第25話 E級ダンジョン③~レッサーゴーレム~
「ブルーの爆撃で楽になったなー」
ブルーが上から狼の奇襲を防ぎ、逆にブルーの火気爆撃で奇襲する。1体に深手を負わせてからの戦闘開始で、被害が減って進行が楽になった。
1階を回り終えて、ゲート前で休憩中だ。1回は全てデザートウルフで、特殊な個体もいなかった。入口で確認した劣岩人形はまだ出て来ていない。
この階のデザートウルフは、計80体で経験値24000も稼げた。魔石は77個もある。魔石は換金も出来るし、学園のポイントにも替えられる。魔石は交換所でどうするか決めよう。
19時30分か、このまま2階層に入ろう。
学外へは、19時まで出ることが出来、学生寮の門限は21時までだ。学内なら割と自由に時間を使える。異界に出る場合は、届け出を出せば問題ない。一応、ダンジョンでも届け出は出せる。
ダンジョン内で、もし身動きが取れなくなった場合は、腕輪から救難信号が出せる。もちろん絶体に助かるわけではない。過去には死人も出ている。そこは教訓にしなきゃないけない。
2階層も同じく荒野ステージで、特に変わりない。ただ出てくるモンスターに変化が見られる。なんせ、目の前にいかにもな岩塊が、4個転がっている。3個は膝より高いくらいで、1個は腰くらいの高さがある。これは劣岩人形以外ないだろう。
今は離れているから動かないのか?チャンスだな。
「リープ、全力の風刃で攻撃してくれ。みんなは迎撃の準備だ」
「きゅっきゅ」
リープが、小さな岩塊の1体に風刃を撃ちこむ。刃は岩塊を捉えたが、1/4を削って霧散してしまった。まじか、供給もしてるんだぞ...
岩塊が衝撃を受けたことにより、目を覚ました。岩塊は飛び上がると同時に、空中で人型に変形する。人形となった岩塊は、そのまま俺達に向かって走りだした。岩のくせに早いな。
劣岩人形は、体長こそ変わらないが、見た目はコミカルで機敏のようだ。頭、胴体、手足、全てが四角の岩で構成されており、頭が1番大きい。逆三角形の人型と言っていい。
三体のチビ人形が、物理で殴り掛かってくるのを前衛が受け持つ。槍や短剣で受けると、ガンッと重い音が聞こえる。カンの槍なら平気だが、コボルドの短剣は、何度も受けていると折れそうだ。荒野狼より、よっぽど厄介なんだが...
「みんな気を付けろ!デカいのが魔法使うぞ」
さらに厄介なことに、デカ人形が拳大の岩を撃ち出そうとしていることに気づく。
あいつ、デカい形して魔法型かよ。あの岩玉当たると痛そうだ。
『1発凌いでから、一気に反撃するぞ。足を狙うか、岩の関節を狙ってみろ』
先ずは安全策だ。無理に攻撃しなくていい。
ボウッという音と共に、岩玉が撃ち出される。デカ人形はカンを狙ったようだが、身構えていたカンは、易々と躱した。
魔法の脅威が無くなった瞬間、すかさず反撃に転じる。俺は、ギンコと供に、デカ人形を牽制しに走る。
デカ人形はノロい。簡単に距離を詰めることに成功した。上半身より細い脚部の関節を狙って、横薙ぎに斬り付ける。ガシュッと鈍い音を立てる。関節半ばまで入ったが、切断は出来なかった。だが、デカ人形を衝撃で倒すことには成功した。悪あがきと言わんばかりに、魔法で足元の地面に穴を空けてきた。
「うおわっ」
デカ人形と一緒に穴に落ちるが、1メートル程の浅さだ。混乱しかけたが、すぐに平静を取り戻し、首に鉄剣を突き入れる。が、またもや貫けない。
「硬すぎだろ、ギンコッ!」
状況を見ていたギンコが、デカ人形の背後から現れ、半ばとなった首を斬り飛ばして、霧に変えた。
「はぁー、焦った。ありがとな」
お礼を言って頭を撫でておく。
ギンコの攻撃だけでいけたかもな。爪襲術がレベル5もあるし、次からは任せよう。ゴーレムの様な硬い敵には、攻撃系のスキルが必要だな。
カン達はすで終わらせている。チビ人形達は厄介だが物理一辺倒、囲んで潰すのは難しくない。荒野狼より硬いのは確かだが、対処は変わらない。
「目覚めろ、レッサーゴーレム」
【種 族】 レッサーゴーレム
【名 前】
【ランク】 E
【レベル】 10
【 力 】 18
【耐久力】 34
【素早さ】 13
【魔 力】 15
【体 力】 15
【知 力】 16
【スキル】 拳術2・魔法微耐性
【経験値】 0/25600
「...」
どうやら岩人形は言葉を発さないようだ。こちらに手を挙げて、よろしくと言っているように見えて面白い。
ふむ、岩人形達はレベル10で耐久力が高いな。岩人形は共通して魔法微耐性というスキルを持っており、チビ人形は拳術2、デカ人形は地魔法2をそれぞれ持っていた。硬い上に耐性持ちとか、リープの魔法が通りにくかったわけだ。
デカ人形は歩く分には問題ない。戦闘中に狙われても、こっちは数でなんとでもなるから心配ないな。それに、土魔法はかなり使える。此方の岩人形の存在が、敵の岩人形へのカウンターになってくれるかもしれない。




