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始まりの物語  作者: 柴田優生


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間接キス・・・・・・!?

やがてそんな一波乱も過ぎ去り、俺たちは昼食を何にするかで悩んでいた。一応、海辺のテラスにフードコートがあるのだが、水族館で魚系を食べるのは、何故か気が向かない。さて、ここでは何を食べるべきか。と、悩んでいると・・・。「大和ー。決めた?」「いや、生憎まだ決まっていなくてな」「そっかー」「そんな真愛は決まったのか?」「うん!!」と、元気そうに頷いて・・・「何にしたんだ?」「激辛超スーパーラーメン!!」「あほなんか?」あれって、確か世界で3番目に辛いラーメンじゃなかったっけ・・・。それに、真愛って辛党じゃなかったと思うが。「一応確認だけど、真愛って辛いのって・・・・・・」「嫌いだよ?」はて、この少女は何を言っているのやら。僕には分からないのだった。「あほなん?」「だって、辛いもの食べたら暖まるかなって思って!!さっき濡れちゃって少し寒いし」「そのためだからっていっても、無理はするなよ・・・。ほら、上着かしてやるから」そう言って、俺は上着を脱いで真愛に差し出す。「優しいなぁ・・・・・・。大和君は」と言いながら、その上着を羽織る。「あったかいか?」「うん!!温もりを感じる」おぉ。そうか。と、少し内面で照れながらも、平然を装う。「じゃあ、辛いラーメンは食べる必要はなくなったな」「いや、食べるよ?というか、それに、もう既に注文済みだし」「・・・・・・は?」計画性がない。俺はそんな感想を抱くのであった。「しらないからな。どうなっても」「大丈夫だって!!」余裕そうに見せているから、行けるだろうと思った人達。この辛いのが苦手な人間があほな挑戦をするとどうなるのか。その結果をお見せするとしよう。・・・その結果とは・・・・・・。

「う、うぅぅ」思い知っただろうか。このような人が辛いのに挑戦すると、確実後悔をする羽目になる。「はぁ・・・・・・。だから言ったのに」「だ、あってぇー・・・・・・」と、痛い舌を頑張って動かしながら、真愛はそう語る。「せっかくなら食べてみたいじゃん・・・」「その気持ちは分かるが・・・・・・。時には我慢を強いるのも大事だぞ」「わ、わかったぁー」どうして陽村真愛という少女は、こんなにも先のことを考えないのか。長年こいつの幼馴染をやってきたが、未だそれが謎なままである。「仕方ない・・・。アイスでも食うか?奢ってやるから」「奢ってくれるのー!?食べるー!!」こんな無邪気な姿の真愛も、それまた可愛いな。と、そんな感想を抱くのであった。「んー!!おいしー!!」「ははっ。そらよかった」「大和も食べる?」「自分のがあるからいい」「冷たいなー。彼氏なのに」「っ・・・」そういえば、忘れていた。あくまで、これはただ遊びに行っているのではなく、”彼氏”を演じる”デート”なのだ。普通の彼氏。と、いうのがどんな感じなのかは分からない・・・・・・。が、僕の想像ではこういうのはありがたくいただいていると思う。・・・・・・少なくとも、アニメはそうだった。だったら、貰った方がいいのか?ただ・・・・・・(無理だーーーーー)真愛が食べ進めたアイスを、そんな食べるなんてことはできない。ましてや、それって間接キスってやつになるんじゃないか?「ん?どうしたのー??大和。まさか、このアイスが欲しいの?」「い、いや。そういうわけじゃ」「ふーん。動揺してるってことは・・・」と、真愛はその後の言葉を言いかけたが、それを言うのをやめて・・・「そうだ。大和」「ど、どうした?」「このアイス、食べてもいいよ?」遂に言いやがった!!「ただしー。その代わり・・・大和のアイスも一口ちょうだい?」「・・・・・・え?」「ね?それならいい?」いや、いやいやいや。いいはずがない。いいわけがない。そんなことは許されるのか!?あくまで、彼氏ではあるが、それは偽にすぎない。付き合っているというわけではないのに、間接キスなんかしてもいいのだろうか!?「う、うぉぉぉぉ・・・」と、そんなうねり声を思わずあげてしまう。「もう、モタモタしてたらアイスが溶けちゃうから!!」と、そういった真愛はアイスを片手に・・・。「え、ちょっとおいまて」「私は、大丈夫!!」「なにをいっているんだ!!」だめだ。真愛。それだけはしてはいけない!!咄嗟に真愛を食い止めようとするが、そんな瞬発速度が俺に備わっているわけもなく・・・。「なんで俺の食べた部分を・・・!!」「ん」と、やがて俺のアイスを一口頬張った真愛は、そんな変な反応をする。おいおい。どうすればいいんだ。このアイス。真愛のことが腐っていると言いたいわけではない。決して。この瞬間、真愛は間接キスをしてしまう。しかも、僕と!!はぁ。神様。私はどんな償いをすればいいでしょう。と、心の中で天に向かってそう問いかけるのであった。「このアイス、美味しいね!!」よくもまぁ、平然といられるもんだ。まさか、真愛は平然でいられるくらいに過去にそんなことをし続けて・・・・・・!?(いや、それはないか)こう見えても、真愛は恋愛に興味をもっていない。それこそ、真愛の恋愛事情なんか、滅多に耳にしたことはなかったな。「ほら。大和。私のアイスいらないの?」そうやって俺を誘惑するかのような目で、俺を見つめてくる。ここで、俺には二つの選択肢が迫られる。ひとつは、理性を裏切り、アイスを頬張る。もうひとつは・・・。食べない。と、しっかり断る。考えろ。無叶大和。お前は、そんな人間なのか?いや、きっと違うだろう。なら、答えは決まっているはずだ。そうして、やがて俺はその答えを口にした。「食べない」「・・・・・・」「流石に、彼氏を演じているとは言えど、俺にはそんなことはできない」「・・・」その答えを口にした結果、真愛は黙り込んでしまうが、やがて・・・・・・。「うん。そうだよね!!大和くんは、そんなことしないもんね!!」と、そんなことを言うのだった。

私は、幼馴染であり、私の好きな人でもある人を”デート”に誘った。まず、それだけの勇気にも褒めて欲しいのだが、その後の数々の行動にも褒めて欲しい。「彼氏を演じて」といいながら手を繋いだり、わざと濡れるように、イルカショーは最前列に座ったり、あえて激辛ラーメンを食べたり、アイスで間接キスを企んだりと・・・・・・。人によっては、それらの行動を嫌う人もいるが、大和はそれくらいで嫌いになるような人ではない。何故なら、彼の妹もこのような行動を幾度となく繰り返してきたから・・・。大和はその行動に対して耐性がついている。だから私は、大和を振り向かせるために、このような行動を取ったのだが・・・・・・。(だめかぁ・・・。)生憎、大和君のガードは固いのである。それでも、私は大和くんにアタックを続ける。好きだから。振り向いて欲しいのだ。「うぅぅぅ・・・」と、そんなうねり声をあげる。さて、どうしたら大和くんを振り向かせることはできるのだろうか。と、今日も今日とてそんなことに頭を抱えるのであった。

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