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始まりの物語  作者: 柴田優生


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大っ嫌い!!

「・・・・・・え・・・・・・」と、優夢から出てくると思っていなかった一言に、思わず俺は目を見開く。「恋仲になりたいわけじゃない。って言ったけど、私はお兄ちゃんに対しての好きが我慢できなかったみたい」「え」「わかってる。わかってるよ。びっくりするし、おかしいよね。義妹(いもうと)でも、兄妹は兄妹。急に告白されて、今でも妹として見ている、そんな妹から突然付き合って。って言われても、そりゃあびっくりするよね」「え」え。え?「それしか言わないじゃん・・・」勿論、まずは驚きだ。恋仲になりたいわけではないと言っていたので、告白されるとは思ってもいなかった。しかし、俺のその考えとは裏腹に、突然妹に告白を迫られる。そんな優夢に、俺は戸惑いを返すことしかできなかった。「その、返事は、あの、欲しい。・・・かも。あ、そのね!!いつでもいいから!!」「あ、ちょ、おい!!」と、そういって優夢は走って去ってしまった。「・・・・・・なんだったんだ?」と、俺は終始戸惑いながらも、部活に向かうのであった。

そうして、部活が終了し、俺は、相談をするために來向を誘って一緒に帰ることにした。「それで、突然誘ってどうしたんですか?」「あぁ。少し、相談にな」部活が終わってすぐ、私は大和君に呼び止められていた。突然好きな人に呼び止められた私は・・・(やった!好きな人から一緒に帰ろっていうお誘いを貰えた!!)と、内心でそう喜ぶのだった。「そ、それで?その相談とは・・・・・・?」「あぁ。実はな。優夢に告白をされてしまってな・・・・・・」「・・・え?」「そうなんだよ。えってなるんだよ。だが、それが事実なんだ。義妹とはいえど、俺は家族としか見ていなかった。なぁ。そんな俺は、優夢に何て言えばいいんだ?」「なるほどぉ・・・」まず、優夢ちゃんが告白したことに驚こう。だが、その次に出てきた感想とは・・・・・・(先越されたぁ・・・・・・!!)まさかの、優夢ちゃんが、大和君に告白するとは・・・・・・!!驚きの表情を隠せないのだが、流石に大和君にバレてしまうわけには行かないので、なんとか顔に出すのを阻止する。大和君、妹がいるから、勘が鋭いんだよなぁ・・・・・・。「えぇっと、兄妹だと思っているのなら、付き合うのは無理ってキッパリ断ってみては?」「それで関係性が崩壊したりしないかなぁ・・・・・・。」「あり得なくはないですけど、優夢ちゃんですよ?振られても尚、いつも通り接触してくるんじゃないんですか?」「まぁ、それも一理あるな」どうするべきか。と、俺はまた頭を抱えてしまうのであった。振ったら、優夢は傷つくだろうし、OKといったら、俺は優夢の事を兄妹としてしか見ていないので、それはそれで優夢に失礼になる。「はぁ・・・。どうしたもんか」と、再度俺は頭を悩ませる。「考えすぎないようにしてくださいね」「まぁ、そうする」と言って、俺は帰路を辿るのだった。

あれから少し月日が経過し、結局俺は優夢に答えを言い出せずに、1ヶ月が経過していた。「ねぇ。お兄ちゃん」「どうした?」「告白の答え、まだ出してくれないの?」「あぁ。すまんな。未だに悩んでいて」「本当に?答えは決まっているけど、もし言ったら関係性が壊れてしまいそうで・・・・・・。とか思っていない?」本当の事を言えば、答えはある程度決まっているのだ。やはり、腐っても僕視点は妹としか見ていない。長年妹として見てきただけあって、優夢を恋愛対象で考えるのは想像がつかない。だが、そんな俺は優夢にその答えを打ち明けれないのだ。「思ってないよ。本当に答えが決まってないだけだ」「・・・・・・・ねぇ。お兄ちゃん。私さ、長い間お兄ちゃんの隣にいるんだよ?わかっているの。お兄ちゃん。嘘ついているよね」「ついてねぇっての。妹に嘘なんかつかねぇよ」何故か、自分から嘘をついているのに、罪悪感が生じていた。「じゃあ、なんで義妹っていうのを隠しながら関わっていたの?」「あれは・・・」そのぐさりと刺さる正論に、まさにぐうの音も出ないのだった。「やっぱり、嘘ついているんじゃん!!」「それとこれは別だ。仮に、答えは決まっていたとしたら、俺は正直に返答をする」「でも、そういってる限り嘘ついてるじゃん!!」「ちげぇよ!!」「!!」あっ。つい、怒鳴り声を挙げてしまった。「あぁ。ごめん。つい、怒りが爆発して・・・。ごめんな」「・・・・・・お兄ちゃん」「どうした?」「私の気持ちなんか知らないで、偽り続けないで!!」「っ・・・・・・」「本当に答えが決まっていないかもしれないよ。それで急かしている私も悪いよ。けど、答えは決まっているんでしょ!?」あぁ。優夢のいう通り、答えは決まっている。・・・・・・のだが、俺は優夢に確かに嘘をつき続けていた。「嘘をつかないなら、ちゃんと答えを言ってよ!!関係性が。とかどうでもいい。私の気持ちを考えてよ!!私は、お兄ちゃんのそういうところ・・・」そして、俺が人生生きた中で妹からその言葉は初めて聞くのであった。「お兄ちゃんなんか・・・・・・。”大っ嫌い!!”」・・・・・・・。と。「だいっ・・・・・・!!」俺はこの日、ブラコンである妹に、初めて「大嫌い」と言われた。「嘘、だろ・・・」「嘘なんかじゃないもん!!もう、お兄ちゃんなんか知らない!!」「あ、おいちょっと!!」と、そんな俺の呼び掛けが優夢の耳に届くことはなく、優夢はそういって家を出ていってしまった。「怒らせてしまったなぁ・・・・・・」珍しく、兄妹喧嘩をしてしまうのであった。はぁ。どうしようか。と悩んでいると・・・・・・。「おい。大和。凄い勢いで優夢ちゃんが出ていったけど・・・・・・。大丈夫なのか?」「あぁ。進治郎・・・・・。生憎、大丈夫じゃないんだ。ちょっと、喧嘩してしまってな」「お前達が喧嘩!?珍しいな・・・」「それどころじゃねぇんだよなぁ・・・・」「まぁそうだな。それで、なにがあったっていうんだ?」「実は・・・」そうして、俺が事の経緯を説明し終えると・・・。「なるほどなぁ・・・。俺は妹に告白を迫られても、好きだよって返しているのだが・・・。大和はそれができないもんなぁ。」「まぁ、シスコンではないんでな」「そうだな・・・・・・。今、お前がその時点でなにも行動に移していないのが間違いだ」「・・・と、いうと?」「怒らせてしまったなら、謝るのが筋だろう。お前のやるべき事は、家の中で立ち尽くすのではなくて、今すぐ、優夢ちゃんを探して、謝罪をするのだ」と、そんな答えを進治郎は述べる。あぁ。そうだ。確かに、俺は優夢のお兄ちゃんだ。大切な妹を怒らせたのなら、謝るのが兄の役目でもあるだろう。その進治郎の答えは、おそらく一番の正解になる答えだろう。「それはそうだな。進治郎、ありがとう。答えは決まった」「おう。なら、いってこい」そうして、すぐに俺は家から飛び出すのであった。

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