ブチギレ!?
・・・・・・その声を聞いた瞬間、俺は背筋が一気に凍ることになった。無事に帰れると思ったが、どうやらこのデートは平穏に過ごすことはできないらしい。「なぁ。大和。答えろよ」その声は、俺が親の顔より聞いた声だった。「お前は今から、なにをしようとしているんだ?」その声は、完全に冷えきっている。もう皆もわかっていることだろう。その声の正体は・・・。「お前は、お前は・・・。誰の妹に手を出したか分かってるのか?」俺の幼馴染であり、真愛の実兄である、陽村進治郎だ。「あ・・・あ・・・・・・」「なんだ?どんな言い訳を聞かせてくれるんだ?」「あ・・・。えっと・・・・・・」「嘘つかなくていいんだよ?」怖いよ。怖いよ、進治郎君。さて、この状況をどう打開しようか・・・。正直に、キスをしようと言われた。と言ったら、確実に進治郎は怒る。・・・だったら、なんて言おうか。・・・・・・そうだ。「あ、えっと。少し語り合ってたんだ・・・・・・」「じゃあ、なんで真愛は目を瞑ってたんだ?」「寝てた!!」「なわけないよね~???」「ご、ごめんなさい~!!」流石にダメだったか・・・。「それに、聞こえていたからね?キスするんだってねぇ。じゃあ、すればいいじゃん」聞こえてたのかよ。「え、え・・・?」「どうした?キスするんだろ?じゃあ、すればいいじゃないか」「あ、あの・・・ちょっと。進治郎さん?」「なんだね?」「その・・・顔が怖いぞ・・・・・・?」「なにか言った?」「い、いや!!なんでも!!・・・・・・」その進治郎から伝わる威圧感に、腰が抜けそうになる。・・・・・・すると。「ねぇ。お兄ちゃん」「どうした?」「確かに、キスしよ。とは言ったけど、お兄ちゃんがいたらだめじゃん。・・・それに、今は私と大和は”デート”中なの。お兄ちゃん邪魔しないで」遂に言いやがったぞ!!こいつ・・・・・・!!「デートだぁ~???大和く~ん??」「は、はい・・・」「どういうこと?」「いろいろありましてねぇー」「ふぅーん」「全く信じていない反応っすね」「さぁ。はやく。キスしろよ」「ちょっと、お兄ちゃん」その時、真愛の声が響き渡る。「なんなの?言ったよね?今、私と大和はデート中だって。そんなデート中でも私に邪魔をするの?」「い、いや、だって・・・。こいつが俺の大切な妹に手を出したから・・・・・・」「関係ないよね?心配してくれるのはありがたい。・・・けど、いくら私がブラコンであっても、流石にそれは許せない。私たちのデートを邪魔しないで!!」「あ、あの・・・」「んでだよ。なにかされたんだろ?だったら、こいつに制裁を加えるのが吉だろう」「違うでしょ!!もー!!なんで!!邪魔しないでって言ってるの!!」「お前たち?周りの迷惑になるから、喧嘩はよして・・・」「大和は黙ってて!!」え、えぇ・・・。兄妹で揃って、そんなことを言われてしまう。・・・・・・ちなみにその後、進治郎が真愛とハグをすることによって、事はなんとか解決するのであった。
そんなこんなもあり、進治郎と真愛と別れてやがて家に着いた俺は、玄関の扉を開けると・・・。「ただいっ・・・」「おにいちゃーん!!」「うわっ!?」<<ドーン>>「い、いってぇ・・・」「やっと帰ってきたよ!!お兄ちゃん!!」あぁ。そうだったか。まだ一応家を出てから1日ほどしか経っていないが、優夢からしたらもっと長い年月が経っていたような感覚だったんだろう。「あぁ。ただいま。優夢」「おかえり。・・・寂しかったよぉ・・・・・・。いつもと違って、四六時中家に誰もいないんだもん。今日は友達と遊んだからまだ気をまぎらわせれたものの・・・・・・本当に寂しかったんだからね!?何時になっても家の中が静かなんだから・・・・・・!!寝るときも一人真っ暗で怖かったし・・・・・・!!もう、帰ってきてくれて、良かったよ・・・・・・!!」「あぁ。悪いな」優夢からしたら、相当怖かったし、寂しかったんだろう。・・・・・・まぁ、俺もそれは共感できる。2日ほど家で一人だったら、流石の俺でも寂しさを感じることだろう。そう考えると、優夢は良く耐えきったな。「お詫びとして、今日はなんでも言うこときいてやるから・・・。それでいいか?」「うん。いいよ」「ほんとうにごめんな。一人にして」「うん。いいよ。帰ってきてくれるだけで、それだけでも嬉しいから」今日は、良く頑張った優夢に、なんでも言うことを聞いてやるとしよう。「じゃあ~。まずはご飯作って!!」「あぁ。わかった」そうして俺は、靴を脱ぎ、台所へと向かうのであった。




