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第3話 魔魂術の仕様

 結局、俺と飯沼さんは鉄頭の体を支えるだけで、相良さん1人で10分程で終わらせてしまった。

 

 ハンター、やっぱりすごいな。硬そうな皮膚もサクサクやっていた。

 

 最後に、頭の鉄塊部を教官指導の下、処理させてもらった。鉄塊は、鼻梁から頭頂部まで覆われ、骨と一部繋がる構造をしており、ナイフだけでやるにはコツが必要だった。ずしりと重い。ランク1の新米ハンターなら一撃であの世行きだそうだ。


 次は生徒が班ごとに実践する番だ。

 4人1組だから、3人で支えて解体役を回せば大丈夫だろう。



「あ、これって魔石じゃない?」


 女子生徒の一人が、手の平に直径3センチ程の半透明の黒い球体を見せてきた。


「お、キックラビットより大きいな。やっぱランクが違うもんなー。こいつD級だし」


 そう言って、無造作に魔石に手を伸ばしたその時だった。突然、俺の頭を魔魂術の使用法が駆け巡った。一瞬の出来事だったが理解した。

 なるほど、そいうことか。


『魔石に触れたことにより、能力が解放されました』

 

 システムが反応した。

 

 しかし、この魔石はこれ以上反応しないようだ。

 今出来ることはないな。とりあえず作業を終わらせよう。


「...魔石は置いといて、最後の頭をやっちゃおうか」

 

 気を付けないとナイフが折れる。隙間を1か所ずつ、慎重に削れば切り離せる。俺が1か所やって、残りをみんなにやってもらえれば完了だ。コツとオーラがあればなんてことはない。解体が苦手な生徒も、我慢してやっているようだ。頑張ってほしい。

 

 

 今日の昼食は、鉄頭の肉を使ったバーベキューらしい。そんな話で盛り上がっていると、騒ぎが聞こえてきた。どうやら厄介者に武が絡まれているようだ。


「なあ桐野。お前のナイフ貸してくれよ。こっちの全部折れちまって使えねーんだ」


 三原がにやついた笑みで、右手を武の方へ差し出している。


「...普通にやればそんなことにならないだろ。僕も1本しか持ってないからね、ほかの人に頼みなよ。どうせナイフ自体、持ってきてないんだろ?」


 武は気が弱そうに見えるだけで、言いたいことは言うぞ。ただ、三原の痛いところを突いたみたいだ。にやにや笑いが一転、今にもキレ出しそうだ。


「あ?お前」


「おい、三原。俺の貸してやるよ。予備だが、後で返せよ」


 三原が、短気を起こす前に止めに入った。武が殴られるのを、黙って見ているわけにもいかない。突然の介入で、俺に一瞬怯んだが、三原の気は収まらないようだ。


「教官も見てるぞ。受け取れよ」


 相良さん達が、こちらをジッと見ていることに、やっと気づいたようだ。


「ちっ、...」


 去り際に睨みつけて行くなよ。腹立つな。こんなご時世でも、あんな奴は結構いる。この手合いは直接ぶつからない限り、相手をしないのが一番だ。

 

「ありがとう暁人。助かったよ」


「ああいった奴は相手しない方がいいぞ。わかってるだろ?」


「...まあね。でも、ちょっと僕もよくなかったよ」


 武は真面目だな。ま、卒業するまでの辛抱さ。武と美月は、優秀だから邑灘(ゆうなん)学園に入れるだろうし、三原は普通の学校のはずだからな。

 

◆◆◆◆◆◆

 

 午後から授業もない。昼食をみんなと摂ってからは自由だ。因みに、鉄頭の肉はものすごく旨かった。モチモチとした肉質でサッパリしていて甘みがあった。

 魔魂術を試すには都合がいい。


 魔魂術が使えるのは、俺が直接倒したモンスターの魔石だけらしい。術を使うには、実戦が必須ってわけだ。ちょっとワクワクしてきたな。

 

 結界の外、人が住居を放棄した市街地外縁部。害のない小動物系の魔獣がちらほらいるらしい。魔石を手に入れるにはもってこいだ。

 武器は解体用ナイフで十分。まあ、油断は禁物だな。一応、結界の外に行くんだし。

 

 そういえば、F級以下のランク外って魔石持ってんのかな?

※アビス・コントロール ~魔魂術士の異界探訪~ をお読みいただきありがとうございます。

※面白いと感じてくれた方は是非『ブックマーク』と『いいね』で応援よろしくお願いします。

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