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天空記  作者: 緒俐
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第百九話:熱

15禁内容を含みます。

嫌いな方はスルーしてください。

 頭の中は真っ白でも熱はすぐに帯びた。

 条件反射的に後退しようとした身体が重力に縛り付けられて動くことが出来なくなる。抵抗しようとした腕も簡単に押さえ付けられる。


 そして顎を固定していた指が離され、唇が少し離れて解放されるかと思ったのもつかの間、その手は後頭部を押さえ付けた。


「んっ!! んんっ!!」


 より口づけは深くなる。舌が絡まって来て逃げようとする紗枝の舌を無理矢理絡めとろうとしてくる。さらに腰に回っていた手はするりとシャツの中に入ってきた。


 「演技なんでしょう? 心はないのでしょう? もっといい方法だって考えてるでしょう? 分かってるのにどうして……?」と頭の中でグルグル回る。


 息が苦しくなって来たことに気付いたのか、啓吾は唇を離せば互いの唾液が名残惜しそうに銀の糸を引いた。

 そしてようやく絡まる視線に紗枝は本気で心を射抜かれた。


 こいつはこんな綺麗な顔してたっけと今更ながらに思う。


「紗枝……」


 耳元で小さく何かを囁かれて、啓吾はそっと床に紗枝を寝かせると、彼女の上に乗って首筋に唇で朱く痕を付ける。


 それから片手でシャツのボタンを外し、もう片方の手は妖しく髪や頬を撫でる。いつもは人を切っている手がこれほど優しいのかと見ているものをそう思わせる。


 そして首筋から唇を離すと互いの視線が絡まって、楢原にも聞こえるぐらいの小さな声で告げた。


「愛してる……」


 流される……頭の奥がジンと熱くなる。呼吸が本気で苦しくなる。


 すると本当に自然に啓吾の首筋に紗枝の腕が絡まって、それに啓吾は微笑を浮かべて開けた胸に顔を埋める。

 まるで見せ付けるかのように赤い舌も胸に這わせて。


 それから下着の紐を右肩からずらし、鎖骨からゆっくり手を肌を撫でるように下ろして、指が下着の中にするりと入った。


「あっ!」


 ピクンと身体が反応する。それに啓吾は満足そうに笑った。


 そして一度中断と額に口づけると、真っ青になって二人を見ていた楢原のもとに歩いて行き、色っぽい表情をしたまますっと啓吾は楢原の耳元で囁いた。


「これ以上見んな」

「うっ!」


 それだけ告げ、啓吾は頸動脈を押さえて楢原を気絶させるとニヤリと笑った。おそらく脅迫するよりよっほどこたえただろうなと思いながら。



 そして一気に彼の表情も空気もいつも通りに戻る。


「こんだけ見せ付けとけばさすがに諦めるだろ。紗枝、さっさと龍達と合流するぞって……お前なんて顔してんだ?」


 紗枝は真っ赤になって震えていた。そしてその表情のまま啓吾を睨み付ける。


「ふざけるな……!!」

「ああ、悪かったよ。だけどさっき耳元で言ったろ? 楢原みたいなのは見せ付けとけば諦めるって」


 全く反省の色もなく啓吾はからから笑った。そして紗枝の頭を撫でてやる。いろいろあったしなぁと思いながら。


「まっ、ショックがデカすぎてさっきの光景暫くあいつの頭で流れ続けるぜ? だから当分お前の前には現れないだろうよ」

「違うわよ!!」

「ん? 俺は首より上しかお前に触った記憶はねぇぞ。シャツのボタンとブラの肩紐外したの謝るが」


 それだけでも立派に訴えられるのではないかといつもなら突っ込んでいるが、紗枝の頭の中は有り得ないぐらいいろんな感情が入り乱れていた。


 つまり啓吾は全て重力の力でことを進めていたのである。


 いかにも肉体が絡んでいるかのように紗枝の身体を操ることなど朝飯前だ。呼吸の乱れも相手を圧死させれる力の持ち主なので、それを弱めてコントロールすれば良い。


 しかも胸に顔を埋めて実際に触れたかどうかなんて、紗枝の腕さえ首に回しとけば所々で死角も出来て分かるはずもない。まあ、舌を見せとけば勘違いはするだろうなとの計算である。


