出来るんだぜ?」

「だぜ!」

「そうだろうな」

 二人(二霊)のフェニックスは右の羽の先をすぼめてラーシリア(ラーさん)を指したまま少しの間固まった。

 どうもラーシリア(ラーさん)のリアクションが想定外だったようだった。

「おい、あいつビビらねえぜ」

 焦げ茶色のフェニックスが薄茶色のフェニックスを見て言った。

「いや、俺の読みだとあいつはビビってる。そうと思わせてねえだけだ」

「何でだ?」

「俺達をひるませたり、混乱させるためだ」

「ひるませる? 混乱?・・・・どういう意味だ?」

「・・・・後で説明するぜ。今は戦いに集中するんだ」

「おう、わかったぜ」

 フェニックスはテレパシーを使って話しをする。

 テレパシーは何も意識せずに使えば声と同じで周辺にいる全員に聞こえる。一対一というのは難しくはないけど意識しないと出来ないんだそうだ。

 この二人(二霊)のフェニックス達はどういうわけか全域に、それもかなり広範囲に聞こえるようにテレパシーを飛ばして話していた。

 ラーシリア(ラーさん)に話かける時はまだわかるけど、彼らが明らかに一対一で話すような内容でも広範囲でしていた。

 だから俺たちや周りにいる動物にもさっきからすべて丸聞こえだった。

 鳥やウサギなどの動物が何事かとびっくりしたり、不思議そうにフェニックス達を見上げていた。

 音の感覚で例えると、この辺全体に響き渡る大声で会話している感じだった。

「おい、おまえ! 今から俺達と戦うぜ!」

 薄茶色のフェニックスがラーシリア(ラーさん)に右の羽を向けて言った。

「ああ、わかった」

 ラーシリア(ラーさん)が了承すると薄茶色のフェニックスはニヤリと笑った。

「よし! 作戦通りおまえは右から、俺は左からの挟み撃ちだ」 

「おう!」

「・・・・いや、こっちは左だ。おまえは右の方に行くんだ」

「おう!」

 何かよくわからないどこの二人(二霊)はこの前来た赤いフェニックスと比べてずいぶん変わっていた。

 でも二対一は卑怯だ。

 俺はフェニクスリボルバー(タイプⅡ)抜いて薄茶色のフェニックスに照準を合わせた。

 フェニックスリボルバーはただの炎じゃない。ラーシリア(ラーさん)の炎だ。だからフェニックスにも効くはずだった。

「ミカネル、大丈夫だ。手を出さないでくれ」

 ラーシリア(ラーさん)が視線を二人(二霊)のフェニックスに向けたまま言った。

 二人(二霊)のように全域に渡ってのテレパシーではなく俺とイヴマリア(師匠)に聞こえるテレパシーだった。

「でも・・・・」

「大丈夫だ」

 ラーシリア(ラーさん)がそう言ったので俺はフェニクスリボルバー(タイプⅡ)をホルスターに戻した。

 二人(二霊)のフェニックスがラーシリア(ラーさん)を真ん中にして両端についた。

「いくぜ!」

「オッシャ!」

 二人(二霊)が同時にラーシリア(ラーさん)に羽で斬りかかった。

 ラーシリア(ラーさん)は上に飛んで、銀炎の爆破弾を投げた。

 銀炎の爆破弾は薄茶色のフェニックスに当たると爆発した。

 爆発は大きく焦げ茶色のフェニックスにもダメージを与えた。

 二人(二霊)は大きく弾け飛んだ。

 二人(二霊)共、目を大きく見開いてラーシリア(ラーさん)を見上げた。

「おい! 何だ!? 今のは!?」

