いつも通り?
長いようで、短かったデートが終わり、祝日も開け、久しぶりの学校へ登校することになった。あぁ。これが日常なんだ。と俺は再認識する。説明しよう。俺の名前は、無叶大和といい、そんな俺には2個下の義妹がいる。その妹の名前を、無叶優夢という。彼女は、頭脳明晰、容姿端麗の完璧超人なのだが、「超絶ブラコンな妹」である。一週間ほど前、案の定、俺に惚れていた妹は俺に告白をしてきたのだが・・・・・・。いくら血は繋がっていなくても、俺はそんな妹を実妹としてみている。・・・・・・とどのつまり、邪な感情など抱いていないのだ。そして、そんな俺たちの日常といえば・・・。「はぁぁー。」登校中、優夢が俺の腕にしがみつきながら登校をするということだ。「暑苦しいんだが」「お兄ちゃんなんでもするって言ったよねー!!」「それはあくまで昨日の話だ」「私2日ほど我慢したんだよ?だから、お兄ちゃんには2日間私の言うことを聞く義理があると思うんだよ」それでも昨日、少なくとも2日分くらいお願いを聞かされたけどな・・・・・・。やれ、お風呂入ろうだの、一緒に寝ようだの、ハグしようだの・・・・・・。それで満足しない優夢に俺は驚きを隠せないのだった。「だから、お兄ちゃんはまだ私の言うことを聞く!!わかった?」「・・・・・・わからない」だって、結局はそんな縛りをつけなくても、優夢は強制的に抱きついてきたりするんだから・・・。「はぁ。全く。面倒な妹を持ったもんだぜ」ブラコンを夢見る者達よ、ブラコン過ぎる妹を持つということは、実に大変だということを知っておこう。そんなこんなもありつつも、俺たちはいつも通り学校へ向かうのであった。
昼休み、いつものように俺は屋上で一人昼食を摂ろうとしていたのだが・・・・・・。「なんでいるんだ?」優夢に加え、なぜか真愛も屋上へと登場するのであった。「お兄ちゃんといたいから」「一緒にご飯を食べたいから」昨日、進治郎に怒られたばっかなのに、今日も昼食を一緒に食べているところを見られたりでもしたら・・・・・・。ぞくり、と、背中に悪寒が走る。「大和。日、月はありがとうね」「あぁ。全然いいぞ」「ごめんね。ホテル代とか、電車代とか色々払ってもらって・・・・・・。今度お返しするから!!」「いや、なんてことない。別に、お返しはしなくていいぞ」「そう?でも、私の気が済まないから、なにかお返しは必ずするね」「あ、はい」「に、しても・・・」と言いながら、真愛がこっちへ寄ってきて・・・。「大和。最高の彼氏だったよ。格好良かったね。思わず惚れそうだったよ」「お、おう?そうか?」「・・・・・・え?」と、その時、優夢が声をあげる。あぁ~。そっか。デート中だけ彼氏を演じていたこと言ってなかったな。こりゃあ、面倒なことになるぞ。「彼氏・・・って、ほ、惚れた・・・・・・!?ま、まさか・・・」そして、優夢は俺の予想通りその言葉を吐き出す。「お兄ちゃんと・・・真愛。つ、つつつ・・・・・・付き合ったのー!?」これは俺が悪いな。事前に説明をしておかなかったことによって、優夢が盛大な勘違いをしてしまった。「うん。そうだよ?」・・・・・・あれ?今、真愛はなんと言った?「う、うそぉ・・・。そんなぁ~。真愛とお兄ちゃんが付き合っちゃうなんて・・・・・・」ま、まさかねぇ~。聞き間違いだろう。・・・・・・そうだよな?「そうなの~。このデートを経て、私たち付き合ったんだ~」「・・・・・・・・・は?」ちょ、おい。聞き間違いじゃなかった!!「ま、真愛!?なに言ってるんだ!?」「だから~。大和は私の彼氏だから~。こんなことだって容易くできちゃうの!!」と、そう言った真愛は弁当を置き、此方へ歩み寄り・・・・・・!?「ちょ、おい!!」「真愛!?」まさか、彼氏役は終わったはずなのに、何故ハグを・・・・・・!?そうだ。きっと、優夢をからかうためにこうしているんだ。うん。そうだろう。・・・・・・だからと言って、恥を捨ててまでハグをする意味がわからないのだが。「優夢!!これは嘘だ!!確かに、デートをするから、デート中はこいつの彼氏になったが・・・・・・、付き合ってもないし、告白もしていない!!だから、信じてくれ!!俺たちは付き合ってない!!」「うん。そうだと思ってる!!・・・・・・から、真愛!!はやくお兄ちゃんから離れて!!」そうしてダッシュで此方へ歩み寄ってきた優夢は・・・。「なんでお前も抱きつくんだよぉー!!」昼休み、昼食時の屋上は、なんともカオスな状況へと巻き込まれるのであった。
「はぁ・・・。酷い目に遭った・・・・・・」結局その後は、真愛が自白をし、一件落着となった。「全く、恥を捨てすぎだ。いくら優夢に対する悪戯でも、ハグをするのはよしてくれ・・・」「ごめんごめん。つい、反応が気になっちゃって・・・・・・」にしても、いい匂いがしたな。「お兄ちゃん!!」「どうした?」「ん」そうして何故か、突然優夢が腕を広げる。「どうした?空へ羽ばたこうとしているのか?」「なわけないでしょ・・・。ハグして。って事だよ」「いや、なんでだよ・・・・・・」さっきもハグしただろうが。「事前に彼氏を演じていたことを伝えなかった罰」もうなんでもありじゃんか・・・。「ちょっと、これから進治郎と話してくるから無理だ」そうして俺は立ち上がり・・・・・・。「あ、ちょっと!!」と、その優夢の叫びに俺は反応することもなく、そのまま屋上を後にするのであった。