 何より紗枝の上に乗っているように見せて僅かに浮いていたのだから、実際に肉体は触れ合ってすらいない。

 ただ本当に絡まっているかのように空気と視線で演出していただけの話である。


「あんたって奴は……!!」

「だから悪かったって。でも他に謝ることなんてなあ……」


 まさか最後までやれとは絶対言わねぇだろうしなと、何となく勿体ない気がしているのは黙っておくことにした。言えば絶対殺される自信があった……


「キス」


 その単語を聞いて思い出した。そういえば前も付けて貸し一だったなと。


「ああ……それは付けたな。スマン、だけどすぐ消えるさ」

「したことないのに!!」

「……えっ?」


 啓吾は完全にフリーズした。今こいつなんて言ったと自分の耳を疑う。確かに唯一重力でどうにも出来ないから調子にのってしたのだが……


 そして目の前の女はありえないぐらいの怒りを見せていた。


「それなのにあんたって奴は……!! あそこまで……!!」

「あ……いや、そのな……だって紗枝だしさ、あれだけモテといてさ……キスの一回もな……」


 重力で出来る演出にも限界が……というと、紗枝からブチブチという音が聞こえてきそうなほどの青筋が起つ。


「いや、本当に……!!」

「くたばれ啓吾!!」

「だあ!! 落ち着け紗枝!!」


 啓吾は本気で殴り掛かってくる紗枝から逃げた。そして妙な気を起こすんじゃなかったと心の底から思うのだった。

 それに今言ったら間違いなく殺されるだろう。一瞬、本気で落としたくなったなんて……


 すると新たな足音が複数聞こえて来て、啓吾はストレートを繰り出して来た紗枝の拳を止めて視線で制する。この足音は龍達のものではない。


「次はなに?」

「さあな、だが何かしらの訓練を受けてる」


 自衛隊かと啓吾は扉が開いた瞬間、重力で相手を縛り付けた!


「くっ……!! 何だ!?」

「何だじゃねぇよ。本当、次から次へと面倒だな」

「だあっ!!」


 自衛隊員の身体はさらに地に伏せられる。しかし、さらに上がって来た人物を見て啓吾は目を丸くした。


「ん? あんた確か……」

「啓吾君、一応そのままそいつを潰すのはやめてくれるかい?」

「ああ」


 啓吾は重力を解放するとその自衛隊員は啓吾の襟首を掴んで来た!


「何しやがるんだテメェ! 殺す気か!!」

「いいんじゃない? 一度くらい死んだってね、バカ兄」

「バカ兄?」

「紗枝、お前なんでこんなところにいるんだ?」


 啓吾達は紗枝の兄の森、土屋、そして宮岡と合流を果たしたのである。




この話はあくまで15禁です(笑)

なんてキリの悪いと、実際に絡ませろよとの意見もありそうですが……


まあ、あくまでも啓吾兄さんと紗枝さんは悪友なんで。

その関係を壊しちゃうと天空記が有り得ないぐらい恋愛よりになるのでお許しを(今回はあくまでもバトルがメインですしね)


そしてラブシーンって本当に難しいですが、

啓吾兄さんの色っぽさはらしくなくて書いてて面白いです(笑)


まあ、本当に気持ちが通じてるもの同士ならさらに熱を帯びるんでしょうが、

この二人ならやっぱりオチはギャグにしようと……

なんせ啓吾兄さんのポリシーが「本当にいい女には手を出さない」なので。

その理由はまた後日書いていければいいなと思います。


次回はまた騒がしくなっていきますよ!




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