好きな人
それから、気づけば家に戻っていた僕と優夢だが。僕は、家に戻っても放心状態だった。余程、自分の情けなさに後悔をしていた。すると・・・・・・。「お兄ちゃん!!」と、優夢が叫び、ようやく自分を取り戻す。「あ、あぁ。どうした?」「元気出してよ。これからも、お兄ちゃんのことが大好きなのは変わらないからさ。それに、お兄ちゃんが元気ないと、私も元気がでないよ」・・・・・・。そうだ。俺が落ち込んだままでは、優夢に心配をかける。強い兄であってこその、無叶大和という男だ。ここで、俺が凹んだままでいてどうする。「そうだな。わるい」すると・・・。「お兄ちゃん。実はなんだけど、私ね・・・・・・。お兄ちゃんのこと。家族としてでもあって、異性としても好きなの」・・・。やはり。そうか。僕は、優夢のその好意に気づいていた。何故なら、最近になって、過度なスキンシップが増えた。そして、言わずとも、優夢は自分が養子だということに気づいていた。つまり、全ての辻褄が合う。だって、優夢は義妹だから。義妹とは、付き合ったりしても問題にならない。普通、異性として好きではなかったら、襲ったりなんかしない。だから、優夢のその気持ちには気づいていたのだ。「恋仲になりたい。というわけではないけど、私はお兄ちゃんに好きっていう気持ちを伝えたかったの」「・・・・・・。そっか。俺は、異性として。ではないけど、家族としてなら好きだ」これでも、長年、本当の兄妹のように関わってきた。そんな優夢は、家族として好きだ。「えへへ。お兄ちゃんに告白されちゃった」今日も今日とて、優夢はブラコンなのである。少し、疲れてしまったな。そう考えた俺は、風呂場に向かった。・・・・・・・のだが。「なんでいるんだ?」「そりゃあ、一緒にお風呂入るからに決まってるでしょ?」いつもの如く、優夢がお風呂までついてくるのであった。「いや、いつも言ってるが、入らないからな?」「んー?どうしてー?血は繋がっていないんだよ?まかさ、お兄ちゃん。まだ家族として意識してるの?」「あたりまえだ」そこで、俺は本音を明かす。「確かに。優夢と俺は血は繋がっていない。・・・・・・が、家族であることには変わりない。いつもの生活を変えたくないんだ。確かに、実の兄妹と、義兄妹じゃ色々と違う。が、僕は家族の過ごし方と変わらないような生活がしたいんだ」と、そう言った時、優夢は少ししょんぼりするような顔を見せたが、やがて・・・・・・。「そっか。お兄ちゃんは、家族として関わり続けたいんだね。わかった。まぁ、私も、義兄妹だからって、今までの生活を変えたいとは思っていないから、それに賛成かな。・・・・・・ただ、私がお兄ちゃんのことを好いているのは忘れないでね」「あぁ。気持ちは受け取っておく」そういって、俺はお風呂に入るのだった。
その日の夜、突然優夢に呼び出されたかと思えば・・・・・・。「私、お兄ちゃんのことが異性として好きなの」と、突然そんな報告を受けた。一応、自己紹介をしておくとしよう。私の名前は、星來向。優夢の友達だ。そんな私には好きな人がいる。何を隠そう、その人は無叶大和だ。私は、その事実を知ったとき、ライバルが現れたことに気づいた。あれ?優夢って、実妹じゃなかったっけ?と、そんなことを考えていると・・・・・・。「私とお兄ちゃん。実は義兄妹だったの。だから、私はお兄ちゃんに告白をしたの」「な、なるほど」義妹・・・・・・。となると、付き合っても問題にならない。それに対しての私は、それほど大和と接点があるわけではない。生徒会で会うくらいで、特に話すことがあるわけでもない。それに、大和君はモテる。そんな私が、大和君の妹である、優夢に勝てるだろうか。「うぅ・・・」と、私はそんな恋愛バトルに、頭を悩ませるのであった。
そんなこんながあって、次の日の昼休み。俺は中学に上がっておそらく初になる、真愛と一緒に昼食を摂っていた。「にしても珍しいな。俺を昼食に誘うなんて」「まぁ、たまにはこういうのも悪くないでしょ?」「ま、まぁ」俺にも、少し憧れというものはある。それは、幼馴染と昼食を摂ること。今まさに、それが実現したわけなのだが、真愛の容姿は、実は結構可愛かったりする。あまり目立とうとしない性格だから、その真愛の顔を見る人はあまりいないが、そんな俺は知っている。彼女は、アイドル級だと。俺の理想が全て兼ね備った人物である。そんな彼女と、昼食を摂る。「ねね。大和!!」「どうした?」「これ!!私が作ったんだけどさ、結構自信作なの!!良かったら食べてみない?」え、なに。料理もできるの?この子。「あぁ。ありがたく頂いてもいいか?」「うん。どうぞ」と、許可を得たので、俺がそれを取ろうと思ったのだが・・・。「はい。大和。あーん」あ、あーん?え、あーん?「え、いや。自分で食べれるぞ?」「いいの。いいから、ほら、あーん」その勢いに俺は押し負けて・・・・・・。「ん。」と、そんな反応を示してしまうのであった。だが、「美味しいな。これ」真愛が作ったそれは、とても美味しいものだった。「ほんと!?ありがとう!!」と、真愛は嬉しそうな表情を見せる。「真愛、料理が得意だったんだな」意外な一面を知ったような気がする。その後も、俺たちは昼食を摂るのであった。
放課後、いつものようにお兄ちゃんお探しているのだが・・・・・。「いないなぁ」全然見つからない。今日、お兄ちゃんは部活に行く予定だったのに、部活を探しに行ってもいなかった。そうして、またお兄ちゃんを探していると・・・・・・。「優夢!!」と、真愛に呼び止められる。「どうしたの?今、お兄ちゃんを探すことに忙しいの」「その、大和が行方不明になったって!!」




