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始まりの物語  作者: 柴田優生


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好きな人は?

それから探しに探し回ってやがてホテルを見つけることができた。こんな土砂降りでも、部屋は空いているんだな。と、意外な発見をすることができたが、それはそうとして・・・・・・。「ほんとに一部屋でよかったのか?」「う、うん。まぁ」反応から見るに、恐らく真愛は相当緊張している。だったら、素直に二部屋とれば良かったのに。と、そんな感想を抱いてしまう。「にしても、めっちゃ降っちゃってるねぇ・・・。早めに宿を借りれて良かったね」「幸い明日、学校は休みだから、朝早い始発の電車に乗らなくてもいいが・・・・・・」一晩を男女二人きりで過ごすんだからなぁ・・・・・・。ちなみに、余談をしておくと、一応真愛と二人でお泊まりは何度かしたことはある。・・・・・・と言っても、今回のような野外ではなく、自宅でなのだが。お泊まりするくらいだったらまだいい。・・・なのに、自宅以外。となると、どうしても落ち着かない。「とりあえず、濡れてしまったし、お風呂入るしかないよねぇ・・・」「先使っていいぞ」「いやいや、大和。大和は昼もあれだけ濡れてタオルで拭きもしなかったんだから、大和先使っていいよ」「お、おぉ。そうか?」別に、寒かったり、風邪を引きそうな感じは一切しないが・・・・・・。まぁ、真愛がそう言うなら、お言葉に甘えてお先にお風呂に入るとしよう。そうして、俺は立ち上がり、お風呂場へと向かおうとしたのだが・・・。「・・・・・・いっそのこと、一緒に入っちゃう?」と、突然そんな事を問いかけてくる真愛に一瞬びっくりし、ドキッとしてしまう自分がいたが、真愛の顔を見た時・・・。(冗談かよ)その真愛の顔は、びっくりする俺の反応を見て、楽しそうにしている表情を見せていた。そんな彼女に対し俺は・・・・・・。「心臓に悪い冗談はよしてくれ・・・」「えへへー」と、少し赤面しながらも、そう言い残すのであった。

まさか、突然雨が降って、帰ることができなくなるとは思わなかった。そりゃあ勿論、驚いたし、焦った。突然大和が・・・・・・「泊まるしかない」って言うから、私は内心凄くドキドキしていた。だって、大和と二人きりだから。念のため説明をしておくが、私、陽村真愛という人間は、2つ上の幼馴染の、無叶大和に恋をしている。今日私がデートに誘ったのも、本当はテストが終わった気分転換じゃない。少なくとも、大和と遊ぶために大和を誘った。・・・・・・のだが、(まさか、こうなるとはねぇ・・・)流石に泊まることになるとは想定もしていなかった!!「にしても今日の大和、優しかったな・・・」思い出すのは、午前中のあの大和の行動。濡れた私に、タオルを差し出してくれたこと。あれは、大和にしかできない芸当だ。だって、普通濡れるのを想定して事前にタオルを持っておく。・・・・・・なんて、普通はできない。しかもそれを、自分は拭かずに、私にその一枚だけのタオルを渡すとは・・・(そんなの、もっと好きになっちゃうよ・・・・・・)その大和の行動に、惚れないわけもない。現在、大和はお風呂に入っているので、私の声は聞こえていない。・・・・・・はず。いつになったら、大和は私の好意に気づくのだろうか。何故か、あのブラコンな妹を持っている兄である大和なのだが、謎に鈍感なのである。そんな鈍感な大和は・・・・・・私のこのような行動の隅に、好きである愛情表現が伝わってないのだろうか・・・・・・。まぁ、そんな鈍感な大和のことも勿論好きなのだが。「やっぱり、優しいよ。大和は」再び、大和のあの真摯な行動を思い出す。あの優しい行動を思い出しながら、私は小さな声で大和に向けて言い放つ。「大和。好きだよ」・・・・・・と。

そんなこんなで、なんとかホテル内で夜食を済ませた俺たちは、暇を持て余していた。現在の時刻は、20時頃。流石に、スマホはあるとしても、その一つだけで娯楽を嗜むというのは、現代では無理があるのだ。・・・・・・普段のこの暇は、優夢が埋めてくれていたんだな。と、改めて優夢に俺は感謝をするのであった。と、俺が脳内でそんなことをしていると・・・。「ねぇ。大和」「どうした?」「その、単純に気になったんだけどさ・・・・・・。大和って好きな人はいないの?」「それは・・・どの意味での好きだ?」「その・・・恋愛的に」と、真愛が突然そんな質問を投げ掛けてくる。所謂・・・・・・恋バナ。というやつだ。「好きな人か・・・・・・。生きた中で、できたことはないな」「へ、へぇ~。そうなの。・・・・・・あのさ、優夢に好意を抱いたりはしないの?」「どうしてだ?」「いや、一応・・・って言ったらだめかもしれないけど、事実上は実の兄妹じゃないわけじゃん」ま、まぁ。そうだな。あまりいい気にはなれないが、”事実上は”優夢は義妹である。忘れている人もいるかもしれないだろうから、一応説明をいれておく。俺には、妹がいて、その妹の名前を無叶優夢という。その優夢という少女は、容姿端麗で、頭脳明晰。所謂完璧超人である。しかし、優夢という少女は、とんでもないブラコンな義妹である。そんな漫画のような人間がいるか。なんて疑問を抱くのも仕方ないだろう。・・・・・・しかし、それが現実なのである。そして真愛は、義妹である優夢に対して恋心を抱いているのか。という質問をしてきたのだが・・・。「この前、俺は優夢に告られたのは知っているよな?」「ん。うん。まぁ・・・」「その時、俺は優夢の告白を断った・・・・・・。何故なら、俺の中で優夢は実妹と同じだから。だからと言って、優夢に女としての魅力がないというわけではない。あいつは、これほどにはいないくらいには完璧な女の子だ。全ての男共の理想を兼ね備えているような・・・・・・そんな、女の子。だがしかし、惚れることはないな」「そうなの・・・。じゃあさ、優夢以外に惚れるなら誰がいるの?」「なんだ、その質問」何故かは分からないが、「私と言って!!!」という顔をしているような気がする。さて、これは言った方がいいのだろうか。この前、真愛に悪戯はよしてくれ。と言われたばかりだしな・・・。しかし、(これだもんなぁー)その言葉を待っているかのように、まっすぐとした目で此方を見つめてくる。これは・・・。言った方がいいだろう。待っているんだもんな。だったら、俺はその期待に応えるとしよう。少し、俺は照れ臭さを感じながらも・・・・・・。「真愛は、かわいい。と思うぞ」と、そんな甘い感想を述べるのであった。

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