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第29話 E級ダンジョン~ボス・デザートウルフヘッド~

「あれってもしかしなくてもD級魔石じゃないか?」


 それと、あの四角いのはゴーレムの核だろう。先ずは魔石からっと...拾い上げると案の上、魔魂術のレベルが上がった。これでレベル4か。久しぶりに上がった気がするな。


 ゴーレムの核を拾い上げる、核が淡く光ったかと思うと、俺の身体の中にすっと消えていった。


「は?」


『疑似生命核を入手しました。能力が解放されます』

『疑似生命核にダンジョン核へのアクセス権が付与されます』

『疑似生命核を昇華することで、魔魂空間の核に設定できます』

『疑似生命核はいつでも呼び出せます』

 

 おお!?新しい能力が発現したぞ。というかアビスシステムってこんなに親切だったか?まあいい、確認しよう。


【名 前】 一条 暁人

【職 業】 魔魂術士〈深化〉

【ランク】 2

【レベル】 14

【 力 】 29

【耐久力】 25

【素早さ】 22

【魔 力】 47

【体 力】 23

【知 力】 43

【スキル】 魔魂術4〈魔魂空間 魔魂供給 魔魂解析 魔魂纏衣〉

      異界核F〈ゲート アクセス 環境模倣 リソース互換〉

      疑似生命核〈アクセス リソース互換〉

【経験値】 95000/410000

【A P】 36000


 早速、呼び出してみる。


 意識を集中すると、消えた時と同じく手の平にすっと四角い核が現れた。コボルドダンジョンの核にこの場でアクセスできるのか。APさえあれば、いつでも能力付与やアイテム交換が出来るようになった。これは大きいぞ。今後アクセス権が増えても、一括管理できるのもいいな。


 疑似生命核は、どうやら本領を発揮していないらしい。昇華に必要なものは、もう一つゴーレムの核と魔輝石に融解錬金液か。錬金液はなんとかなる。ゴーレムの核は、さっきのリーダー格だけじゃなく通常個体からも出るといいんだけどな。魔輝石については、学園に戻ったら調べてみよう。


「目覚めろ、ワンダーゴーレム」 


「......」


 このゴーレムもやはり声は出せないようだが、コミカルな体型と動きは健在だ。名前はそのままワンダーに決定だな。


【種 族】 ワンダーゴーレム〈特異体〉

【名 前】 ワンダー

【ランク】 D

【レベル】 17

【 力 】 24 

【耐久力】 40

【素早さ】 23

【魔 力】 41

【体 力】 20

【知 力】 30

【スキル】 魔象拳6・地気4・統率・魔法耐性

【経験値】 0/840000


 初のD級従魔か、こいつ魔法型だったんだな。尖った能力値だけど、スキルと嚙み合って魔象(ましょう)拳の一撃はかなり強かった。地気はブルーと同系統で、統率と魔法耐性もある。この耐性のせいで大分苦労させられた。

 魔石を拾った時、スキルに〈守護者(ガーディアン)〉という特性があったが無くなっている。あの鉄製の宝箱を守っていた特殊なモンスターだったのだろう。おそらく戦った時の能力値はもっと高かったはずだ。


 思わぬ強敵だったから、1時間くらい休んでから5階層に行くとしよう。その間に俺は、宝箱とワンダーのスキルの確認をしておこう。


◆◆◆◆◆◆


 ボスの居場所は既に判明している。フィールドの奥が巨大な岩壁になっており、そこがダンジョンの最奥のようだ。

 鉄製宝箱の中身は〈大地の守〉というネックレスで、所持者の耐久力を15も上げる装飾品だった。ダンジョン産の装備品を知らないが、高性能な気がする。ありがたい。

 

 4階層よりもウルフリーダーが増えて、ゴーレムも一緒に出てくるようになった。本当にE級ダンジョンかと疑いたくなるレベルだ。俺には従魔達がいるから問題無いんだけどな。

 

 ワンダーとの戦闘を経て、カン達の主要スキルのレベルが6に上がったことにより、戦技が使えるようになって安定度が増した。ゴーレム相手の近接戦闘に不安のあったキバでさえ、戦技を使えば一撃で体を砕く程だ。魔法と同じで魔力を使う為、乱発はできないが十分な戦力アップだ。


 5層のモンスターを100体近く討伐し、その過程でみんなのスキルも把握できた。最奥ボスに挑む時が来たようだ。

 岩壁には大き目の扉があり、中が確認できない。F級ダンジョンとはちがうようだ。入る前に纏衣しておく。


『ワンダー、頼むぞ』

『......』


 声こそ聞こえないが、任せろという意思が伝わってくる。


 扉に触れると勝手に開いていく。俺達が中に入っても、閉じはしないようだ。ホッとしつつ通路を進むと、開けた空間に出てきた。天井高い、無数の亀裂や穴から光が差し込んでいて明るい。この広間がボスの住処の様だ。奥から此方を認識し、立ち上がる大きな灰色の狼が見える。


「ウォオオーーーン」


「うお!?すげぇ迫力」


 大狼が吠えると、横穴からデザートウルフの群れが現れた。4体1組でリーダーとゴーレムも交じっている。それが3グループで取り囲んで来た。


「一旦、壁際まで下がるぞ!みんな目の前の奴らを吹っ飛ばせ」 


 こいつらのやろうとしていることはお見通しだ。全方位取り囲んで、動けない獲物をメインアタッカーのボス狼に獲らせたいんだろう。俺達は強引に1グループを弾き、壁を背にすることで後背を気にせず戦える形をとった。

 取り巻きを倒すまで、俺がボス狼を注視しておけばいい。ワンダーを纏衣したことで高耐久、高火力のスキルを手に入れた。ボスの能力値に匹敵するレベルだろう。


「地象、石火拳!」


 何もしないならこっちから行くぞ。ボス狼の前にいるリーダウルフを一撃で霧に変える。さらに取り巻きが従魔達に次々と倒されているのを見て、ボス狼が焦りを覚えたのか、前衛ゴーレムの壁に飛び込む。


「アースニードル」


 ボス狼の攻撃に合わせて地面から岩の棘を生やしてやる。完全に貫けはしなかったが、腹に傷を負わせた。嫌がってるな。常に準備しておけば、ボス狼を完封できそうだ。時間が経てば経つほど此方が有利になるぞ。


 ボス狼が俺に狙いを定め、顎や前脚で仕掛けてくるが、攻撃が届く前に、見えない何かに撃ち抜かれて後退を余儀なくされる。俺の拳が空を切る度、顔面を殴られ、前脚攻撃を阻まれて、恨めしそうに睨んでくる。

 

 魔法と拳で牽制している間に、取り巻きを全滅させた従魔達が、逆にボス狼を取り囲む。もちろん俺は無茶していない。アイツの顎に噛まれたら、いくら高耐久でもどうなるか分からないからな。魔象拳は戦技を使わなくとも、拳から魔力を放出できる。魔拳術の上位互換の性能だな。これのお陰で超接近戦をしなくて済んだ。

 

 後はみんなに任せよう。リープとブルーの魔法が襲い、止めにギンコが剪断爪(シアークロ―)で首を斬り落としてボス狼を霧に変えた。


「よっしゃ!E級クリアだ。みんなのお陰だな」


 従魔達は心強いな。これからもよろしくと伝えておく。


 ボス部屋の中心には宝箱が出現していた。


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