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第27話 学生モール

 ダンジョンから戻って翌日の放課後、俺は大きなバックパックを担いで学生モールに来ていた。ここは、ダンジョンルームの真上に近い。出てすぐ横を向けば、大きな建物とその入口が見える。

 

 学生モール内には、学園が運営しているポイント交換所と生徒が運営する店が並んでいて、外部の店は無い。学園運営はポイント交換所しかなく、生徒の店が主体となっている。ここの店群は主に生産科に所属している生徒が出している。一部戦闘科の生徒が露店を開いていたりもして、放課後は学生が結構いて賑やかだ。


 先ずは交換所に寄る。交換所には、魔石のレートが分かりやすく書かれた大き目の看板がある。E級魔石1個600円、スクールポイント4点か。魔石148個で計算すると結構儲かる。

 ...腕輪のポイントってスクールポイントって呼ぶのか、長いからSPと呼ぶことにしよう。説明書きにも略称で使われてるし。


「こんにちは。魔石を交換しに来ました」


 受付担当の男性に挨拶して、魔石の詰まったバックパックをそのまま渡す。


「いらっしゃい、パンパンだな」

「...うぇ?こんなに?しかもE級じゃない!?」


 若い男性が受け取って中を確かめた後、隣の女性が覗き込んで驚いていた。


 俺の腕章を見れば、1年だとすぐ分かる。入学したての1年生が持ち込む魔石の数じゃないし、F級かと思いきやE級だ。そりゃ驚くよな。でも、ここには頻繁に顔を出すようになるから、俺は隠す気は無い。最初からこういう奴だと思われた方が楽だ。


「詮索する訳じゃないが、1人でやったのか?」


「はい、こいつ等が付いてるんで」


 カンとギンコを召喚して、少しだけ力の証明をしておく。


「おっ、テイマーは珍しいな。従魔が強いとはいえ逸材だな。こんなに魔石を持ってくる1年なんて見たことないぞ」

「うわぁ、猫ちゃんおっきくてかわいいねー。お名前は?」

「ぐるぅ...」


 

 受付の女性がギンコと戯れている間に、いろいろと情報を仕入れることが出来た。この人達は生産科の卒業生で、今は生徒への技術指導員をしているらしい。受け付けは、持ち回りで変わるそうだ。

 E級の武具を交換するなら、モール内で選ぶことをお勧めされた。交換所は、E等級までの最低限の武具しかなく、モール内の方が性能が良く、安く済むことがあるそうだ。生産科の技術向上や生徒の自主性を活性化させたいんだろう。

 モール内は現金でもSPでも問題ないらしく、学外に出ないならSPで何でも出来るそうだ。ということで、魔石は全部SPに交換してもらった。


 俺は2人にお礼を言って、モール内を見てみることにする。

 

どうせなら1年の店に行きたいよな。


「ああ、区画が分かれてて学年が分かるな」


 1年はモール内の右側で、2年は左側に固まってるな。この学園は基本2年制。2年で卒業はできるが、4年まで居残ってもOKという制度がある。院生制度に近い。戦闘科の生徒は、3年まで残ることが出来る。彼ら居残り組の区画は2階だ。モール内は店だけじゃなく、生産施設の一部もある為、広く作られている。


 1年の区画は、半分は稼働してるっぽいな。武器も欲しいけど、入手した素材的に防具に使えそうだからな。


「消耗品に、素材屋...家具屋まであるな」


 まだ準備中だけど魔道具の店もあるようだ。今度来てみよう。ぶらぶら歩いて店をチェックしていると、お目当ての店を見つけた。いろんな武具の絵が一緒に描かれているから一目瞭然だ。


 武具店は向かい合わせに2つあるが...

 

〖装備はお前を救う〗と書かれた看板が掲げられている。


「ふーん、変だけど面白い名前だ」


 こっちにしてみよう。中には2人の生徒が、作業をしながら店番をやっている。武器関連が女子で、防具関連が男子の専門のようだ。俺は防具のカウンターに進む。


「やあ、いらっしゃい。この時期に珍しいね」


「そうなのか?」


「そうだよ、1年生はみんなF級ダンジョンに行くでしょ?でも、F級なら支給品でも何とかなるし、ここに来てもポイントが足りなかったりで、結局帰っちゃうんだよ。君もポイント足りないんじゃない?今はポイント溜めた方がいいと思うよ。あ、僕は佐藤真治よろしくね」


「俺は一条暁人だ。ポイントは4700あるから大丈夫。それと...これとこれを使って防具を新調したいんだ。何とか出来ないか?」


 俺はバックバックから、荒野狼の素材とゴーレムの小塊を取り出してカウンターに広げる。


「え?4700って、これ」

「これって、もしかしなくてもE級の素材!?私にも使わせて!」


「ああ、それは別にいいんだけど」


 傍で様子見していた女子が、佐藤の言葉に被せるように捲し立ててきた。この女子は、宮沢加奈美と言うそうだ。

 

 宮沢曰く、等級の高い素材を扱った方がスキルの成長が速く、入学してすぐE級素材を扱えるなら、技術代なんていらないとのこと。これは願ったり叶ったりだ。


「ならさ、E級鉄を使って解体刀を作ってくれないか?材料費は払うから」


「もちろんいいわ。任せて!」


 佐藤にも材料費だけで、防具のアップグレードを受けてもらえた。ありがたい。明日の午後、受け取る約束をしておいた。


 

 今日は金曜日、明日は休日だ。ならやることは1つだな。そうだ、あれだけ買っておこう。


※アビス・コントロールをお読みいただきありがとうございます。

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