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始まりの物語  作者: 柴田優生


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あーん!?

俺と優夢は仲直りを果たした。・・・・・・のだが、「はぁ」今日のこいつは、いつも以上に距離感が近いのであった。きっと、それは異性として好きだからスキンシップをとっているわけではない。こいつは、恐らく全力で甘えているのだ。ああ。本当に好かれているんだな。と、今更になってそんな関心を抱きつつ・・・「暑苦しいのだが」と、そんなようにいつも通りの反応を示す。「んー?いいじゃーん。かわいい妹が甘えてあげてるんだよー?」「自分で言うか、それ」いやまぁ、言っていることは間違っていないのである。忘れかけている人もいるかもしれないが、俺の妹、無叶優夢という少女は、容姿端麗で頭脳明晰の完璧超人だ。それを自ら理解している優夢の言動は、間違ったことをいっていない。はあ。相変わらずブラコンな妹だ。と、そんなことを考えていると・・・。「大和ー!!」「お、真愛。おはよう」「うん。おはよう」と、登校しているところに、真愛が登場するのであった。

昼休み。俺は屋上で一人昼食を摂ろうとして、屋上に向かう道中・・・。「あ、大和」「おぉ。真愛。どうした?」「今からどこへ行くの?」「屋上で昼食を摂ろうと思ってな」「そう。」・・・・・・そうして、少しの間沈黙が漂い、その沈黙を打ち壊すかのように、やがて真愛が口を開けた。「ねぇ。大和。もしよかったら、一緒にご飯を食べない?」正直、一人で食べる飯よりも、誰かと食事をした方が、また別の食事の嗜み方があってより美味しくなる。そう考えた俺は、その誘いに対して、首を縦に振るのだった。そうして僕らは、二人で屋上へときていた。この学校は人数が多すぎるせいで、他の中学校と違って、給食というのが存在しない。そりゃあ、納得はできる。いくら最強の給食のおばさんであっても、3000人相手に給食を振舞うのは、経費と同時に労力も奪う。だから、各自弁当を持参するのは納得がいく対策だ。そして、この学校には食堂がある。この学校の食堂は広いもんで、たくさんの人が食堂を使用する。お陰で、屋上は絶好の昼食スポットへと化した。・・・・・・今時、屋上が使える学校なんて中々ないというのにな。まぁ。そんなことはどうでもよく、今、隣では真愛が昼食を頬張っている。その食べっぷりは実に可愛いものである。忘れかけているかもしれないが、この少女は、可愛いに連れて、清楚系な感じが男共の人気をひいている。だとしたら、そんな美少女と昼食を摂っている俺は、意外と幸せ者なのか?と、そんなことを考えていると・・・「なに見てるの?」「あぁ。いや。なんでも」「そういわれると余計気になるんだけど・・・・・・」「まぁ、知らなくたって良いことはあるんだよ」「そんなものなのかねぇ・・・。そういえば、大和、昼食は?」「あぁ。今日はあんまり食欲がないんだ」「それはどうして」「なんでなんだろうなぁ。その理由は俺にもわからない」「何があるのかは知らないけど、食欲無くとも栄養を摂るのは大事なんだよ?何せ、大和はアスリートなんだから」「別に、アスリートってわけではねぇよ」「そんなことはともかく。栄養摂らないとダメだよ?ほら、おかずあげるから」そういって、真愛の弁当の中に入っていたおかずを選んで取り、それを俺に差し出してくる。「ほら」「悪いよ。お母さんがわざわざ作ったもんなんだろ?お前が味わって食え」「いや、これ今日全部自分で作ったやつだから。ほら、あーんしてあげるから」その一言に、俺は少しドキッとしてしまう。「ん?どうしたの?」「あ、いや、その・・・なんでもない」真愛は、優夢とは違い、血縁関係もなにもない、幼馴染だ。優夢は家族だから、そんな意識はなくとも、彼女は違う。あくまで、幼馴染だ。兄妹とは違って、意識してしまう部分はある。・・・だからと言って、恋愛感情を抱くことはないが。「ほら。はやく」と、そう言われて、改めてそれを差し出されているのに気づく。「あぁ。自分で食うから大丈夫だって。・・・・・それに、本当に大丈夫だから」「だめ。栄養を摂って」・・・・・・と、そこで、俺はひとつ思い付いたことがある。それは、ひとつの悪戯だ。「ほぅ。まさかお前、真の目的は栄養を摂らせること。じゃなくて、俺にあーんをしたいだけだな?」と、そう言った直後・・・・・・。「あ、え、いや・・・」と、言って、段々と真愛の顔が赤くなる。「え、まって。嘘だろ?」思っていた反応と違った。俺が想像していた反応とは・・・「違うからー。ほら、そんなことはどうでもいいから、早く」だったのだが、現在の真愛は顔を赤らめている。「まて。本当にそれが目的で・・・・・・・!?」「い、いや!!違うから!!」と、真愛は焦りながらそう弁解するのであった。

結局、俺は真愛の弁当のおかずの一部を食べさせて貰うことになり、あれほど赤面していた真愛も、落ち着きを取り戻していた。「まったく。あんな悪戯を仕掛けるのはやめてよね」「わ、わりい」真愛の意外な一面を知れたもんだ。「ごちそうさま」「食い終わったか。それじゃあ、戻るか」と、そう言って、俺は立ち上がろうとしたのだが・・・。「まって!」と、真愛の呼び止めによって、俺はその場に留まるのだった。「どうした?まだなにか用があるのか?」「あ、えっと、その・・・」と、少し言うのを躊躇うような表情を見せたが、やがて・・・「今度の休みさ二人で遊びに行かない?」と、そんなお誘いをされるのであった。

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