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第28話 E級ゲート⑤~ワンダーゴーレム~

 今日もダンジョンルームにやって来たぞ。ダンジョンルームの管理室で、中で滞在する届け出を出しておいた。担当のおじさんに怪訝な顔をされたが、気をつけなさいと送り出してくれた。

 学生は既に探索者でもある。自己責任は学園のダンジョンだろうと有効だ。当然のことだが、救援システムも絶対ではないから、死んでも文句は言えない。


 明日が休日ということもあって、ダンジョンルームは昨日よりも人が多い。そんな中でも、相変わらずこのゲートは人気がないようだ。1階層には人がいるようだが問題ない。俺は3階層にSP800ポイントを払って入った。


「今日中にはクリアしたいよな。みんな頼むぞ」


 従魔達が各々の反応で返答をする。

 先ずは、3階層を大瑠璃のブルーに偵察してもらう。2階層とほぼ変わらないが、デザートウルフより一回り大きい個体がちらほらいるようだ。ゴーレムの数は変わっていない。

 デカ狼は、群れのリーダー役だろうな。初見のデカ狼に気を付けるとして、早速攻略に入ろう。


 

 デカ狼の個体能力は、当然通常個体より高い。そして想像通り、群れを指揮する役目らしい。後ろからガウガウ吠えて、狼の後退を防いでいたのはかっこよかった。ただ此方は総勢15体、数の力で押し切った。


【種 族】 デザートウルフリーダー

【名 前】 

【ランク】 E

【レベル】 12

【 力 】 24 

【耐久力】 20

【素早さ】 23

【魔 力】 12

【体 力】 18

【知 力】 18

【スキル】 爪襲術3・牙襲術2・砂地適応・統率

【経験値】 0/102400


 強いんだけどな、このダンジョンでは出番が無いかもな。魔魂空間で待機していてもらおう。ゴーレム達の耐久性はかなり有用だ。他のダンジョンでも、ゴーレム達の高耐久を抜けるモンスターはそういないはずだ。


 

 3階層を危なげなく踏破した俺達は、4階層にやって来ていた。ブルーからのイメージで、4階層の地形は凡そ把握できた。モンスターの構成も3階層と変わらないようだが今までと違うものがあった。

 エリアの中央に小さな岩山があり、ドーナツ状に穴が空いている。その中心にゴーレムが5体鎮座している。

 

 アレは何だ?外見からはただの岩塊にしか見えないからな。あの状況でただのゴーレムってことがあるか?明らかに怪しい。


 中央の岩山は最後に回して、外周から殲滅して行くことにした。途中、リープの魔法がついにレベル6に上がった。中級魔法が使えるようになったら戦術の幅がさらに増す。岩山のゴーレムと戦う前に上がって良かった。


【名 前】 リープ

【ランク】 E

【レベル】 14

【 力 】 14

【耐久力】 12

【素早さ】 25

【魔 力】 32

【体 力】 12

【知 力】 28

【スキル】 風魔法6・跳躍5・風の道

【経験値】 80000/410000


 リープの使用魔法に爆風弾(ウインドブラスト)高風圧(ウインドフォール)が増えたのと、初級魔法の威力も上がったようだ。

 名前的に上位互換のようだが、使用感は試さなきゃな。威力や範囲が違うから同じ使い方は出来ないし、リープに慣れてもらおう。


 爆風弾は、30センチ程の風の球体を生み出し、敵に撃ち込むことで爆発し、4,5メートルの範囲を爆風で吹き飛した。直撃した荒野狼を1発で仕留め、巻き込まれた狼は、爆風の衝撃でまともに戦える状況じゃなかった。

 次に高風圧だ。上空に魔法陣を指定し、強力な下降気流で敵を押さえつける魔法で、範囲は10メートルに及ぶ。魔法耐性のあるゴーレムでも動くことが出来ず、荒野狼は息も絶え絶えになった。

 爆風弾は溜めに5秒、高風圧は10秒の時間が掛かるようだ。

 