 焦げ茶色のフェニックスが薄茶色のフェニックスに近づいて言った。

「わからねえ!」

 銀炎の爆破弾は銀色の球状の炎だ。

 銀炎の槍のような物を貫く力はないけど、物に当たると爆発する性質があった。

「でもビビる事はねえ! 飛び道具なら俺らにもあるよな! 今度は遠くからの同時攻撃だ! おまえは右に行け!」

「わかった!」

「だから、おまえはあっちだ。二人並んで撃つより離れて違う方向から撃った方がかわすのが難しいだろ?」

「おう! そうだな!」

 二人(二霊)がそれぞれの定位置に移動するまでラーシリア(ラーさん)はその場を動かずに待っていた。

 何だか楽しそうに見えた。

「おし! いいぞ! 準備OKだ!」

「オッシャー! 撃ちまくれ!」

 二人(二霊)はそれぞれ炎の弾をラーシリア(ラーさん)に撃った。

 炎の形はそれぞれ違っていて、薄茶色のフェニックスの炎の弾はナイフのような形で、焦げ茶色の炎の弾はスクリュー状だった。だが炎の色は内炎の色と同じだった。

 それぞれの炎弾を双方から連発してラーシリア(ラーさん)に浴びせた。

 ラーシリア(ラーさん)は、それらをすべてかわし、薄茶色のフェニックスに急接近して右肩から斜めに斬り、加勢しに来た焦げ茶色のフェニックスを振り向き様に胴を横に斬った。

 二人(二霊)のフェニックスは斬られてもすぐに回復した。

 二人(二霊)はダメージを受けるとそのたびに一旦距離をとり、また左右にわかれて遠距離や近距離攻撃で攻撃していたが、ラーシリア(ラーさん)に一撃を加える事も出来なかった。

 作戦は最初からだだ漏れだし、攻撃するタイミングまで言っているから、かわすのはそんなに難しくないみたいだった。炎弾撃つ時は必ず「そりゃ!」とか掛け声言ってから撃つしね。

「ク! 何でだ! 何で当たらねえんだ!」

 薄茶色のフェニックスは当たらない原因が自分達にあると気づいていないようだった。

「こうなりゃ斬撃で勝負だ!」

 薄茶色のフェニックスは意を決した表情でラーシリア(ラーさん)に左右の羽で斬りかかった。

 ラーシリア(ラーさん)は薄茶色のフェニックスの斬撃をすべてかわし、薄茶色のフェニックスの右羽と下半身を斬った。

「クソ! ダメだあああ!」

 薄茶色のフェニックスは地面に落ちて行った。

「ハアアアア!」

 焦げ茶色のフェニックスもラーシリア(ラーさん)に羽で斬りかかったけど逆に左羽と胴から下が斬られて、苦悶の表情を浮かべて地面に落ちて行った。

 ラーシリア(ラーさん)は狙ったわけではないと思うけど、薄茶色のフェニックスの近くに焦げ茶色のフェニックスが落ちて、二人(二霊)は横に並んで仰向けになっていた。

 二人(二霊)ラーシリア(ラーさん)から斬られた部分は再生しなかった。

「終ったな」

 薄茶色のフェニックスが空を見上げたまま言った。

「ああ」

 焦げ茶色のフェニックスも空を見上げたまま言った。

「・・・・あんなに作戦考えたのにな・・・・あんなに練習したのにな・・・・どれもダメだったな・・・・全部無駄だったぜ・・・・」

 薄茶色のフェニックスが遠い目をして言った。

「・・・・・・・・・確かにうまくいかなかったけどよ、無駄じゃねえよ。お前の作戦じゃなきゃ俺もっと簡単にやられてた。お前の作戦があったからまだ戦えたんだ・・・・そんな事よりよ! 何だか良い気分だ!」

