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始まりの物語  作者: 柴田優生


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幼馴染とデート!?

やがて日は経ち、気づけば日曜日になっていた。念のため説明をしておくが、今日は、真愛と遊びに行く日だ。そのため、俺は今支度をしているのだが・・・・・・。「行きたかった」と、優夢が駄々をこねる。「仕方ねぇだろ。真愛が二人で行きたいって言ったんだから」「だってぇー。いくら幼馴染とは言えどよ?女の子と遊びに行くって、なんか浮気された感じがして嫌なの」「いや、そもそも付き合ってねーだろ」と、頭を軽く叩きながらそう冷静にツッコミを入れる。「んじゃ、いってくる」「・・・いってらっしゃい」と、不満そうにしながらも、玄関で俺を送り出してくれるのであった。

そうして、俺は集合場所の駅前に着いていた。家が隣なんだから、一緒に行けばいいのに。と思ってしまうが、まぁ真愛にもいろんな事情があるんだろう。と、そう結論付けて、真愛を待つのであった。そうしてやがて・・・。「ごめん!!待った?」「いや。全然ちょうど今きたところ」「ほんとにー?」「ほんとにだ。真面目に今きたところ」「ふーん。まぁ、それはそうとして、行こ?」と、楽しさ全開のような満面の笑みで此方を見つめてくる真愛に向かって・・・・・・「行くか」と、そう言って、僕たちは歩き出すのであった。

それから小一時間ほど電車に乗り、気づけば隣の県の町まできていた。例の水族館は、海辺にある水族館らしい。ここから10分ほどで着く場所にある。駅の改札を出た僕たちは、その場所へ向かおうとしていたのだが・・・。「ん?どした?」駅を出てから、何故か真愛が立ち止まってしまうのであった。「あ、えっと・・・」と、真愛は少し下を向いていたが、やがて・・・・・・。<<ギュッ>>と、俺の左手に真愛の手が添えられた。「どうしたんだ?いきなり手なんか繋いで」「あ、えっとね。その、男女で遊びに行くのに、幼馴染の関係で行くのはどうなのかな。って思って」「お、おう?」まぁ、実際幼馴染だからな。「水族館って、デートの定番じゃん」「で、でーと」「今日くらいはさ、”幼馴染”じゃなくて、ちゃんとした”デート”をしたい」と、真愛はそう言った。デート?いや、違うはず。確かに、男女で遊びに行っている。だから、デートと言えなくもないが、あくまで俺らは幼馴染だ。それをデートと言ってしまうのはどうなのだろうか。真愛は良くても、俺がいいわけではない。別に、今日だけその真愛の彼氏を演じることは別に悪くはない。・・・ただ、演じる。ということは、相手を傷つける可能性がある。それでも、いいというのか?「ねぇ。大和。どうして黙るの?」「あ、あぁ!!」「大和。お願い。今日だけ・・・」そして、遂に真愛はその言葉を口にするのであった。「・・・・・・彼氏を、演じて?」・・・・・・と。「いいのか?偽の彼氏でも」「私がそうしてって言ったんだよ?だめなわけがないよ。ねぇ、だから。お願い。私の彼氏になって?」「それだとちょっと意味が違ってくるぞ!?」とまぁ、真愛がそう言うんだ。おれ自身、”彼氏”というものがどういう存在かは分からないが、演じることはできる。だったら、真愛が、いいというのなら・・・・・・。俺は、その彼氏を演じることにしよう。と、そう決心して、俺はなにも言わずに、真愛の手を握り返すのであった。

そうして10分ほど歩き、気づけば水族館の中まで来ていた。「ねぇねぇ!!大和!!」「どうした?」「魚がいるよ!!」「そりゃ、水族館だからね」水族館に来た真愛は、小さい子供のようにはしゃいでいた。・・・・・・こんな感じの真愛も意外と悪くはないな。「あ、あれ!!見て!?」「あ?」と、真愛が指差したその先を見ると・・・。「なーんで水族館に猫がおんねん」「猫の怨念?」・・・・・・。「おもんな」「ごめんって」突然ギャグを挟んでくる真愛に、思わずそんなことを言ってしまうのであった。「そうだ。この後、海豚ショーがあるらしいけど・・・」「いく!!」「お、おう」勢いある真愛に思わず押し負けそうになる。「まぁ、まだ時間あるし、深海魚でも見に行くか?」「なんで深海魚・・・・・・?まぁ、いいよ。いこ!!」そう言って、僕たちは深海魚のいる場所へと向かうのであった。

「えぇ・・・」と、真愛がそんな反応をするのも無理はない。何故なら・・・「なんで?」何故か、深海魚の所にも、猫が泳いでいた。猫って、陸上生物じゃなかったっけ?と思って、猫が泳いでいる水槽の生き物紹介を見てみると・・・。「シーキャットブルー・・・」そんな種類の猫、初めて聞いたぞ。そういえば、ここの水族館って確か特殊だったんだか。やっぱ、都会は違うんだな。と、そう実感するのであった。「っと、そろそろ時間か」気づけば、海豚ショーの時間が迫ってきていた。「あ、ほんとだ。いこ!!」「おい、ちょっと!!」迷惑にならないくらいに早歩きする真愛を、後ろから追いかけるのであった。いやはや、テンションが上がっててもその辺の気遣いができるのはいいことだ。と、そんな真愛に関心を抱く。

そうして時間が経ち、イルカショーは終わりを迎えたのだが・・・「なーんで最前列なんかにしたんかなー」「だってー。間近で海豚を見たかったんだもん!!」だとしても、濡れることは目に見えて分かってただろうが。と、心の中でそうツッコミをいれておく。にしても・・・・・・(際どい・・・)何はとは言えないが、見えそうである。それに、濡れたことで、さらに可愛く見えると言うか・・・(いや、いかんいかん!!)真愛に対してそんなことを考えてしまう俺の煩悩を、すぐに打ち払う。「ん?どうしたの?そんな見つめて」「あ、ああ!!いや?なにも、ないが???」「なんでそんな疑問系なの・・・どうしよー。濡れたままじゃ流石に風邪引いちゃうなー」「はぁ・・・・・・。ほら、タオル」「え?」「こんなこともあろうかと、バッグの中に入れておいたんだよ」「用意周到・・・!!」是非とも真愛には見習って欲しいものである。そうして真愛は俺が差し出したタオルを手に取り、ある程度体を拭くのであった。「ん。ありがと」「おう」「それで・・・。大和はまだこのタオル使ってなかったよね?」「当たり前だ」「大和も濡れたのに、どうするの?」「なにが」「体拭けないじゃん」「・・・・・・あ」忘れてた!!完全に俺の分を忘れてた!!どうしようか。お土産コーナー行けばタオルは売っているが・・・。柄が柄だからなぁ・・・。いや、今はそれに甘えるしかないか?一難去ってまた一難。とはこの事か。と、そんなことを考えていると・・・「あ、あの。使う?」「いやだめだろ!!」と、流石に善悪の判別が付く僕は、それを断るのだった・・・・・・。

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