ダブルデート
そうして気づけば日付が経っていて・・・・・・。遊ぶ予定が入っていた日曜日へとなっていた。・・・・・・実をいうと、今日という日を待ち遠しくしていたのかもしれない。そりゃあ、久しぶりに幼馴染兄妹同士で遊ぶんだ。楽しみにしないはずもない。「お兄ちゃーん。準備できたー?」「あぁ。できだぞ」「えへへー。今日も格好いいね!!」「そ、そうか・・・。ありがとう」優夢にそんなこと言われるもんで、少し照れてしまう。「お兄ちゃん照れてる?」「て、照れてない」「へへー。そう。それよりもー・・・。私の服どう?かわいい?」忘れている人もいるかもいれないから、一応説明をいれておく。このブラコン丸出しな俺の妹、無叶優夢という少女は、容姿端麗、頭脳明晰の完璧超人だ。それに、実は優夢はファッションセンスも完璧なのだ。これは・・・・・・。誰が見ても「かわいい」という言葉が出てこないくらい可愛いだろう。「あぁ。今日の優夢も、可愛いな」「き、今日も!?そ、そんな。いつもかわいいと思ってくれていたの?」「当たり前だろ。いくら兄でもお前の可愛さには気づいているんだよ。・・・・・・それほど、長い間お前と一緒にいるわけだしな」「そ、そんなぁ・・・。お兄ちゃん、本当は私のこと大好きだったんだね」「嫌いだったらお前と関わってないよ」「そんなお兄ちゃんも大好きです!!」と、言って、いつも通り抱きついてくる。「はぁ・・・。抱きつくなよ」「なんでー?私のこと大好きなんでしょー?」「そ、そりゃあ、大好きではあるが・・・・・・」「じゃあいいじゃん!!」「はぁ。暑苦しい」「もう、ツンデレさんなんだからぁー」「そんなんじゃねぇっての・・・・・・。もうそろそろ時間だし、行くぞ」「うん!!行こう!!」そんな抱きつかれたままの優夢を引き連れて、俺たちは家を出るのであった。
俺たちが集合場所についた時には・・・。「よっ。待たせたな」「待った」「大和。おはよう」「あぁ。おはよう」そんな挨拶を交わし、俺たち4人が揃うのであった。「相変わらず、お前達は兄妹仲がいいなぁ」「それが取り柄なもんで」いつものように、進治郎と真愛が抱きつきあっている。「ねぇねぇ。お兄ちゃん」「どうした?」「こうやって陽村兄妹見ていると、なんかバカップルみたい」「思っても言ったんな」「へへへっ。私たちも、カップルらしいことする?」「しねぇよ」と、そんな冷静なツッコミをいれておく。・・・とは言っても、結局優夢は俺に抱きついてくるのだが。「なんか、こうして歩いているとダブルデートみたいだな」「思ってもそんなことは言うな。俺と優夢は付き合ってなんかいない」「わりいわりい。わかってるよ」・・・・・・。ダブルデート。か。もし、俺に彼女がいたら、少しやってみたい。という欲はある。が、昔から俺は何故か恋愛感情というものが湧かない。特別なにかトラウマがあるとか、そういったものではないが、異性に対して意識が変わったりなんてことはなかった。ただ・・・。周りが彼氏彼女を作っていく中、俺は俺は生涯15年生きてきて、彼女いない歴=年齢というのは少し悲しいのである。結局俺という人間は彼女がほしいのか。欲しくないのか・・・・・・。どっちなんだろうな。
そんなこんなで、現在はゲーセンに来ているのだが・・・。「どんだけ取るんだよ・・・・・・」この少女、無叶優夢という俺の妹は、その培った才能を行使して、次々と並べられた商品を取り上げてきた。「かごが満タンになるっての・・・・・・」「ん?でも、お金はあるんでしょ?」「俺のことを財布だと思ってるだろ」「そんなことないよー?お兄ちゃん大好きー」その言葉に、少し意味深さを感じる。「でもどれだけ取るつもりだよ
」「そりゃあ、制覇する勢いで」「やりすぎだろ・・・」お金はあるから別にいいけどさ。一方その頃、真愛達はと言うと・・・・・・。「う、うぐぅ・・・」ひとつのぬいぐるみに、苦戦していた。「これをこうして・・・。だめかぁ・・・・・・」真愛が狙っているあのぬいぐるみは、センスがあると思う。猫耳が生えた熊・・・・・・。うん。なかなかに面白味もあっていいと思う。「真愛。俺がやろっか?」「いや、頑張ってとる」「じゃあ、せめてものお金は出してやるから・・・」「大丈夫」そうして、それから5分後、そのぬいぐるみを取れたのかというと・・・・・・。「う、うぅ・・・」結局、真愛はそれを取ることができず、財布の中身が空になっていたのであった。一方優夢は、調子を崩さず、続々と景品を取り上げていた。・・・・・・全く、どこにそんな差が生まれているんだ。「真愛」「や、大和ぉ・・・」「わかってる。お金が尽きたのは目にした。あのなぁ、挑戦し続けることも大事だが、諦めも大切だぞ」「う、うん」「進治郎。金はあるか」「ま、まぁ。こういうことも想定して、多めに持ってきておいた」「それ、貸してやれ」「言われなくても渡すつもりだったよ」「んで、俺が進治郎にちょっとあげる」「いや、いいよ。その金はお前が使えよ」「貯金もいくらだってあるし、今も持ちすぎてるくらいだ。ちょっとやるよ」「テレビに出てるだけあって、やっぱ金持ってるんだなぁ・・・」そうして、俺は進治郎に金を渡す。「それで、真愛。このぬいぐるみは欲しいのか?」「うん。欲しい」「まだやるか?」「・・・やる。」「金貸してやるから、頑張って取りな」こうやって甘やかしてしまうのが、良くないんだろうが、まぁいいだろう。そうして、俺がお金を渡した途端、再度挑戦をするのであった。・・・・・・のだが。「さすがに、下手すぎる」「うん。これは酷い」「お兄ちゃんまで・・・!!」俺が渡した分さえも、使いきってしまった。まぁ、そんな渡していないから損はしてないが。「ごめんね。大和。絶対返すから!!」「いや、いいよ。別に」「で、でも・・・」「別に、お金なんかいつでも入ってくるから」「お、おう・・・・・・」「どうしても欲しいか?」「うん。欲しい」「仕方ない。進治郎、取ってやれ」「任せろ」と、意気込んで挑んだ進治郎だが・・・。「ダメだったか・・・・・・」「はぁ。仕方ねぇ」この二人がこの台だけにどれだけお金を使ったのかわからないが、これ以上散財してしまうのは良くない。だったら・・・。「100円で終わらせてやるか」「絶対無理だよ!!」舐めるなよ・・・。俺を。そうして、100円を投入した俺は・・・。「ほら。取れたぞ」宣言通り、一発で取ってみせた。「ど、どうして・・・」「絶対なんかした!!」「してねぇよ。・・・実力だっての」勝手にイカサマをつけるでない。「ほら」「ん。ありがと」と、真愛が顔を赤らめて、そのぬいぐるみを抱きしめながら、感謝の言葉を述べるのであった。こうしてみると・・・。(やっぱ、真愛もかわいいんだな)と、そんな事を思うのだった。