 俺も纏衣して使わせてもらったが、風の道がいい仕事をしているのが分かる。威力だけでなく、溜め時間もほんの少し減少しているようだ。1秒でも速く撃てるに越したことはない。


 残すは中央の岩山だけになったので、リープ達の魔力回復のために岩山前で休憩することにした。岩山の周りをゴーレム達とグルっと回ったが入口が無い。無理に登らなくても、デカ人形がいるから簡単に侵入できるな。

 

 

 30分後、デカ人形に穴を開けてもらって道を作る。

 俺は1体のチビ人形を纏衣しておく。リープ、ブルー、チビ人形2体は岩山の上に登らせてある。ちび人形は護衛兼壁役だ。岩山の高さは10メートル近いから、反撃は限定的なものになるはずだ。


 見えたな、近くで見ても分からない。


『地削りで落としてから、リープとブルーで高所爆撃開始だ』

 

 穴の入口から2体のデカ人形が魔法の準備を始める。しかし、5体の内、中心にいた1体が魔法に反応したのか、上に飛び跳ねながら岩塊から人型に変化した。1体が飛んだ瞬間、他4体も同じように変化し応戦の構えを取る。遅れて地削りが発動したが、1体も掛からなかった。

 

 地削り失敗を見て、リープとブルーには攻撃を開始させた。取り巻きのゴーレムは通常個体と変わらないようだが、中心にいたリーダーの様な奴は、デカ人形とも違う。

 このリーダーは、体長が俺の胸辺り程で、コミカルな体系は同じだが、若干緑がっかった体色をしている。さらに特徴的なのが、両腕の周りを岩の礫が無数に漂っている。魔法か体術スキルか分からないが喰らいたくないな。


 前衛組でラインを作って身動きを封じ、取り巻きをリープ達が撃破している。順調だがあのリーダー、魔法を意に介していない。火と風で砂塵が巻き起こる中、敵リーダーが拳を振り抜く。その拳は空を切るが、射線の先にいるチビ人形を吹っ飛ばした。腕に纏っていた岩の礫を飛ばしたのか?いや魔力で拳も作り出しているようだ。

 ちび人形の体の損傷具合を見ると飛礫以外にも衝撃を受けた痕跡が残っていた。すぐにちび人形をホールに入れてやる。1発が重いな。


『高風圧で脚を止めてくれ』


 ギンコが最後の取り巻きに止めを入れて全て倒し終えた。後は、リープの魔法発動までゴーレム達に時間稼ぎをしてもらおう。カンに牽制させ、ゴーレム達が拳をぶつけるが、効いているようには見えない。それどころか、自分の周りに岩塊を発生させて、下から突き上げてくるし、カウンターの拳打で此方がダメージを負うほどだ。こいつ強すぎだろ。リープはまだか?


『きゅううぅっ』


石弾(ストーンショット)で牽制してくれ。みんな下がれ』


 上からリープの合図が聞こえた。石弾を腕で弾き落とすリーダーゴーレムの頭上から、強烈な風が叩きつけられる。リープは最大限魔力を込めたようだ。風圧に耐え切れずに膝をつき、立ち上がろうと藻掻くが四つん這いになってしまった。魔法耐性があっても流石に耐えられなかったな。そこにブルーが火気爆撃で追撃する。ブルーはそのまま風が止むまで撃ち続ける。


 風が止んで、砂煙が消えていく。体中が焼け焦げ、罅が入った、地に伏すゴーレムが弱々しく、腕を此方に向けていた。最後の悪あがきか...しかし待つことはない。ゴーレムの頭を槍が貫く。カンが投擲で止めを入れてやったようだ。


「終わったな。みんなよくやったぞ」

 

 ボスじゃないはずなのに、とんでもなく強かったな。保険で纏衣しといてよかった。俺一人だったら、死んでるぞ。

 リーダーゴーレムが消えた場所には、どこからともなく鉄の箱が現れ、地面には魔石と四角い何かが落ちていた。



※アビス・コントロールをお読みいただきありがとうございます。

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