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始まりの物語  作者: 柴田優生


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私の好きな人

そうして俺は、初めて優夢に甘えた。昔から、優夢に甘えるのは抵抗があった。妹だから・・・・・・というプライドもあるのだが、基本、自分が疲れていることに気づいていないふりをしてた。しかし、この観覧車と、優夢と真愛が言った言葉が重なって・・・・・・。もう無理だと僕は判断した。そうして、観覧車が一周する。「落ち着いた?お兄ちゃん」「あぁ。おかげさまで」「私に無理するなって、いつも言ってるのに、お兄ちゃんが無理しちゃってるじゃん」・・・。ごもっともである。「まぁ、元気になったようで良かったよ」「大和。たまには俺だって・・・・・・。」「父さんは少しきついかな」思春期。というものだろう。中学3年生にもなってしまえば、少し父親に甘えるという行動は、妹に甘えるというよりもっと抵抗がある。・・・・・・みんなも、わかるよな?「まぁ、父親である俺目線は、とにかくお前達が幸せになってくれればいいんだ」ただ、甘えることに抵抗があるだけだ。感謝を伝えないということとは、それとはまた別だ。だから、俺は、父さんに感謝を告げる。「母さんがなくなってから、男手一つで俺たちを育ててくれてありがとう」「!!」その時、一瞬だけ驚いた表情をする父さんだったが、そのすぐ後に父さんは優しく微笑んで・・・・・・。「愛する息子達のためだ。どうってことない」と、そんなことをいうのだった。

それから僕らは、何事もなく3日目を過ごした。初日に言った通り、本当にゆったりするだけ。もう、時刻は4時を過ぎていた。父さんは、今日の6時くらいから東京へ帰る電車に乗るらしい。それまで、僕は自室でのんびりしながらその時間まで待つ。つもりだったのだが・・・・・・。「なんでいるんかねぇ」突然チャイムが鳴り響いたかと思えば、進治郎と真愛が登場していた。「いや、だって暇だったんだもん」「兄妹揃って?」「私たちは基本いつでも一緒に動くからねぇ」まったく、とんだブラコン兄妹である。ちなみに、この部屋に優夢もいるのだが・・・・・・。「・・・」優夢は終始黙ったままだ。おそらく、こうだろう。俺とまったり過ごす予定だったのに、進治郎と真愛がやってきたことによって、それがうまくいかないのだろう。いつも、こいつらがいる前でも抱きついてきたりするのだがな。もしかしたら、生憎今日はそういう気分じゃないのだろうか。「ねぇ。お兄ちゃん」「どうした?」「ちょっと、私の部屋来てくれる?」そう優夢に呼ばれたので、着いていってみることにした。そうして、優夢の自室に入った、その刹那・・・・・・。「うわっ!!」突然、優夢が押し倒してきて・・・・。「今日は、お兄ちゃんといちゃいちゃしようと思ってたのに、あの二人がいたらいちゃいちゃできないじゃん」「い、いや、いつも甘えてきてただろうが」「違うの。今日私はそんないつものことがしたかったわけじゃないの」すると、優夢はベッドに寝転んだ後、ゆっくり瞼を閉じて・・・・・・。「ねぇ。お兄ちゃん。私を襲って?」と、言うのだった。

私には、好きな人がいる。「別に、一人で行けばよかったのに」「いやぁ、恥ずかしいんじゃん?」「勇気がないなぁ」私の好きな人とは、私の幼馴染である、無叶大和だ。彼に惚れた部分は、沢山ある。だって、彼は中々見つからないいい人だから。妹想いで、格好よくて、一途で、約束を守ってくれて・・・・・・。そんな人に、惹かれないはずもない。「大和なら別に気にしないと思うぞ」「そうじゃないんだってぇ・・・」優夢ちゃんがいても、気まずいのには変わりない。でも、やっぱり大和くんのことは好きだ。何度も告白をしようか、悩んだのだが、脳内に優夢ちゃんがちらつく。優夢ちゃんは、実妹であっても、あれだけ大和のことを好いている。もしそれで、私が告白をしたら、優夢ちゃんはなんていうのだろうか。それが怖い。「恋っていうのは、戦いだ。そんな戦いで、ひよってていいのか?」「いやぁ。わかってるよ。わかってるんだよ?でも、恥ずかしいっていうか、なんというか・・・・・・」勇気を出せないままでいる。確かに、とられることも恐れている。が、確実に大和と付き合えるかって聞かれたら、YESとはいえない。という大和も、実は結構妹を好いている。優夢ちゃんほどではないが、一番は妹だと思う。それに、大和の恋の話を耳にしたことはない。そんな彼と、お付き合いができるだろうか・・・・・。「そういえば、優夢ちゃん。なんで大和だけを連れていったの?」「気になるのか?」「それは気になるでしょ」まさか、いやらしいことを・・・・・・!?「い、いやいや!!」大和に限って、そんなことをするはずかない。もし仮にしてたら、警察に突き飛ばしてやろう。と、そんなことを考えていると・・・・・・。「うぎゃーーー!!!」と、大和の悲鳴が聞こえてくる。「え?」「真愛。行ってこい」「うん!」そう言われて、私は即座に部屋を出るのだった。

優夢がそう言った刹那、何も言わず硬直するのだった。「え、いや、襲えって言われても・・・」「・・・・・・」実の妹ではないが、襲うわけがないからな?と、何もせずただ突っ立っていると・・・。「ほんと、お兄ちゃんってヘタレだよね」と、優夢が言ったその直後・・・・・・。「っ!!」立場が一瞬で逆転し、僕は優夢に馬乗りにされてしまう。「ちょ、なにしてるんだ!!」「だから言ってるじゃん。いちゃいちゃするって」「俺が嫌なんだよ!!」すると、優夢が服を脱ぎ出して・・・。「ちょっと。優夢さん?」「ねぇ。お兄ちゃん。私は、いいんだよ?だから、一緒に既成・・・・・・」「う、うぎゃーーー!!」「ちょっと、優夢ちゃん!?何してるの。って、なんで服なんか脱いでるの!!」あぁ。また騒がしくなりそうだ。と、そんなことを思うのだった。

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