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始まりの物語  作者: 柴田優生


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真実

僕には、ブラコンな妹がいる。実は、そんな妹は義妹で、妹本人は血の繋がっていない兄妹だということは知らない。そんな、漫画のような展開があるか。と思うだろう。だが、それが現実なのである。そんなこんなで、一波乱もあった後、俺は父親に呼ばれていた。「んで、その話ってなんだ?」「あぁ。ついに、覚悟を決めた」突然、父親がそんなことを言う。「おい。まさか」「あぁ。そのまさかだ」そうか。ついに、優夢にその事実が明かされるのか。「どうして今なんだ?」「そうだ。もっと、言うタイミングは他にあったと思う。が、もうじき伝えておかないと。と思ったのだ。まだ中学生になってすぐだから、もし落ち込んでしまった時、学校生活に影響を及ぼす可能性もある。だが、俺も頻繁に帰れると言うわけではないんだ。だから、今伝えないと、大和も辛いだろう」いや、それはどうだろうか。もし、その事実を知った途端。優夢の愛が暴走したりしないだろうか。義兄妹・・・・・・。というのは、言ってしまえば血は繋がっていない。だから、付き合ったり、何をしても法的には問題ない。しかし、俺は長年、義妹という事実を知っていても、優夢は実妹と同じように接してきた。今の優夢の家族としての愛が、もし異性として。に変わってしまったら。今までの関係はどうなってしまうのだろうか。そして、問題はもうひとつある。先程、父さんが言ったように、何かしら生活に影響を及ぼす可能性がある。もしかしたら、優夢が自閉してしまう可能性もある。そうなった場合、支える立場であるものこそが兄という存在だが、家族としての愛が、義妹という事実を知らされたとき。俺に対しての好意は無くなってしまわないだろうか。だから、優夢に真実を伝えることが正解だ。とは言えないことだってある。しかし、これはもうお父さんが決めた事だ。嘘をつき続ける。というのは、あまりよくないだろう。だから、俺は、その父親の発言に対して・・・・・・。「あぁ。わかった」と、返すしかなかったのだった。「今日、俺が東京へ帰る前に、お母さんの墓参りへ行く。その後に、優夢に伝える。いいか?」その質問に、僕は首を縦に振ることしかできず・・・・・・。「うん」と、いうのだった。

そうして、僕らは母さんの墓まできていた。「今度は、父さんと優夢も連れてきたぞ」母のお墓の前で手を合わす。あぁ。緊張感が増す。無理はない。だって、家族関係が崩壊する可能性があるから。できれば、平穏に終わって欲しいが。願うばかりである。そうして、墓参りを終えた僕たちは、その墓を後にした。その時・・・・・・。「お前達。俺はこれから東京へ行く列車に乗る。・・・・・・が、その前に、伝えることがある」あぁ。ついに、その事実が言い放たれる。「優夢。お前は、実の娘じゃない」「えっ」「そうだよな。びっくりするよな。お前は、大和と、実の_____」「ようやく。なのね」「・・・・・・・・・え?・・・・・・・」

突然、優夢から、思ってもない答えが帰ってくる。「やっと、カミングアウトされるのね」その言葉の真相が、俺にはわからなかった。やっと・・・・・・?と、いうことは、優夢は、この事を知っていた?だが、そんな伏線はなかったはず。と、俺がそんなことを考えていると・・・「私ね、その時の記憶だけあるの。突然、どこかの家族へ引き取られて、名前を貰えたこと。そこから、記憶が途切れたけど、5歳くらいになったとき、ふと夢を見て、思い出したの。私は養子の子だって。でも、その事実を言ったら、きっと悲しんだり、迷惑をかけると思ったからずっと言わずに、純粋無垢で無邪気な実妹を演じたの。けど、今日からその必要はないみたいね」その話を聞いたとき、私は驚いた。今までの優夢は、全て『演技』だったのだ。実妹を演じるための、演技。「お兄ちゃん大好きっ子だったのは?」「あれは本当だよ。昔よく助けてくれていたし」ブラコンであることには変わりないらしいが・・・・・・。私たちは7年間、優夢の演技に気づかず、優夢と関わってきた。あぁ。今までの事に、俺は後悔を抱く。もっとはやく気づいていれば、優夢を傷つけさせずに済んだのに。そんな大切な妹のことを知らないうちに傷つけていた俺は、兄として失格だな。と感じていた。その後のことは、もう何も覚えていないのだった。

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