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異変

朝起きると、様子がいつもと違った。「おはよー」「・・・」いつもなら飛びつきながら挨拶を返す優夢が、何とやら今日は無口だ。昨日見た怖い夢でも影響しているのだろうか。いや、いつもなら・・・「ねぇねぇお兄ちゃん・・・」ともっと甘えてくるはずだ。俺、優夢に何かしたのだろうか・・・・・・?「飯いるか?」「いらない」「弁当は」「いらない」じゃあお昼はどうするんだと出かけたが、なんとか口の先で食い止める。・・・・・・やはりおかしい。飯も、弁当も要らないと言った妹は初めてだ。昨日の間に何かしたか・・・・・・?何かしたのなら、寝ている時しかないだろう。もしかして・・・・・・(寝ている時に触ってはいけない部分を・・・・・・!?)それなら、そうなってもおかしくはない。優夢も、いくらブラコンだとはいえ、思春期だ。触られたりでもしたら、流石に不快感を覚えるだろう。「俺はもう学校行くけど、どうする?」「先に行って」「お、おう・・・」そうして、朝からしょんぼりしながら学校へ向かうのであった。

「お邪魔しまーす」放課後、俺は生徒会室へきていた。「よっ」こいつは、1年生ながら生徒会へと加入したほし 來向らいむ優夢の友達だ。「なぁ。聞いてくれよ」「どったの」「今日な、朝から何かと、優夢が無口でな・・・・・・。挨拶をしても返事がなかったんだよ」「寝ていたからじゃなくて?」「なわけあるか。・・・・・・恐らく、何かしたのだろうが、身に覚えがないんだよな」「突然、って事だよね。でも、今日は特に何も変わった様子はなかったよ。いつも通りの優夢だったし」「じゃあ、やっぱり俺に原因があるのだろうな・・・・・・」優夢に養子ということはばれてないだろうし、うーん。と、頭を抱えていると。「お悩みのようだな」「あぁ。進治郎。ちょっとな」「何があった?」「かくかくしかじかで・・・」「あー。なるほどな。それなら、訊いてこようか?」「どっちでもいいよ」「めっちゃ落ち込んでるな・・・・・・。まー聞いてきてやんよ」「そっか。ありがとう」珍しく、大和が落ち込むもんだと思ったら、妹のことか。「実は、大和もシスコンなんだよな」「聞こえてんぞー」「わりい!!w」と言って俺は、優夢ちゃんを探しに行くのであった。

私が選んだ選択だが、やっぱりお兄ちゃんがいない生活は寂しいものだった。それはそうだ。あんなに大好きで、いつでも一緒にいたいって思えるお兄ちゃんと一緒にいないんだ。お兄ちゃんと離れてわかったことだが、私の楽しみは、「お兄ちゃん」が埋めてくれていたのだ。「暇だなぁ・・・。」お兄ちゃんと話したい。今すぐにでも、扉が開いて、お兄ちゃんがやってこないだろうか。そんな、漫画の世界でしか起きなさそうな妄想を繰り広げる。別にお兄ちゃんがいなくても、真愛や來向がその暇な時間を埋めてくれる。だから最低限は楽しかったりもするが、やはりそれよりもお兄ちゃんと話しているときの方が好きなのだ。「はぁー。本当に暇だなぁ・・・・・・」と、すると、扉ががチャリと開く音がした。「お兄ちゃん!!」と、とっさに叫ぶ。だが、そこに立っていたのはお兄ちゃんではなかった。しかし、もう一人の見知った人間が現れた。「兄離れしたと思っていたが、やっぱり兄が大好きなんじゃねぇか」「進治郎・・・」「やあ。進治郎だよ。今日大和と話していないようだな」「・・・うん」「どうしてなんだ?大和には話さないから、俺で良かったら、聞かせてくれ」「実は、かくかくしかじかで・・・」「なるほどなぁ。兄想いでいい妹じゃねぇか」「初めて聞いた言葉」「・・・それはそうとして、優夢ちゃんの本心としては、大和と話したいんだろ?」「うん」「話さないのか?」「話したいよ。・・・・・・けど、また私のせいでお兄ちゃんが苦しむかもしれないし。そうなるくらいなら、兄離れしようと思ったの。・・・・・・けど、私にはお兄ちゃんがいないとだめみたい。昔何度もお兄ちゃんに救われた恩もあって、お兄ちゃんから離れられないの・・・・・・」「依存しちゃってるなぁ・・・・・・。ただ、俺が思うには優夢ちゃんは考えすぎだ」「それはどうして?」「たとえ優夢ちゃんが迷惑をかけたであろうとも・・・・・・。あいつは気にしない。それが、無叶大和という男だ。だからこそ、優夢ちゃんは気に留める必要はない。もっと、もっと、優夢ちゃんは大和に心配をかけてもいいと思うぞ」「そうなのかな。それでまた、お兄ちゃんが自分を追い詰めたりでもしたら・・・・・・」「さっきも言った通り・・・・・・。大和はそんなこと気にも留めない。もしそんな時があったら、俺が大和をひっぱたいてやるよ」「お兄ちゃんを叩いたらだめ」「ははは。わりいわりい。それで、どうだ?」確かに、進治郎のいうとおりだ。なんやかんや言って、お兄ちゃんは気に留めないと思う。それが、私のお兄ちゃんだから。だったら、私のやることはただひとつ。「私は私らしく、もっとお兄ちゃんに甘える・・・!!」「あぁ。それでこその優夢ちゃんだ」「ありがとう。進治郎」「いいってことよ。大和、生徒会室にいるけど、来るか?」その進治郎のお誘いに、私は笑顔で。「うん!!」と、言うのだった。

がチャリ。と扉が開いた音がしたので、そちらの方へ視線を飛ばすと・・・・・・。「あぁ進治郎。おかえ・・・・・・」「お兄ちゃん!!」「うわっ!?」<<ドーン>>「い、いってぇ」「え、えへへー。ごめんね。つい、勢い余って」「頭を強打したのだが」「てへっ」「てへっ。じゃねぇよ」「ごめんって」「んで、どうしたんだ?生徒会室なんかにきて」「あぁ。謝りにきたの。ごめんね。いきなり口も聞かなくなったりして」「あーいいよいいよ。突然だからびっくりしたものの、いつも通りの優夢が帰ってきてくれてよかったよ」「えへへ。お兄ちゃん?」「どうした?」その時、いつも聞き慣れた言葉が優夢の口から放たれる。「ぎゅーしよ?」・・・・・・と。そんな問いかけに俺は、「今日だけな」と、いつも通りの返しをするのだった。

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