「はあ? お前何言ってんだ?」

「あいつに勝てなかったけどよ! 俺は思いっきりやった! だから良い気分だ!」

 焦げ茶色のフェニックスはすっきりした顔をしていた。

「・・・・そうだな・・・・俺ら全力でやったよな、全部出し切ったよな! ・・・・あちこち痛えけど、悪い気分じゃねえな!」

 二人(二霊)は顔を見合わせると、

「「ハハハハ!」」

と笑い合った。

 彼らは知っていた。

 フェニックスがフェニックスに敗れたらどうなるか、という事を。

 彼らは死を覚悟していた。

 その覚悟で戦っていた。

 彼らは賢い方ではないのだと思う。

 でも真剣だった。

 真剣にラーシリア(ラーさん)にどうやって勝てるかを考えていた。

 作戦はうまくいかなかったけど、それでも動けなくなるまで頑張った。最後の最後まであきらめなかった。彼らなりに出来る事をすべてやったのだった。

 ラーシリア(ラーさん)は彼らに背を向けたまま動かなかった。

 ラーシリア(ラーさん)は、この前の赤いフェニックスの時のように命を奪うつもりはないようだった。

 俺にはラーシリア(ラーさん)が何を考えているのか何となくわかった。

 ラーシリア(ラーさん)二人(二霊)にどう接したら良いかわからないのだと思う。

 この前に来た赤いフェニックスはラーシリア(ラーさん)にどこか似てた。だから何となくこう言えばこう返ってくるっていうのがわかったんだと思う。でも彼らは性格がまるで違っていたからどう接したら良いかわからなかったんだ。

 彼らにもプライドはある。

 命をかけて戦いを挑んだんだ。

 君らの命を奪う事に興味はないとは言えなかった。

 彼らは気づいていないようだけど、ラーシリア(ラーさん)はちょっとずつ彼らから離れて行っていた。

 二人(二霊)はしばらく空を眺めていたけどさすがにおかしいと思ったようだった。

「おい、アイツずっと向こう見てるぜ」

 薄茶色のフェニックスが言った。

「そうだな」

「・・・・・・・オレの読みだと、アイツ俺達が死んでると思ってるんじゃねえか?」

 そうじゃないけど、そっちの方向で合ってるよ。

「マジか?・・・・・・いや、これだけ長い事後ろ向いたままって事はきっとそうだぜ! 俺達の事死んだと思ってるぜ!」

 さっきからずっとだけど、彼らは二人(二霊)だけで話しているつもりだけど、この周辺一帯にテレパシーを飛ばしているから、俺にも聞こえていたし当然ラーシリア(ラーさん)にも聞こえていた。

「・・・・今なら脱出できんじゃねえか?」

「・・・・・・・いけそうだな!」

 脱出って、誰も君達を捕らえてないよ。

「よし、三、二、一、の一で行くぞ!」

「わかった!」

 タイミングは合わせなくて良いんだよ。

「三、二、一! それ今だ!」

 一で脱出じゃなかったの?

「オッシャー! 脱出成功だぜ!」

「だな!」

 二人(二霊)はふらつきながら飛び立った。

 速度も遅かった。真っすぐも飛べていなかった。

 薄茶色のフェニックスは右の羽と下半身が、焦げ茶色のフェニックスは左の羽と下半身がなかった。これだけダメージを負っていたんだ、ちゃんと飛べなるわけがなかった。

 薄茶色のフェニックスが言った。

「今思いついたんだけどよ、次はもう一人(一霊)加えてよ、三人(三霊)で戦うんだ。でもそいつを最初はアイツの後ろの、遠くに潜ませておくんだ。で、正面からは俺ら二人(二霊)だけと思わせておいて、後ろからアイツを攻撃させるってのはどうだ?」

「おまえやっぱ、超~~頭良いな!」

「だろ! 絶対うまくいくぜ!」

 何度も言うけど二人(二霊)のやりとりはこの辺にいる全員に聞こえていた。

「そういやこの前、海の近くで会った奴いたよな? あいつまだあの辺にいるかな?」

 焦げ茶色のフェニックスが言った。

「奴はダメだ・・・」

「何でだ? あいつ中々強そうだったぜ」

「お前あいつに何て言われたのか忘れたのかよ?」

「え? ああ・・・覚えてねえな。何て言ってたんだっけ?」

「お前らみたいなバカ共と組むわけねえだろって言ってたじゃねえか」

「ああ! 思い出した! 言ってた! あいつ言ってた! ・・・・ムカつくな! あいつ!」

「だろ? 違う奴探そうぜ! とにかく三人(三霊)目だ! 三人(三霊)目さえいれば絶対うまくいくんだ!」

「だな!」

 彼らはずっと大きな声で喋りながら遠ざかって行った。

「あの人達、また来るね」

 俺の右肩に乗っているイヴマリア(師匠)が呆れ顔で言った。

「そうだな。賑やかな奴らだ。フフ・・・」

 ラーシリア(ラーさん)が楽しそうに言った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